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ナチスとソ連による1400万人の犠牲者『ブラッドランド ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』を読む⑴
今回の記事よりティモシー・スナイダー著『ブラッドランド ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』を読んでいきます。
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スターリンはなぜ自国民を大量に餓死させ、あるいは銃殺したのか。なぜ同じソビエト人なのに人間を人間と思わないような残虐な方法で殺すことができたのかということが私にとって非常に大きな謎でした。
その疑問に対してこの上ない回答をしてくれたのが本書でした。
訳者が「読むのはつらい」と言いたくなるほどこの本には衝撃的なことが書かれています。しかし、だからこそ歴史を学ぶためにもこの本を読む必要があるのではないかと思います。
この本を読めばスターリンとナチスの大量殺害がどのような世界情勢の中で行われたのかが明らかになります。
では早速始めていきましょう。
1400万人の意味
二十世紀の半ば、ナチスとソ連の政権は、ヨーロッパの中央部でおよそ一四〇〇万人を殺害した。犠牲者が死亡した地域―流血地帯―は、ポーランド中央部からウクライナ、べラルーシ、バルト諸国、ロシア西部へと広がっている。
ナチスの国民社会主義とスターリニズムの強化が進められた時代(一九三三-三八)から、ポーランドの独ソ分割統治(一九三九-四一)、独ソ戦争(一九四一-四五)までのあいだに、歴史上類を見ない集団暴力がこの地域を襲ったのである。
ユダヤ人、べラルーシ人、ウクライナ人、ポーランド人、ロシア人、バルト人など、おもに古くからこの地域に暮らしてきた人々が犠牲となった。
一四〇〇万人が殺されたのは、ヒトラーとスターリンの双方が政権を握っていた一九三三年から四五年までのわずか一二年という短い期間のことだ。
彼らの故郷が戦場となったこともあるが、ここで対象とする人々は、すべて戦争ではなく殺害政策の犠牲者である。第二次世界大戦は史上もっとも多くの死者を出した戦争だった。
全世界で死亡した兵士のうち、ほぼ半数がこの「流血地帯」で戦死しているが、一四〇〇万という人数には、こうした戦闘任務についていた兵士はひとりもふくまれていない。ほとんどが女性か子供か高齢者だった。誰も武器を持っておらず、多くの人が所持品や衣服を奪われた。
※一部改行しました
筑摩書房、ティモシー・スナイダー著、布施由紀子訳『ブラッドランド ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』上巻P10-11
1400万人という数字は戦死者の数ではありません。あくまで両政権による政策による死者の数です。
タイトルにもあるブラッドランドはポーランド、ウクライナ、ベラルーシ、バルト三国の地域に当たります。本に出ていた地図を参考におおよそのエリアをグーグルマップで書いてみました。
この赤枠内がブラッドランドになります。
こうして見ると一目瞭然ですがモスクワを中心とするロシアとドイツのちょうど中間地帯がブラッドランドと呼ばれる大量虐殺があった地域になります。
ドイツとソ連はこの地域を自らの都合の良いように徹底的に利用しようとしました。その利害関係の衝突がこの地での虐殺につながり、そして第二次世界大戦の大きな局面となっていくのです。
ホロコーストはアウシュヴィッツだけではない
アウシュヴィッツは、流血地帯でもっともよく知られた殺戮場である。今日のアウシュヴィッツはホロコーストの代名詞であり、ホロコーストは世紀の罪の象徴である。
しかしアウシュヴィッツの労働者として登録された人々には、生き長らえる可能性が残されていた。生還者は回顧録や小説を書いて、アウシュヴィッツの名を広く世に知らしめた。
ドイツのほかの「死の工場」では、それよりはるかに多くのユダヤ人が―ポーランド・ユダヤ人が大半を占めた―ガス室に送られ、ほぼ全員が死亡した。
トレブリンカ、へウムノ、ソビブル、べウジェツの収容所の名は、アウシュヴィッツほど頻繁には取りあげられない。
ポーランド、ソ連、バルト諸国では、さらに多くのユダヤ人が溝や穴の上で銃殺された。そのほとんどが占領下にあったポーランド、リトアニア、ラトヴィア、ソヴィエト・ウクライナ、ソヴィエト・ベラルーシの、自宅の近くで殺されている。
ドイツ人は、ほかの国で暮らしていたユダヤ人も流血地帯へ連れてきて殺そうとした。ハンガリー、チェコスロヴァキア、フランス、オランダ、ギリシャ、ベルギー、ユーゴスラヴィア、イタリア、そしてノルウェーから、ユダヤ人が列車に乗せられて続々とアウシュヴィッツに運ばれてきた。
ドイツに定住していたユダヤ人は、ウッチ、カウナス、ミンスク、ワルシャワなどの流血地帯の都市へ強制的に送られ、銃殺またはガス殺に処された。
わたしがいま本書を執筆している、ウィーンの第九区に住んでいた人々もやはり、アウシュヴィッツ、ソビブル、トレブリンカ、リガへ送られた。
※一部改行しました
筑摩書房、ティモシー・スナイダー著、布施由紀子訳『ブラッドランド ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』上巻P11-12
私たちはホロコーストというと真っ先にアウシュヴィッツを想像しています。
2019年ブログ筆者撮影
しかし著者が言うようにそれはホロコーストの中の一部に過ぎず、他にも多くの場所で大量殺害が行われていました。
その一つ、トレブリンカの事実をいち早く世界に発信したのがソ連のユダヤ人赤軍記者グロスマンです。
ワシーリー・グロスマン(1905-1964)Wikipediaより
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ホロコーストを学ぶ上でこの本がもっとフォーカスされてもいいのではないかと心から思います。
『ブラッドランド ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』ではそうした事実を詳しく語っていきます。
ヒトラーの驚くべき計画
だがホロコーストの陰には、それ以上の殺戮をもくろむドイツの計画が潜んでいた。ヒトラーが排除したがっていたのは、ユダヤ人だけではなかった。
彼は、国家としてのポーランドとソ連を抹殺し、このふたつの国の支配者層を消滅させ、何千万人ものスラヴ民族(ロシア人、ウクライナ人、べラルーシ人、ポーランド人)を抹殺したいと思っていたのだ。
もしドイツがソ連に仕掛けた戦争が思惑どおりに展開していれば、最初の冬に三〇〇〇万人が餓死し、さらに何千万人もスラヴ人が追放され、殺され、あるいは同化を強いられて奴隷にされていただろう。
この計画は実現しなかったが、ドイツが東欧占領政策を進める心理的な前提となった。
戦時中ドイツ人は、ユダヤ人とほぼ同数の非ユダヤ人も殺している。ソヴィエト人戦争捕虜(三〇〇万人以上)と占領都市の住民(一〇〇万人以上)を餓死させ、「報復」と称して民間人(おもにベラルーシ人とポーランド人、五〇万人以上)を銃殺したのである。
※一部改行しました
筑摩書房、ティモシー・スナイダー著、布施由紀子訳『ブラッドランド ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』上巻P12-13
私はこの箇所を初めて読んだ時、目を疑いました。まさかヒトラーがユダヤ人だけでなくそこまでの計画を立てていたとは信じられませんでした。
ですが実際にナチスは非ユダヤ人も大量に殺害していたのです。
一方、ソ連は・・・
ソ連が東部戦線でナチス・ドイツに勝利したため、スターリンは何百万人もの人々から感謝され、戦後ヨーロッパの秩序回復にきわめて重要な役割を果たすこととなった。
しかしスターリン自身もまた、大量殺人ではヒトラーに引けをとらない、すさまじい記録を残している。しかも、戦前のほうがはるかにひどかった。
一九三〇年代、スターリンはソ連の防衛と近代化のためと称して数百万人を餓死させ、およそ七五万人を銃殺した。ヒトラーが他国の国民を殺したときと同等に効率よく、自国の国民を殺害したのだ。
一九三三年から四五年にかけて流血地帯で殺された一四〇〇万人のうち、三分の一はソ連によって命を奪われたのである。
※一部改行しました
筑摩書房、ティモシー・スナイダー著、布施由紀子訳『ブラッドランド ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』上巻P13-14
第二次世界大戦時代の虐殺はナチスの印象が強いかもしれません。しかしこれまで当ブログでもお話ししてきましたように、ソ連も同じように大量殺人をしています。そしてそれを他国には見えないように巧妙に行っていました。あるいは正当な粛清であり必要なものだったと宣伝していました。
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『ブラッドランド ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』では独ソ戦で起きた大量虐殺の悲劇はナチス、ソ連の相互関係によってより悲惨なものになったことを明かしていきます。ナチスの残虐行為だけが世界史においてはクローズアップされがちですが、それだけではナチスの行動の全貌を知ることはできません。
ナチスとソ連というもっと大きな視点でホロコーストの実態を見ていくことがこの本の特徴です。
「ナチスは異常で残虐で悪い人間だった」と単に片付けるのではなく、もっと大きな視点からなぜ人間はそのようなことを行ってしまったのかということに迫っていくのが本書の素晴らしい点です。
続く
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ブラッドランド 上 ――ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実 (ちくま学芸文庫 ス-29-1)
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これは非常に重要な指摘です。著者はこの時代に起こった個々の出来事を様々な角度から見ていきます。歴史的な出来事を点として見るのではなく、当時の複雑な世界情勢、つまり面として見ていきます。
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『ブラッドランド ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』という作品は本当に衝撃的な一冊でした。
自分がいかに何も知らなかったかということを思い知らされました。私たちが習う世界の歴史では見えない事実がこの本にはあります。そしてそうした見えない事実こそ、私たちが真に学ぶべき事柄であるように思えます。
混乱を極める現代において、暗い歴史を学ぶことはたしかにつらいことかもしれません。ですが、だからこそこうした歴史をくり返さないためにも苦しくとも学ぶ意味があるのではないかと思います。
ぜひ、これらの記事を読んで頂けたら嬉しく思います。
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