ロシアとカフカース・チェチェンのつながり~ロシア帝国とジョージア(旧グルジア)地方の戦争の歴史を振り返る
トルストイが訪れた1850年代にはすでにロシアとカフカースは戦争状態でした。そしてその時から続く歴史は現代のロシア・チェチェン戦争とも繋がってきます。ロシア帝国、ソ連、現代ロシアという歴史の流れを知る上でもカフカースの歴史を知ることは大きな意味があります。
この記事ではそんなカフカースとロシアの歴史についてお話しします
トルストイが訪れた1850年代にはすでにロシアとカフカースは戦争状態でした。そしてその時から続く歴史は現代のロシア・チェチェン戦争とも繋がってきます。ロシア帝国、ソ連、現代ロシアという歴史の流れを知る上でもカフカースの歴史を知ることは大きな意味があります。
この記事ではそんなカフカースとロシアの歴史についてお話しします
トルストイは1851年、23歳の年にカフカース(コーカサス。旧グルジア、現ジョージア)を訪れています。
そしてその圧倒的な自然やそこで出会った人々、命を懸けて戦った経験が彼の文学に大きな影響を与えています。
この記事では藤沼貴著『トルストイ』を参考にトルストイの「カフカース体験」を見ていきます。
トルストイの文学や人柄の特徴を見ていくためにもこれらは非常に参考になります。
「本書は、コーカサス地域の理解にしか役に立たないのではなく、現在の国際社会において様々な地域で出現している民族や国家をめぐる問題を理解する際にも役立つことを目指している。(「はじめに」より)」
まさにこの作品は複雑なコーカサス情勢を学ぶことで「他の地域の紛争を見る眼」も養うことができる参考書です。
しかもコーカサス地方の紛争はどれもロシアと関わりの深い紛争です。
ロシア・ウクライナ戦争を考える上でも新たな視点を授けてくれるおすすめの参考書です
ロシア的な精神とは何なのかということを学ぶのに最高の一冊!。
文化がいかにして出来上がっていくかということを考えさせられます。
私個人としては、この本を読んで特に印象に残ったのはオプチナ修道院についての記述です。
この修道院は晩年のドストエフスキーが訪れた、ロシアのとても名高い修道院で、あのトルストイも何度も足を運んでいます。
この本はドストエフスキーのキリスト教理解を学ぶ上でも非常に重要な視点を与えてくれます。
私にとってはモンテフィオーリは絶大な信頼を寄せうる歴史家なのですが、今作も安定のモンテフィオーリクオリティーでした。「素晴らしい」の一言です。
ロマノフ王朝の始まりからいかにしてロシアが拡大し、力を増していったのかをドラマチックにテンポよく学ぶことができます。
それぞれの皇帝ごとに章立ても進んでいくので時代の流れもとてもわかりやすいです。
ロシアという国がどんな歴史を経て今に繋がっているかを学ぶのにこの本は最適です。
人間の可能性を信じるオプチミズム。
「人間は真実を求めて二歩前進し、一歩後退する。苦悩や過ち、退屈が、人間を後ろに投げ返すが、真実の渇きと不屈の意志は、前へ前へと駆り立てる」という人生観がチェーホフにはあります。
地獄の島サハリン島を経て書かれた『決闘』はチェーホフの思想を知る上でも非常に重要な作品となっています。
ツルゲーネフを学ぶまで『貴族の巣』という小説はまったく知らなかったのですが、この作品がツルゲーネフの作品中屈指の人気があるというのは驚きでした。
ロシア中から大喝采をもって迎えられるほどこの作品はロシアで大人気となり、ドストエフスキーもこの作品に対して賛辞を送っています。
たしかにこの小説はとても読みやすかったです。展開もどんどん動きますし、小説としてかなり面白いです。
1880年、ツルゲーネフはモスクワでプーシキン像除幕式の記念講演に招待されます。この講演会はドストエフスキーも招待されていて、最晩年の2人が直接その文学論を戦わせた歴史的な一日として有名です。
ドストエフスキー伝記や参考書ではこのプーシキン講演がドストエフスキーの名声の絶頂として描かれることが多く、ツルゲーネフはその引き立て役、あるいは敵役として描かれがちです。
そのためドストエフスキー側からツルゲーネフを見るとどうしても偏ったものになってしまいます。
というわけで今回はツルゲーネフ側から見たプーシキン講演を見ていきたいと思います。
ドストエフスキーのライバル、ツルゲーネフ。彼を知ることでドストエフスキーが何に対して批判していたのか、彼がどのようなことに怒り、ロシアについてどのように考えていたかがよりはっきりしてくると思われます。
また、ツルゲーネフの文学は芸術作品として世界中で非常に高い評価を得ています。
文学としての芸術とは何か、そしてそれを補ってやまないドストエフスキーの思想力とは何かというのもツルゲーネフを読むことで見えてくるのではないかと感じています。
芸術家ツルゲーネフの凄みをこれから見ていくことになりそうです。
『死せる魂』は1842年に発表されたゴーゴリの代表作たる長編小説です。
ゴーゴリはプーシキンに直接師事していました。ここにプーシキン―ゴーゴリというロシア文学の流れを作った偉大な関係がありました。
そんな尊敬する師プーシキンから譲ってもらったテーマをゴーゴリはこの作品で発展させていきます。
ドストエフスキーもこの作品を非常に好んでいたとされています。
ロシアの現実をリアルに描写する。
後のロシア人作家たちの共通のテーマがこの作品によって明確に示されることになったのでした。