目次
『天使のためのウヴェルテュール前編(アレクサンドル1世紹介漫画) 』| 跳魚@ロシア史
本日はTwitterやpixivで活動されています跳魚@ロシア史さん(以下、跳魚さんと呼ばせて頂きます)の『天使のためのウヴェルテュール前編 』をご紹介します。
私は以前の記事「謎の国ロシアの歴史を年表を用いてざっくり解説!」で簡単にではありますがロシアの歴史についてお話ししました。
この記事では一人一人の皇帝の姿を詳しくは述べることができませんでしたが、跳魚さんの『天使のためのウヴェルテュール前編 』ではあの無敵のナポレオンを敗走させたアレクサンドル1世について彼の波乱万丈の生涯をわかりやすく漫画で紹介して下さっています。
ロシアの皇帝というとかなりいかついイメージがあるかもしれませんが、跳魚さんのイラストは非常に繊細で美しくて、とっつきにくいロシア史のイメージが変わると思います。
そしてこのアレクサンドル1世という方は実際にかなりの美男子として有名なお方でした。
跳魚さんはそんなアレクサンドル1世の生涯を読みやすく面白い漫画にして私たちに紹介してくれます。
以下Twitterのツイートも引用します。
私が跳魚さんの漫画に惹かれたのはそのアレクサンドル1世への愛、ロシアへの愛がものすごく伝わってきたところでした。もうめちゃくちゃアツいです。
そして何より、しっかり史実を調べてからクオリティの高いものを作品として発信したいという姿勢が素晴らしいなと思いました。
しっかり学んだ上で、多くの人にその魅力が伝わるように描いていく。
私もその姿勢に大いに元気づけられました。
アレクサンドル1世は非常にナイーヴな性格を持った皇帝と言われており、豪傑揃いのロシア皇帝の中では異質な存在かもしれません。
そんな彼が権謀術数渦巻くロシア宮廷でどう生き抜いていったのか、そしてどうやってあのナポレオンを倒すほどまでになったのか、これは非常に興味深いところであります。
跳魚さんによると続編はまだ執筆中とのことですが、その続編は「欧州最強の覇者ナポレオンとの対決を見据えた腹の探り合い、平和を希求しながらも一度決めたら最後まで戦い抜く強さ、それも不安と自己否定に苛まれながらのものであり…」とアレクサンドル1世のハイライトが描かれていくそうです。これは乞うご期待です。
現在『天使のためのウヴェルテュール前編 』はTwitterやpixivで無料で公開されています。
これだけクオリティの高い作品が無料で見られるのは大変なことです。ぜひご覧になってください。
きっとロシアの面白さや魅力が伝わってくると思います。
跳魚さんもツイートで次のように述べられていました。
私がモスクワに留学した時「半分は嫌いになって帰ってくる、半分は更に好きになって何度も行くようになる」と教授から言われましたが、私は完全に後者でした…掘っても掘っても魅力が尽きない不思議な国です。
Twitterより
自分の身でその魅力を感じられた跳魚さんだからこそ出せる面白みがこの作品にはにじみ出ています。
とてもおすすめな作品です。
以上、「跳魚@ロシア史と露様『天使のためのウヴェルテュール前編(アレクサンドル1世紹介漫画) 』~ロシア皇帝アレクサンドル1世を漫画で紹介! 」でした。
次の記事はこちら
あわせて読みたい
ツルゲーネフ『その前夜』あらすじと感想~農奴解放直前のロシアを描いた長編小説
この作品が発表された1860年はまさしく1861年の農奴解放令の前夜でした。
世の中の流れが農奴解放へと向かって行く中で、青年たちはどのようなことを思い、何をしようとしているのか。それをツルゲーネフは凝視します。
前の記事はこちら
あわせて読みたい
R・ヒングリー『19世紀ロシアの作家と社会』あらすじと感想~知られざるロシア社会と文学者のつながり...
ドストエフスキーをはじめとしたロシア文学がなぜこうも私たちの心を打つのか。
それは彼らの人生に対する真剣さにあったのだ。
著者のヒングリーはそう述べます。
この本は19世紀のロシア社会やその文化と作家たちのつながりを解説しています。
文学論や哲学講義としてはよく出てくる19世紀ロシアですが、その社会事情や文化面はなかなか話に上ってくることがありません。そういう意味でこの本は非常に興味深い視点を与えてくれます。
関連記事
あわせて読みたい
謎の国ロシアの歴史を年表を用いてざっくり解説!
正直、ドストエフスキーを学ぶまで私はほとんどロシアのことを知りませんでした。
「極寒の薄暗いどんよりした恐い国」
そんなイメージが頭にあるだけでした。
いつ頃からロシアという国が成立し、どんな歴史を経て今に至っているかなど全く想像すらできなかったのです。いや、興味関心もなかったというのが正直なところかもしれません。
謎の国ロシア。
ですが、いざ調べてみると実はこの国の歴史は非常に面白いことがわかってきました。
あわせて読みたい
キャサリン・メリデール『クレムリン 赤い城壁の歴史』あらすじと感想~イデオロギーとしての「モスク...
歴史を知ることは現在を知ることである。
その歴史がどう編纂され、どのような意図を持っているのか。
この本はクレムリンの歴史を学んでいく本ではありますが、実は現在のロシア、いやそれだけにとどまらず世界中の人間の「現在」を解き明かしていく作品となっています。これは非常に興味深いです。
この本を読むことでクレムリンを通したロシアの歴史、精神を学ぶことができます。非常にスリリングで面白い本でした。かなりおすすめです!
あわせて読みたい
暴君!?名君!?イヴァン雷帝の混沌たる精神とは!ロシアの謎に迫る鍵!
謎の多いドストエフスキー作品を考えていく上でこの人物を知ることができたのはとてもありがたいことでした。
シンプルに読み物として、歴史物語としてもとても面白いので『イヴァン雷帝』はとてもおすすめです。彼を知ることは「かつての古い歴史」を学ぶというだけではなく、「今現在の私たちの世界」を知る手がかりになります。
それほど示唆に富んだ人物です。
ぜひイヴァン雷帝の圧倒的スケールを皆さんも体験して頂けたらなと思います。
あわせて読みたい
サンクトペテルブルクを作った男ピョートル大帝―ロシア版明治維新を断行した規格外の皇帝に迫る
ロシアの広大な土地を統御するにはそれほどスケールの大きな人物でなければ成り立たない。
並の人物では到底成しえないことを彼らは軽々とやってのけます。
ドストエフスキーやトルストイが活躍するロシアはこうした規格外の皇帝たちが作りあげたものなのです。
ロシアの近代化を成し遂げ、サンクトペテルブルクを作った男ピョートル大帝も非常に興味深い人物でした。
あわせて読みたい
川端香男里『ロシア その民族と心』あらすじと感想~ロシアの精神的風土を学ぶのにおすすめの入門書!
ロシアに関する本には文学論や思想論はたくさんあるのですが意外とこの本のようなロシア人の素朴な生活や気候、風土からその精神に迫っていく本は数少ないです。
ロシア人の精神がどのようなところにその根っこがあるかを知るのは非常に興味深いです。ましてそこからさらにロシア文学へと絡めてお話ししてくれるので非常にわかりやすいです。
あわせて読みたい
ナポレオンのモスクワ遠征と冬将軍、栄光からの転落~ドストエフスキー『罪と罰』とナポレオンの関係を考察
今回はいよいよ大詰めです。いよいよナポレオンとドストエフスキーの祖国ロシアとの対決です。
ドストエフスキーの『罪と罰』の主人公ラスコーリニコフとナポレオンの関係をテーマに、ここまで長々とナポレオンの歴史をたどってきました。
改めてラスコーリニコフの言葉を読んでみると、ナポレオンの激動の流れを絶妙に言い表しているなと感心してしまいます。
あわせて読みたい
コレンクール『ナポレオン ロシア大遠征軍潰走の記』あらすじと感想~ナポレオンのロシア遠征を詳しく...
著者のコレンクールはナポレオンのロシア遠征を最も近くで見ていた人物です。
この本ではロシア遠征においてナポレオンが何を考え、どう行動したかを知る上ではこの上ない記録です。
特に、書名にもありますようにナポレオン軍のモスクワからの無残な敗走の姿をこれでもかと描写しています。
あわせて読みたい
モンテフィオーリ『ロマノフ朝史1613-1918』あらすじと感想~ロシアロマノフ王朝の歴史を学ぶのに最高の...
私にとってはモンテフィオーリは絶大な信頼を寄せうる歴史家なのですが、今作も安定のモンテフィオーリクオリティーでした。「素晴らしい」の一言です。
ロマノフ王朝の始まりからいかにしてロシアが拡大し、力を増していったのかをドラマチックにテンポよく学ぶことができます。
それぞれの皇帝ごとに章立ても進んでいくので時代の流れもとてもわかりやすいです。
あわせて読みたい
O・ファイジズ『ナターシャの踊り ロシア文化史』あらすじと感想~ロシアの文化・精神性の成り立ちに迫...
ロシア的な精神とは何なのかということを学ぶのに最高の一冊!。
この本はドストエフスキーのキリスト教理解を学ぶ上でも非常に重要な視点を与えてくれます。
コメント