ドストエフスキー初期作品あらすじまとめ

ドストエフスキー作品

はじめに

この記事では1846年から1849年のシベリア流刑までに書かれた作品のあらすじを簡潔にまとめていきます。

ドストエフスキーといえば『罪と罰』や『悪霊』、『カラマーゾフの兄弟』など、長編のイメージが強いですが実はその作家人生の初期には多くの短編を書いていました。

ですが、デビュー作『貧しき人びと』の後の彼は苦悩が続きます。文壇からは酷評続きでヒット作と呼べるようなものがまったく出てこないのです。

これから紹介していく初期短編はドストエフスキーのそんな苦悩の時代の作品になります。

大成する前の若きドストエフスキーの姿をこれらの作品から感じることができます。

初期作品は他のドストエフスキー作品と比べてあまりにマイナーですので、ひとつひとつの作品の紹介はかなり簡潔なものになりますがご容赦ください。

※以下の作品は『ドストエフスキー全集』(新潮社版)1巻、2巻を読んでまとめています。

『プロハルチン氏』

小役人が恐るべきほどの執着でお金を節約し、貯めこんで生活している。

しかしちょっとした噂話におののき、精神を病みそのまま死亡。

住人たちは彼の死後、彼が1700ルーブル(およそ170万円)もの大金を貯めこんでいることを知る。

ゴーゴリの『外套』の影響が極めて強い作品。

『九通の手紙にもられた小説』

2人の紳士が手紙で互いにののしり合うも、1人の男に結局互いの妻が寝取られていたという小話。

『家主の妻』

『罪と罰』ラスコーリニコフの原型となるオルドゥイノフという若き夢想家が主人公。学問における芸術家として独自の思想体系を求める。

しかし考えすぎて引きこもり。

カチェリーナという女性に恋するも謎の老人ムーリンに阻まれる。

『弱い心』

アルカージィ・イワーノヴィチとワーシャ・シュムコフという親友2人の物語。

2人は貧しく、シェアハウスで5年間同居している。

ある日シュムコフが突然結婚することをアルカージィに告げる。

しかしその日からシュムコフの精神がおかしくなり始める。

幸せを失ってしまう恐怖、いつか仕事を失ってしまう恐怖に彼は精神を病み始める。

上司に特別に回してもらった仕事も手がつかず、これを終えられなかったら破滅だとますます精神に異常をきたし始める。

貧しいが故、そして弱い心の故に自ら破滅へと進んでいってしまう優しい青年の物語。

『ポルズンコフ』

ポルズンコフというドストエフスキーにおける道化の原型が現れる作品。

『正直な泥棒』

ある日2人住まいのアパートに、アスターフィイ・イワーノヴィチという間借り人が住み着くようになる。

アスターフィイはある日、この家にやって来たコート泥棒の一件をきっかけに正直な泥棒の話を語り始める。

仕事もせず、他人のおこぼれに預かり、住む家もないダメ男エメーリヤを引き取ったアスターフィイ。

しかしエメーリヤはある日、アスターフィイのコートを盗み金に換えてしまう。

彼は自分はやってないと主張し家を出てしまうも、後日憔悴しきって帰ってくる。

そして死の間際、自分の罪を告白するのであった。

彼は自分の罪に恐れおののき最期の時を迎えるのであった。

『クリスマス・ツリーと結婚式』

主人公である語り手が5年前の舞踏会を回想している。

裕福な老人の11歳の女の子。その子には30万ルーブル(約3億円)の持参金がある。

それを狙ったユリアン・マスタコヴィッチはあと5年で結婚できると老人に取り入ろうとする。

だが物語で注目すべきはその場に居合わせた哀れな男の子。

彼は家庭教師の息子ということで身分もなく金もない。

そのため他の子供たちにけむたがられる。

しかし彼は道化を演じ相手を喜ばせることでその輪になんとか入り込もうとする。

だが結局他の男の子に殴られて追い出されてしまう。

その後に優しく遊んでくれたのがあの11歳の女の子だったのだ。

ユリアン・マスタコヴィッチは男の子が邪魔だったので散々彼を責め立てる。

そんなかわいそうな男の子に対する語り手の優しいまなざしが感じられる作品。

『白夜』

人と接することのない夢想家の青年がある女に恋をする。

夢想家の主題は地下室を経てラスコーリニコフへとつながっていく。

恋した女が結局違う男のもとへ走っていってしまうやりきれなさを感じる作品。

『他人の妻とベッドの下の夫』

老人がある青年に声をかけ、2人はある建物に向かうことになる。

老人は青年を妻の浮気相手と疑っていた。

青年は青年で女を探しているところだった。

お互いがお互いの内情を探り合いはぐらかし合うなんともかみ合わないやりとり。

そして舞台は変わり妻を追っていた老人は、劇場で逢瀬の恋文が頭上に落ちてきたのをきっかけにその現場へ急行する。

そして部屋に入った瞬間、人違いであったことに気付くもタイミング悪くその夫が帰って来てしまった。

慌てた老人はベッドの下に隠れるも、なんとそこには先客が!

狭いベッドの下で窮屈な姿勢のままやり合おうとする2人の会話がなんとも面白い。まさかドストエフスキーの作品で笑ってしまうことがあるとは。

これはドストエフスキー作品の中でも異色の作品。

『永遠の夫』につながる作品でもある。

『ネートチカ・ネズワーノワ』

自分に才能があると信じてやまないヴァイオリン弾き。

しかし生来のだらしなさや自尊心の高さから行く先行く先で人とぶつかり、やがて酒に溺れるようになる。

彼は金目当てである女と結婚するも、すぐにその金は酒に消える。

主人公はその娘。

娘は どうしようもない、だめな父親を深く愛する。

だが、ある日父は娘に家の金を母から盗めとそそのかす。

それによって娘は幼い時から良心に心を痛めることになる。

そしてある日、海外からSという本物の才能あるヴァイオリン弾きがやってくる。それを見た父は自分の信じていた才能が幻であることに絶望。

母を殺し、娘を連れて逃亡するも、途中で娘を置き去りにしてしまう。

「いいかい、おれじゃないんだ。これはおれのせいじゃないんだよ」

結局娘は保護され、父は発狂してのたれ死んでしまう。

物語はその後も続き、この娘の成長と新たな生活を描いていく。

『小英雄』

貴族の館における、少年と貴族の娘たちとのやりとりや恋を描く。

うじうじしてしまう少年と、同時に子供らしい感性でそれらの日々を観察する。

この作品は年表上ではシベリア流刑後の作品となっていますが、これが書かれたのはなんと、逮捕されて流刑に遭うまでの拘置所でのことでありました。

おわりに

かなりざっくりとしたあらすじでしたが、以上、「ドストエフスキー初期作品あらすじまとめ」でした。

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