ゾラ『ウージェーヌ・ルーゴン閣下』あらすじと感想~政治家もつらいよ。パリの政治家の生態と駆け引き
主人公である大物政治家ウージェーヌが戦う場のなんと難しいことか。
あまりに複雑な人間関係、利害関係。
支援してくれる人間にどのように恩恵を施すか。
窮地に陥った時でも彼らに約束した恩恵を与えなければならない。でもできない。さあどうする!と常に彼は戦い続けています。
政治家は政治家で求められる資質がある。この小説を読んでそう思わせられました。
主人公である大物政治家ウージェーヌが戦う場のなんと難しいことか。
あまりに複雑な人間関係、利害関係。
支援してくれる人間にどのように恩恵を施すか。
窮地に陥った時でも彼らに約束した恩恵を与えなければならない。でもできない。さあどうする!と常に彼は戦い続けています。
政治家は政治家で求められる資質がある。この小説を読んでそう思わせられました。
この書は作者のゾラとロシアの文豪ツルゲーネフとのつながりによって前作の『プラッサンの征服』と同じくロシアでいち早く紹介され人気を博した書だったそうです。
今回は前回ほど気分が悪くなるようなものではありませんが、主人公セルジュの信じるキリスト教が生きながらにして「死んだもの」であり、人生を否定しているというゾラの主張を知ることとなりました。
ゾラの言うように、キリスト教は本当に死んでいるのか。宗教は単なる現実逃避なのか、とても考えさせられる作品でした。
この物語は私の中で「ルーゴン・マッカール叢書」中、読んでいて最も辛い作品でした。
宗教者による洗脳がここまで露骨に書かれているのは読んでいて苦しいものがありました。
ですが辛くても目を反らしてはいけない真実がこの作品には描かれていると思います。この時代のヨーロッパにおいて宗教がどのように見られているのか。その大きな手がかりのひとつになったのではないかと私は思います。
とにかく凄まじい作品でした。
私は『ルーゴン・マッカール叢書』でどの作品が1番好きかと言われたらおそらくこの『パリの胃袋』を挙げるでしょう。それほど見事に人間の欲望を描いています。
ゾラ得意の映画的手法や、匂いなどの五感を刺激する描写、欲望をものや動物を描くことで比喩的に表現する手腕など、すばらしい点を列挙していくときりがないほどです。
文庫化されていないのが不思議なくらいです。ぜひこの本が世の中にもっと広まることを願っています。
『獲物の分け前』は「金と権力」に飢えたルーゴン家の3男アリスティッドがパリ大改造という獲物を嗅ぎ付け、分け前を俺にも寄こせとパリで奮闘する物語です。
「金」、「投機熱」、「贅沢」、「色欲」・・・
これでもかと人間の欲望を描き出すゾラ。
金を求める貪欲な人間の姿や男女の欲望を知れる恐るべき作品です。ぜひぜひおすすめしたいです!
『ルーゴン家の誕生』はエミール・ゾラが24年かけて完成させた「ルーゴン・マッカール叢書」の記念すべき第1巻目にあたり、1871年に出版されました。
この本はゾラの作品中特におすすめしたい名作中の名作です!
読んでいて「あぁ~さすがですゾラ先生!」と 何度心の中で うめいたことか!もう言葉のチョイス、文章のリズム、絶妙な位置で入る五感に働きかける表現、ゾラ節全開の作品です。正直、私は『居酒屋』や『ナナ』よりもこの作品の方が好きです。とても面白かったです。
前回の記事「エミール・ゾラが想像をはるかに超えて面白かった件について―『居酒屋』の衝撃」ではエミール・ゾラの「ルーゴン・マッカール叢書」なるものがフランス第二帝政のことを学ぶにはもってこいであり、ドストエフスキーを知るためにも大きな意味があるのではないかということをお話ししました。
この記事ではその「ルーゴン・マッカール叢書」とは一体何なのかということをざっくりとお話ししていきます。
ゾラを知ることはそのままフランス社会を学ぶことになり、結果的にドストエフスキーのヨーロッパ観を知ることになると感じた私は、まずゾラの代表作『居酒屋』を読んでみることにしました。
そしてこの小説を読み始めて私はとてつもない衝撃を受けることになります。
ゾラは恐るべき作家です。
この人は間違いなく読む価値がある…
私はエミール・ゾラという作家に強烈に惹き付けられてしまったことを感じました。
フランス第二帝政期は私たちの生活と直結する非常に重要な時代です。
そしてドストエフスキーはそのようなフランスに対して、色々と物申していたのでありました。
となるとやはりこの時代のフランスの社会情勢、思想、文化を知ることはドストエフスキーのことをより深く知るためにも非常に重要であると思いました。
第二帝政期のフランスをさらに深く知るには何を読めばいいだろうか…
そう考えていた時に私が出会ったのがフランスの偉大なる作家エミール・ゾラだったのです。
私たちの生活に深く根ざしているデパート。当たり前のように私たちはデパートと共に生活していますが、このデパートがいつどこで生まれたのか、皆さんはご存知でしょうか。
実はそれがこのフランス第二帝政期のパリだったのです。
デパートの誕生は世界の商業スタイルを一変させることになりました。
私たちが普段何気なく買い物しているこの世界の成り立ちがビシッとこの一冊に凝縮されています。この本はものすごい本です。社会科の教科書にしてほしいくらいです。非常におすすめです。