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スリランカと民族スリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

川島耕司『スリランカと民族』~シンハラ・ナショナリズムと民族対立の流れを詳しく知るのにおすすめ!

本作『スリランカと民族―シンハラ・ナショナリズムの形成とマイノリティ集団』は民族対立の形成過程を個々の民族や宗教ごとに詳しく見ていける点にその特徴があります。特に1930年代から40年代にかけての移民排斥運動に着目して本書は論じられていきます。

本書はスリランカ内戦に関する新たな視点を私たちに示してくれます。

この本を読んで「え!そうだったの!?」という事柄が何度も出てきて私自身も驚かされることになりました。

スリランカ内戦や政治の流れを知る上で本書は必読の一冊です。ぜひぜひおすすめしたい作品です。

スリランカから世界を眺めてスリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

A・C・クラーク『スリランカから世界を眺めて』~『2001年宇宙の旅』で有名なSF作家のスリランカ愛を知れるエッセイ集

アーサー・C・クラークはスタンリー・キューブリックと共にあの『2001年宇宙の旅』を手掛けたSF界の巨匠です。

そのアーサー・C・クラークがなっとスリランカを愛し、スリランカへの想いを述べたエッセイを書いていた!

それを知った私は迷うことなくこの一冊を手に取ったのでありました。

セレンディップスリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

『セレンディップの三人の王子たち』あらすじと感想~セレンディピティの語源となったスリランカの物語

『セレンディップの三人の王子たち』はセレンディピティの語源となった物語として知られています。

「求めてもいないものを偶然と英知で発見してゆく」

これがセレンディピティという言葉の意味になります。

そして意外なことに、本書『セレンディップの三人の王子たち』自体はスリランカで語られたものではなく、ペルシアで語られていたスリランカのおとぎ話になります。あくまでスリランカは王子たちの出身国でその舞台になったというのにすぎません。ですが当時のペルシア人からしてもスリランカには何かそうした憧れや楽園的なものを想像させるものがあったのでしょう。

有名なセレンディピティという言葉の大元となった作品を読めるというのはなかなかに刺激的な体験です。

スリランカ学の冒険スリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

庄野護『スリランカ学の冒険』~意外な視点から見ていくスリランカ入門書!セレンディピティに溢れた一冊!

本書はこの記事のタイトルにありますように意外な切り口から語られるスリランカを知ることができます。目次にある「カシューナッツの流通学」「漱石のカレー学」「カラスの生態学」など、パッと見ただけでは「これのどこがスリランカ?」と思ってしまうかもしれませんがこれが見事にスリランカ世界を知る手掛かりとなるのですからお見事としか言いようがありません。ものすごく面白いです。

セイロン島誌スリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

ロバート・ノックス『セイロン島誌』あらすじと感想~ロビンソン・クルーソーのモデルにもなった1600年代後半の驚異の実話!

本作の著者ロバート・ノックス(1641-1720)はイギリス東インド会社の貿易船の船員でした。彼の乗る船はインド洋航海中に嵐に遭い、セイロン島(スリランカ)に1660年に寄港しました。そこから彼らはおよそ20年にわたってスリランカ中央部のキャンディ王国の捕虜として生活することになります。

キャンディ周辺は単に高地であるだけでなく、深いジャングルに覆われており移動は極めて困難でした。いわば陸の孤島です。そんな脱出困難な状態から命からがら20年をかけて脱出したノックスの体験が綴られたのが本書『セイロン島誌』になります。

ARCレポートスリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

『ARCレポート スリランカ2023/2024』~最新のスリランカ情勢がまとめられた政治経済の報告書

なんとかスリランカ最新の状況を知ることができないか。2022年の経済危機と暴動は何だったのか。中国の一帯一路はどうなっているのか、インド、アメリカ、日本との関係はどうなっているのか。

インドと違ってスリランカの最新情勢が書かれた本というのはなかなかありません。というより、ほとんど見かけません。

そんな中ようやくヒットしたのが本書『ARCレポート スリランカ2023/2024』でした。

タイトルの通り、まさに最新の最新。2023年版のスリランカの政治経済の報告書が本書になります。

内戦後のスリランカ経済スリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

荒井悦代編『内戦後のスリランカ経済』~2016年時点の経済状況と内戦について学ぶのにおすすめ

本書『内戦後のスリランカ経済』は内戦後の経済に特化して学ぶことができます。これまでもスリランカについて様々な本を読んできましたが経済に特化した本というのは初めてで、私にとってもものすごく新鮮でした。

私はこれからスリランカを実際に訪れる予定ですが、この本で書かれていた様々な事例を目で見てきたいと思います。

スリランカを新たな視点で見れた本書には大感謝です。とても刺激的な一冊でした。ぜひ皆さんも手に取ってみてはいかがでしょうか。

資本主義と奴隷制スリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

エリック・ウィリアムズ『資本主義と奴隷制』~奴隷貿易とプランテーションによる富の蓄積が産業革命をもたらした!?

本書はマックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で説かれたような定説を覆した歴史学の金字塔的名著として有名な作品です。

この本のメインテーマはまさに「奴隷貿易と奴隷制プランテーションによって蓄積された資本こそが、産業革命をもたらした」という点の論証にあります。

本書もまさに巨大なスケールで歴史の流れを見ていく刺激的な作品でした。

改めて世界の複雑さ、巨大さを実感した読書になりました。

私たちの先入観を破壊する超ド級の作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

コーヒースリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

『コーヒーで読み解くSDGs』~危機的状況だったコーヒー業界が今どのように変わろうとしているのかを知るのにおすすめ!

前回の記事で紹介したアントニー・ワイルド著『コーヒーの真実』では世界のコーヒー業界の暗部を知ることとなりました。

その本を読んで頭を抱えた私ですが、本書『コーヒーで読み解くSDGs』ではそんな危機的なコーヒー業界を変えるべく奮闘している人々やその活動を知ることができました。

文章も読みやすく、写真も多く掲載されていますので気軽に手に取れる作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

コーヒーの真実スリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

アントニー・ワイルド『コーヒーの真実』~コーヒーの歴史と現在も続く不平等な貿易システムに警鐘を鳴らす一冊!

何も知らずに無邪気に美味い美味いと飲むことの何たる気楽さか。

そのほうが心理的負担は明らかに少ないです。

ですが全ての人がそうなってしまったらどうなってしまうのか。いや、現に世界は新自由主義でどうなってしまったか。

厳しいかもしれませんが、コーヒー好きだからこそ勇気を持ってこの本は読んでほしい一冊だと思います。