大乗仏教

新アジア仏教史07中国仏教と思想・歴史

『新アジア仏教史07 中国Ⅱ 隋唐 興隆・発展する仏教』~道綽・善導についての興味深い事実を知れるおすすめ作品

宗教は宗教だけにあらず。当時の時代背景、政治経済、あらゆる要因が絡んで宗教は変化生成されていきます。

中国は特に国家との関係性が強かったという事情があります。では翻って日本はどうでしょうか。

こうしたことを考える上でも本書は非常に良い思考実験になります。

そして本書を読んで一番興味深かったのは中国浄土教の流れが解説されていた箇所でした。特に道綽と善導という浄土真宗でも七高僧として崇められている二人の高僧についてのお話には刺激を受けました。

この道綽、善導の生涯や人柄についてはなかなか知る機会がないのでこの本で語られる内容はとにかく驚きでした

新アジア仏教史06中国仏教と思想・歴史

『新アジア仏教史06 中国Ⅰ 南北朝 仏教の東伝と受容』~中国への仏教伝来について幅広く学ぶのにおすすめ!

中国に入った仏教は中国人からすると全く異質な存在です。その異質な存在をどう受容するかというのは非常に大きな問題です。

日本仏教を知る上でもこの中国における仏教伝来は非常に大きな意味を持ちます。『新アジア仏教史』シリーズはこれまで見てきたように幅広く仏教史を学べる作品です。今作も中国における仏教伝来を幅広く見ていきますので、中国仏教入門にとてもおすすめです。参考文献も豊富に掲載されていますので今後の学びにも非常に役立ちます。ぜひぜひおすすめしたい一冊です。

儒教仏教道教中国仏教と思想・歴史

菊地章太『儒教・仏教・道教 東アジアの思想空間』~中国の宗教は何なのかを知るためのおすすめ入門書

著者によればこの本は入門書としての位置づけではありますが、この本で説かれることはものすごく濃いです。

この本では儒教、仏教、道教それぞれの教えや特徴を見ていきながらそれらがどのように絡み合っているかを見ていきます。

さらには「そもそも宗教とは何なのか」という直球ど真ん中の問題にもこの本では切り込んでいきます。これは面白いです!

私達の隣人である中国。その隣人の宗教は一体何なのか。意外とこれがわからない。そんな疑問をずっと持ち続けていた私にとってこの本は非常に刺激的で興味深いものがありました。

中国の歴史06中国仏教と思想・歴史

『中国の歴史06 絢爛たる世界帝国 隋唐時代』~遣唐使、仏教、円仁についても学べる一冊!

日本史でも馴染み深い隋唐ですが、実際のところはどんな政治状況だったのかということはこれまで私もほとんど知りませんでした。隋や唐が巨大な勢力を誇った世界帝国だったという漠然としたイメージ以外はあまりありませんでした。それこそ豪華絢爛な中国文化というイメージです。

ですがこの本ではこれら隋唐がどのような経緯で建国され、衰退していったかを詳しく見ていくことになります。そして何より、中国全土を統治するというとてつもない難事業をどのように行おうとしていたのかというのは非常に興味深かったです。

現代のような通信手段がない中でどうやって広大な国土を治めるのか。そのことについて改めて考えさせられるのがこの本です。

ブッダの生涯インドにおける仏教

平川彰『ブッダの生涯 『仏所行讃』を読む』~漢訳された仏伝をもとに超人間的なブッダの生涯を見ていくおすすめ入門書

前回の記事では2世紀頃に活躍したアシュヴァゴーサによる仏伝叙事詩『ブッダチャリタ』をご紹介しました。

この『ブッダチャリタ』は西暦430年頃に曇無讖によって『仏所行讃』として漢訳されました。これが日本にも伝来し日本の仏教者にも伝えられたのでありました。最澄や空海、法然や親鸞もこの仏伝を読んでブッダに思いを馳せていたのではないでしょうか。

本書はこの漢訳の『仏所行讃』の書き下し文を読みながらブッダの生涯がわかりやすく解説される仏教入門書になります。

ブッダチャリタインドにおける仏教

『完訳 ブッダチャリタ』~アシュヴァゴーシャ(馬鳴)による『仏所行讃』としても知られる仏伝の大元!ブッダの生涯を叙事詩化!

今作『ブッダチャリタ』は1~2世紀頃にインドで活躍した仏教詩人アシュヴァゴーサ(馬鳴)による仏伝です。漢訳では曇無讖によって『仏所行讃』として翻訳されています。空海や最澄、鎌倉仏教の開祖たちもこの仏伝を読んでブッダの生涯を学んでいたのではないでしょうか。

現在語られるブッダの生涯の大元となったアシュヴァゴーシャの『ブッダチャリタ』。物語としても非常に面白い作品でした。

中国の歴史05中国仏教と思想・歴史

『中国の歴史05 中華の崩壊と拡大 魏晋南北朝』~仏教興隆をもたらした梁武帝も登場!

これから先弾圧などの憂き目にも遭うことにはなりますが、中国仏教の発展に大きな影響を与えた時代が今作で説かれる魏晋南北朝時代になります。宗教は宗教だけにあらず。様々な社会要因も絡んで人々に伝わっていきます。

今作『中国の歴史05 中華の崩壊と拡大 魏晋南北朝』は時代背景と仏教のつながりについても知れるおすすめの一冊です。

ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

インド仏教史インドにおける仏教

平川彰『インド仏教史』~仏教学の不滅の古典!仏教の歴史や教義が網羅された名著!

この本が出版されたのは1974年ですが、今なお名著中の名著として高く評価されている仏教書です。2011年には新版が出版され、現在においても仏教を深く学びたい方必読の参考書となっています。

一つの著作でここまで教えを網羅し、ひと流れの仏教史として書き上げられた本書は驚異としか言いようがありません。

これはものすごい本です。初学者に気軽におすすめできる本ではありませんが、仏教をより深く学びたいという方にはぜひおすすめしたい一冊です。

アジャンタとエローラインド思想と文化、歴史

『アジャンタとエローラ―インドデカン高原の岩窟寺院と壁画』~インドの誇る世界遺産のおすすめガイドブック!

この本はインドの世界遺産アジャンタとエローラのおすすめのガイドブックになります。

特に両遺跡にある彫刻や絵の解説はものすごく興味深かったです。ジャータカという仏教説話の解説は特にぐっと来るものがありました。単に遺跡や芸術の解説をするのではなく、そこから時代背景や思想のもっと奥深くまで語ってくれるのでぐいぐい引き込まれてしまいます。

私も今年アジャンタとエローラを訪れる予定です。そんな私にとってこの本は非常にありがたいガイドブックでした。ぜひおすすめしたい一冊です。

インド性愛文化論インドにおける仏教

定方晟『インド性愛文化論』~仏教経典に説かれた性。仏教と性の関係性を真正面から問うた参考書

この本は普段私たちがなかなか触れることのない「仏教と性の関係性」についてストレートに論じた作品です。

「わたしはいま仏教の裏街道を示そうとしている。仏教学者のなかにはこれを好まない人がいるかもしれない。しかし、人間にとって大事な性の問題を避けて、仏教のなにがわかるだろうか。性愛(カーマ)はインドでは人生の三大目的の一つにあげられているくらいである。人間のすべての面を知ってこそ仏教の意義が正しく理解できると、わたしは考える。」

本書におけるこの言葉は非常に重要な提言ではないでしょうか。