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私達日本人が今あえて独ソ戦を学ぶ意義ー歴史は形を変えて繰り返す・・・

目次

私達日本人があえて独ソ戦を学ぶ意義ー第二次世界大戦の悲惨な歴史を繰り返さないために

今回の記事より独ソ戦についての記事を始めていきます。

ソ連やスターリンを学ぶ上で独ソ戦は避けては通れません。

とは言え、恥ずかしながら私自身スターリンを学ぶまで独ソ戦のことはほとんど知りませんでした。いや、そもそも第二次世界大戦におけるヨーロッパ戦線のことすらほとんどわかっていなかったのです。

第二次世界大戦というと、私は無意識に太平洋戦争を連想してしまいます。どうしても日本が戦った戦争ばかり頭に浮かんできます。アジアでの悲惨な戦闘や太平洋での玉砕、本土空襲や沖縄戦、そして原爆投下、ソ連の侵攻・・・

しかし「第二次世界大戦」という名の示す通り、この戦争は世界規模の戦争でした。そしてその主戦場はやはりヨーロッパだったのです。ですがそのことがあまり意識には上ってこない。スターリンやソ連史を学ぶ流れで独ソ戦を学んだ私は改めてそのことに驚きました。これほど巨大な戦争について知っているようでほとんど何も知らなかったという事実。

ヒトラーがポーランドに侵攻し、その後ホロコーストを行い、最後には連合軍に負けヒトラーが自殺して戦争が終結した。

中学高校の教科書ではこの歴史について詳しくは書かれません。私は高校の時に日本史を選択したので高校世界史の教科書でどこまで書かれているかはわかりませんが、少なくとも日本史の教科書では第二次世界大戦のヨーロッパ戦線についてはほとんど記述はありませんでした。

つまり、私のような日本史選択の人間には第二次世界大戦の詳しい流れを知る機会がなかなかないのです。知ろうと思えば自分で調べなければなりません。大学時代は勉強する時間があるかもしれませんが、社会人になってから改めて第二次世界大戦を学ぶとなると時間的にも体力的にもやはり厳しいですよね。

日本が戦った太平洋戦争については様々なドラマや映画、ドキュメンタリーが作られているのでメディアを通じて私たちはその流れをなんとなく知っています。

ですがこの「なんとなく知っている」というのが厄介で、これがあるが故に第二次世界大戦全体への関心が薄れてしまうのではないかと思います。もし日本が戦った太平洋戦争についてほとんど知らなかったのなら「あの戦争とは何だったのだろう」という関心が生まれてくるだろうからです。そしてその流れで第二次世界大戦全体の流れも知らざるをえなくなってきます。

ですが「なんとなく知っているが故に」、学びがそこで止まってしまうのです。ドラマや映画、ドキュメンタリーで見た太平洋戦争のイメージで止まってしまうということが起ってしまうのです。

被害者としての日本。玉砕し、原爆を投下された日本。戦争に苦しむ日本人。平和を奪われた生活・・・

私たちはどうしても自分達日本に感情移入してしまいます。日本側の目線に立ってしまいます。どんなに気を付けても日本に対して中立ではいられません。好悪何かしらの感情から逃れることができません。

だからこそ独ソ戦を学ぶ意義があるのです。

想像を絶するほどの規模の戦いとなった独ソ戦は戦争の本質をこれ以上ないほど私たちの目の前に突き付けます。そしてその戦争に対して第三者的な目線からその歴史を学ぶことができるのです。もちろん、完全に中立な眼で見ることは不可能です。しかし当事国であった日本の戦争よりもはるかに距離を保った視点で戦争を学ぶことができるのです。

なぜ戦争は起きたのか。戦争は人間をどう変えてしまうのか。虐殺はなぜ起こるのかということを学ぶのに独ソ戦は驚くべき示唆を与えてくれます。私自身、独ソ戦を学び非常に驚かされましたし、戦争に対する恐怖を感じました。これまで感じていた恐怖とはまた違った恐怖です。ドラマや映画、ドキュメンタリーで見た「被害者的な恐怖」ではなく、「戦争そのものへの恐怖」です。

戦争がいかに人間性を破壊するか。

いかにして加害者へと人間は変わっていくのか。

人々を戦争へと駆り立てていくシステムに組み込まれてしまえばもはや抗うことができないという恐怖。

平時の倫理観がまったく崩壊してしまう極限状態。

独ソ戦の凄まじい戦禍はそれらをまざまざと私たちに見せつけます。

もちろん太平洋戦争における人々の苦しみを軽視しているわけではありません。

ですが、あえて日本から離れた独ソ戦を学ぶことで戦争とは何かという問いをより客観的に学ぶことができます。

「戦争の本質とは何か」という問いを独ソ戦を通して学ぶことで何が生まれてくるのか。

それは「日本における戦争とは何だったのか」、「今の日本はどういう状況なのか」という問いです。

日本が戦った太平洋戦争とは何だったのか。なぜ戦争は起こってしまったのか。戦争中日本は何をしたのか。

独ソ戦を学んでから改めて日本の戦争を考えてみるとこれまでとは違ったものが見えてくるのではないでしょうか。

そして私は今、世界が戦争前夜なのではないかと恐れています。日本は今コロナ禍で大混乱ではありますが、日常生活レベルにおいては一見戦争には遠い平和のようにも見えます。しかし、本当にそうなのでしょうか。第二次世界大戦前夜も人々は普通に生活を送っていたのです。しかしいざ戦争が始まるやそれが一変してしまったのです。それが今起こらないという保証はどこにあるのでしょうか。戦争の兆候は注意しないと見えてきません。

私はいたずらに危機を煽りたいわけではありません。この不安が杞憂で終わってくれることを願っています。

ですが戦争にならないためには、戦争に突入せざるをえなくなる状況が作られる前にそれに気付くしかありません。それに気付けなかったからこそヒトラーは国民から合法的に選ばれ、熱狂的な支持を得て戦争へ向かって行きました。戦時下におけるソ連の体制も非常に示唆に富んでいます。

これからしばらくの間独ソ戦やホロコーストについて記事を進めていきます。

私自身の勉強という面もありますが、皆さんにとっても「戦争とは何か」という問いを考えるきっかけとなってくれたならば嬉しく思います。

以上、「私達日本人が今あえて独ソ戦を学ぶ意義ー歴史は形を変えて繰り返す・・・」でした。

※2022年2月24日追加 ソ連史、独ソ戦、冷戦について

現在、緊迫したウクライナ情勢を見ていると以前アップしたこの記事の内容が頭をよぎります。

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この記事では1930年代にスターリン体制下のソ連によって実際に行われたウクライナへの飢餓政策(ホロドモール)についてお話ししています。この時ソ連は意図的にウクライナ人を餓死させ、少なくとも400万人以上の方が亡くなったと言われています。(研究によっては1450万人という説もありますが、ソ連はこの政策を隠蔽していたので調査が難航してしまいました。)

ソ連ウクライナ問題の根深さには私も絶句するばかりでした・・・

他にもソ連の歴史に関する記事を当ブログでは更新し続けてきました。

これらはソ連の歴史ではあるものの、ソ連だけの問題ではなく「人間そのものの問題」だと思います。悲惨な歴史をくり返さないためにも私たちは歴史を学ばねばならないのではないかと心から感じています。

ぜひ記事を読んで頂けたらなと思います。

私もソ連のことはほとんど何も知りませんでした。ですがいざ学んでみるとあまりに衝撃的な歴史がそこにはありました。きっと皆さんも驚くと思います。

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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