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(20)結局、スメルジャコフの父は誰なのだろうか

カラマーゾフの兄弟を読む
目次

「カラマーゾフを読む」(20)結局、スメルジャコフの父は誰なのだろうか

第三編 好色な男たち 二 リザヴェーダ・スメルジャーシチャヤ

この章では物語の鍵を握る男、スメルジャコフの母について語られます。

このリザ・ヴェーダという女性も私たち日本人からするとあまりに異様な存在です。

これもロシアならではの素朴な信仰と風習があってこそです。当時のロシアにはこういう文化があったのだということを感じながら読み進んでいきましょう。

そしてそこに現れたのがやはり好色なこの男。フョードルです。

ただ、この章を読んで頂ければわかりますように、ドストエフスキーはリザヴェーダ懐妊の犯人をフョードルと断言していません。あくまで、状況証拠的にフョードルなら十分やりかねないということを暗示するのみです。

もし本当にフョードルがスメルジャコフの父であるとするなら、カラマーゾフの兄弟は三兄弟ではなく四兄弟ということになります。しかも彼らには異なる3人の母がいるということになり、いよいよ事態は複雑になってきます。

後の章でこの四男スメルジャコフについて詳しく語られますが、上の三兄弟に劣らぬ強烈な個性の持ち主です。ナンバー1の曲者と言ってもよいでしょう。その生まれから憎しみと屈辱にまみれたスメルジャコフ。彼の存在がこの物語を動かすキーパーソンになっていきます。

その前史としてこの章では母親のリザヴェーダについて語られたのでありました。

それにしても、ドストエフスキーは相変わらずはっきりしない物言いです。結局スメルジャコフの父は誰なのでしょう。フョードルの可能性が限りなく高いのは間違いないのですが、万が一の可能性を捨てきれないのがもどかしい!やはりドストエフスキーは謎を残す書き方を意図的にしています。これぞ空白の創造。だからこそ私達は「一体これからどうなるのだろう」と興味を引かれてしまうのです。

続く

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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