チェーホフ『三人姉妹』あらすじと感想~悲劇と喜劇の融合!晩年の熟練した技術が詰め込まれた傑作劇!
『かもめ』で圧倒的な成功を収めたチェーホフ。その新しい演劇方式は演劇界に革命をもたらしました。チェーホフは独自な劇をするということが世に広まった後ですら、この台本を見た舞台関係者は困惑してしまうほどでした。
この作品はチェーホフの劇へのこだわりが強く出ている作品となっています。
『かもめ』で圧倒的な成功を収めたチェーホフ。その新しい演劇方式は演劇界に革命をもたらしました。チェーホフは独自な劇をするということが世に広まった後ですら、この台本を見た舞台関係者は困惑してしまうほどでした。
この作品はチェーホフの劇へのこだわりが強く出ている作品となっています。
この劇は『かもめ』というロシア演劇界に革命を起こした作品を経てさらに円熟した作劇が光る作品となっています。
この作品の大きなテーマは「絶望から忍耐へ」です。
この作品を見たゴーリキーは感動して号泣してしまったと言われています。
この記事ではそんな『ワーニャ伯父さん』についてお話ししていきます。
『かもめ』はチェーホフの代表作として今では有名ですが、実はこの劇の初演はとてつもない大失敗だったと言われています。
『かもめ』は当時の劇としては斬新すぎてお客さんどころか演じる役者ですら全く理解できなかったそうです。
しかしその2年後ダンチェンコによってモスクワ座で『かもめ』が再演されます。チェーホフの意図するところを深く理解した彼によって指揮された『かもめ』はロシア演劇界最大級の事件になるほどの大成功を収めます。
この成功があったからこそ後の『ワーニャ伯父さん』『三人姉妹』『桜の園』という名作劇が作られていくことになったのでした。
この物語は20ページほどの短い物語ではありますが思わずじーんとくるものがあります。母が最期に息子に呼びかけるシーンは何度読んでも泣きそうになります。
この作品が書かれたのはチェーホフの晩年です。
チェーホフ自身も結核でこれ以上あまり長く生きられないことを覚悟していたと思います。そういう時期にこの作品が書かれたというのもチェーホフを知る上で非常に意味があることなのではないかと私は感じました。
この作品もおすすめです。チェーホフ作品の中でも随一の感動作です。
この物語は不倫の物語です。
チェーホフはこうした不倫の物語を多く描いています。 実はこれ、フランス人作家エミール・ゾラにもそうした傾向がありました。
ゾラにしろチェーホフにしろ、なぜ不倫ものを書いたのでしょう。私はそこに彼ら流の問題提起があるように思えます。
不倫ものをチェーホフは多く書きましたが、単にゴシップ的なものを書きたかっただけというのではなく、そこにある人間の苦悩をチェーホフは見つめていたのではないでしょうか。
チェーホフの『谷間』の老人はドストエフスキーの『百姓マレイ』を彷彿とさせるものがあります。農村に生きる素朴な老人。彼らの優しさが人間性への信頼を取り戻させてくれたのです。
この作品はたしかに暗い雰囲気があるものの、救いがあります。チェーホフの人間愛や優しさが感じられる作品です。
ゴーリキーやトルストイなど錚々たる人達にも絶賛された作品です。ページ数も50頁ほどと読みやすい分量になっています。ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
『可愛い女』を大絶賛し他人の前で何度も朗読までしたトルストイ。彼がいかにこの作品を気に入っていたかがうかがわれます。
こうしたところにもトルストイの考える理想像の特徴が見えてきます。
ですがこれに関して一つ裏話があります。
と言うのもチェーホフはトルストイのような意図で『可愛い女』を書いたわけではなかったのです。
チェーホフはまったく自分の意思のないオーレニカを風刺する意図で『可愛い女』というタイトルにしこの作品を書き上げたのでした。
ある作品をどのように読むか。そこに読み手の個性が表れるという好例がこの『可愛い女』とトルストイの組み合わせなのではないかと私は感じました。
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この作品は短編三部作の最後の作品で『箱にはいった男』、『すぐり』の続きの物語となっています。
「なぜあんな男にあんないい人が恋しているんだ」
これは男女逆パターンも含めて今でもよく見かける永遠の謎ですよね。
それをチェーホフは得意のユーモアと心理描写で描き出します
「『すぐり』は短い作品であるが、鋭く人の心を刺す。人は何のために生きるかを、わずか数ぺージに、香り高く圧縮して見せてくれている。
『すぐり』はすばらしい、そしてある意味でおそろしい作品である。小品といってもいい短い形式の中に盛りこまれた内容は一個の長篇小説に匹敵する。」
ロシア文学研究者佐藤清郎氏も絶賛するチェーホフ短編の最高傑作!