ドストエフスキー資料データベース

ドストエフスキー論

ドリーニン編『スースロワの日記―ドストエフスキーの恋人』~ドストエフスキーのローマ滞在について知るためにも

私がこの本で注目したのはドストエフスキーのローマ滞在についてでした。

この旅で二人はパリ→バーデン・バーデン→ジュネーブ→トリノ→ジェノア→リヴォルノ→ローマ→ナポリ→リヴォルノ→トリノ→ベルリンを巡ります。

ドストエフスキーはこの旅の中でローマに立ち寄り、サンピエトロ大聖堂やコロッセオを見物しています。

ドストエフスキーがローマで何をしていたのか、スースロワとどんなやり取りをしていたのかもこの本で知ることができます。もちろん、限られた情報ではありますが貴重な情報であることに変わりはありません。

私にとってはローマとドストエフスキーを知る上で非常にありがたい1冊でした。

ドストエフスキー論

おすすめ!齋須直人×上田洋子「ドストエフスキーは戦争を支持するか?〜2022年のロシアを旅して」#シラス

この番組ではドストフスキー研究者齋須先生と上田洋子さんが「ドストエフスキーは戦争を支持するか」というテーマでお話をしていきます。

番組冒頭では齋須先生が紹介して下さる様々な資料をもとに、ドストエフスキーがロシアでどのように引用されているかということをまずは見ていきます。特にプーチン大統領がどのような文脈でドストエフスキーを引用し、そこにどんな意図を持たせているのかということは非常に興味深かったです。

プーチン大統領がどのような国家観を持ち、どのような理論で西欧を批判しているのかというのがとてもわかりやすかったです。そしてそれをドストエフスキーと絡めて聴けるというのも私にとってはとても嬉しいものがありました。

ドストエフスキー論

G・ステイナー『トルストイかドストエフスキーか』~ロシアの二大文豪の特徴をわかりやすく解説した名著!

「トルストイかドストエフスキーか」。両方はありえない。 このことはこれまでトルストイ作品を読んできて強く感じたことでしたがこの作品はそのメカニズムを見事に解明してくれる名著です。

いやぁ~、とにかく面白い!この本はものすごいです!これはぜひともおすすめしたい作品です!

トルストイとドストエフスキーの特徴が非常に鮮明に見えてきます。ぜひぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。ドストエフスキーが好きな人はドストエフスキーを、トルストイが好きな人はもっとトルストイを好きになることでしょう。

ドストエフスキーとフロイトの父親殺し

『カラマーゾフの兄弟』はなぜ難しい?何をテーマに書かれ、どのような背景で書かれたのか~ドストエフスキーがこの小説で伝えたかったこととは

この記事では実際に『カラマーゾフの兄弟』が書かれた背景とはどのようなものだったのかをお話していきます。

「難しい」「読みにくい」と言われることの多いこの作品ですが、なぜそのように感じてしまうのか、その理由にも迫っていきます。

この作品の背景を知ると、『カラマーゾフの兄弟』がまた違って見えてきます。カラマーゾフは面白い!!ぜひおすすめしたい記事です!

ドストエフスキーとフロイトの父親殺し

『カラマーゾフの兄弟』は本当に父殺しの小説なのだろうか本気で考えてみた~フロイト『ドストエフスキーの父親殺し』を読んで

フロイトはこの作品でドストエフスキーの生涯や性格をエディプス・コンプレックスの観点から分析し、『カラマーゾフの兄弟』においても父殺しの衝動が彼にそれを書かせたと結論づけます。

ですが、はたして本当にそうだったのでしょうか?

『カラマーゾフ』は本当に父殺しの小説なのかどうかをこの記事では考えていきます。

ドストエフスキーとフロイトの父親殺し

フロイトの『レオナルド・ダ・ヴィンチの幼年期の想い出』に見るフロイト理論の仕組みとその問題点とは

この記事で紹介する『レオナルド・ダ・ヴィンチの幼年期の想い出』はまさに、歴史的人物にフロイト理論を当てはめるとどういうことになるのかということが最もわかりやすい例です。

フロイトがいかにして自身の理論を適用し、物語を創造していくのかをこの記事で見ていきます。

フロイトの『ドストエフスキーと父親殺し』を読む前にぜひこちらもご覧いただければと思います。

ドストエフスキーとフロイトの父親殺し

フロイトの『ドストエフスキーの父親殺し』を読む前に注意すべきこと~フロイト理論を読む上での五原則

この記事では前回紹介した『精神分析に別れを告げようーフロイト帝国の衰退と没落』 から、フロイト理論を読む上で気を付けるべき原則を紹介していきたいと思います。フロイトの実態が恐ろしいほど見えてきます。きっと読めば驚くと思います。フロイト理論は私たちの日常でもよく耳にするものですが、これがいかに根拠のないものかということが明らかにされます。

ドストエフスキーとフロイトの父親殺し

アイゼンク『精神分析に別れを告げようーフロイト帝国の衰退と没落』~フロイト理論の問題点を指摘する作品

前回の記事で紹介したフロイトの伝記、ルイス・ブレーガー著『フロイト 視野の暗点』でも、フロイトがいかに科学的根拠のないまま理論を作り上げ、それを適用していったかが書かれていました。その伝記で書かれていたフロイトのあり方をより詳しく、ひとつひとつの理論がいかに根拠もなく語られていたかを知るのにこの本はおすすめです。

かなり衝撃的な内容が書かれています。私もかなりショックを受けました。

ドストエフスキーとフロイトの父親殺し

ルイス・ブレーガー『フロイト 視野の暗点』~フロイトの虚構と神話を指摘する、中立的なおすすめ伝記

この伝記の著者ルイス・ブレーガーは現代精神分析研究所の初代所長を務めた人物です。

つまり、この本はフロイト側の精神分析家による伝記になります。ですが、この伝記は非常に公正です。フロイトの間違っているところや欠点もこの本ではかなり詳しく指摘され、英雄視したり神話化するような伝記ではありません。

その上でフロイトがいかにして世に出たのか、彼の特徴はどこにあったのかということを解説していく伝記です。これは非常にありがたいものでした。

ドストエフスキーとキリスト教

パウエル中西裕一『ギリシャ正教と聖山アトス』~知られざる正教の文化とギリシャの聖地とは

この本では私たちがあまり知ることのない正教の教えをわかりやすく解説してくれます。カトリックやプロテスタントとの違いもこの本を読めば見えてきますし、聖地アトス山が一体どのような場所なのかということも知ることができます。

長きにわたって守られ続けてきた祈りの生活とははたしてどんなものなのか。修道士は何を思い、どんな生活をしているのか。

読んでいて驚くような世界がどんどん出てきます。

写真も豊富で、現地の様子が非常にイメージしやすいです。これもこの本のありがたいところです。

著者の語り口もとても読みやすく、楽しみながら知られざる正教の姿を学ぶことができます。