『ゲンロンβ63』齋須直人『「カラマーゾフの子供たち」、聖地ヴァラームへ行く』~ドストエフスキーとロシア正教のディープな世界へ
『ゲンロンβ63』齋須直人『「カラマーゾフの子供たち」、聖地ヴァラームへ行く』概要と感想~ドストエフスキーとロシア正教のディープな世界へ 今回ご紹介するのは株式会社ゲンロンより2021年7月に発行された『ゲンロンβ63』…
『ゲンロンβ63』齋須直人『「カラマーゾフの子供たち」、聖地ヴァラームへ行く』概要と感想~ドストエフスキーとロシア正教のディープな世界へ 今回ご紹介するのは株式会社ゲンロンより2021年7月に発行された『ゲンロンβ63』…
萩原俊治氏は大阪府立大学の教授として勤められ2012年に名誉教授となられました。
また、現在も大阪府立大学の公開講座「ドストエフスキーを読む」を開講されています。
上のプロフィールにもありますが、私も萩原氏のブログのファンで、特に『カラマーゾフの兄弟』について書かれた記事に大きな感銘を受けました。ぜひおすすめしたいです。
この本は萩原氏の熱いメッセージで溢れています。この本は単にドストエフスキーを解説するだけでなく、ドストエフスキーを通して人生そのものを探究していく1冊です。とてもおすすめな作品です。ぜひ手に取って頂きたい1冊です。
『ソヴェト旅行記』と同じく新潮社版のジイド全集は旧字体で書かれているので一瞬面を食らうのですが、読み始めてみるととジイドの筆が素晴らしいのかとても読みやすいものとなっていました。
そして何より、ドストエフスキーに対する興味深い見解がいくつもあり、目から鱗と言いますか、思わず声が出てしまうほどの発見がいくつもありました。今まで疑問に思っていたことや、かゆいけど手が届かなかった微妙なところをとてもわかりやすく解説してくれます。
フランス人作家ということでバルザックなどフランス文学との対比によってドストエフスキーを語ってくれるのも非常にありがたかったです。
この本は本当にすごいです。出版は1923年ということで、ドストエフスキー論の古典として有名な本ですがその内容は全く古びていません。
やはり欧米文学をやる上ではカントは避けては通れぬ道なのかもしれません。
とはいえ、正直申しまして私はカントやヘーゲル、プラトンなど西欧哲学が苦手です。挑戦してはあっさりと跳ね返され、未だにしっかりとは読めていません。
ですがこの本ではその言わんとしていることが何となくわかります。カントを知った上で読むのがベストなのかもしれませんが、そうでなくとも読んでいくことができます。
ドストエフスキーをまた違った視点から見ることができる興味深い作品でした。
人生の苦悩の中に光明が、救いがある。苦悩を苦悩として引き受けていく、そこにドストエフスキー作品の救いがあるとベルジャーエフは述べます。
ドストエフスキーは重くて暗い作品ばかり書いたというイメージが根強い作家ですが、それは真のドストエフスキーではないと彼ははっきり言うのです。ここに彼のドストエフスキー観の特徴があります。
クドリャフツェフの『革命か神か―ドストエフスキーの世界観―』と対比しながら読むとそれぞれの思想の違いが際立ってさらに面白くなります。
この本は前回ご紹介した佐藤清郎著『観る者と求める者 ツルゲーネフとドストエフスキー』と共にものすごい本でした。ぜひ2冊セットで読むことをおすすめします。そうするとこの本の持つ意味がより深まると思います。
ソ連時代にドストエフスキーがいかにしてソ連化していったのかがとてもわかりやすいです。そしてドストエフスキーが非信仰者であるという論説がどのようにして生まれてきたのかも知ることができます。これはドストエフスキーとキリスト教を学びたいと思っていた私にとっては非常に興味深かったです。あまりに面白かったので夜寝る時間が大幅に遅れてしまったほどです。読んでいて途中で切り上げるなんて到底できなくなりました。それほどこの本はすごいです。
やはり比べてみるとわかりやすい。特に、ツルゲーネフとドストエフスキーは真逆の人生、気質、文学スタイルを持った二人です。
違いが大きければ大きいほど見えてくるものははっきりしてきますよね。
この著作を読むことでドストエフスキーがなぜあんなにも混沌とした極端な物語を書いたのか、ツルゲーネフが整然とした芸術的な物語を書いたのかがストンとわかります。
この記事では「ドストエフスキーは無神論者であり、革命思想を持った皇帝暗殺主義者だった」という説について考えていきます。
これは日本でもよく聞かれる話なのですが、これはソ連時代、ソ連のイデオロギー下で発表された論説が基になっていることが多いです。
この記事ではなぜそのようなことになっていったのかもお話ししていきます。
この記事ではドストエフスキー作品一覧と彼の生涯を簡潔にまとめた年表を掲載します。
ドストエフスキーの生涯は簡易的な年表では言い尽くせない波乱万丈なものです。特にアンナ夫人とのヨーロッパ外遊の頃は賭博に狂った壮絶な日々を送っています。
ドストエフスキー作品は彼の生涯とも密接な関係を持っています。彼の生涯を知ることは作品を知る上でも非常に大きな助けとなるのではないでしょうか。
『カラマーゾフの兄弟』が発表されてから120年。これだけの月日が経っても変わらずに多くの人から愛され続けているのはそれなりの理由があります。
この物語が持つ魅力があるからこそ、読者に訴えかける何かがあるからこそ、こうして読み継がれているのだと思います。
『カラマーゾフの兄弟』はドストエフスキー作品の中でも私が最も好きな、そして思い入れのある作品です。
長編小説ということでなかなか手に取りにくい作品ではありますが、心の底からおすすめしたい作品です。