イタリア

実理論インド思想と文化、歴史

カウティリヤ『実利論』~古代インドのマキャヴェリズム!『君主論』に比すべき徹底的な帝王学とは!

マキャヴェリの『君主論』ではかなりえげつない権謀術数が説かれますが、この『実利論』もかなりのどぎつさです。

本書解説でも「本書の作者は、自国の治安を守り、国力を増強して、他者の領土を獲得するために、君主の採用すべきありとあらゆる権謀術数を説く。なかんずく、本書の随所で展開される諜報活動の実例は、最も注目すべきものの一つであろう。インドの古典において諜報活動は非常に重視され、後代の文学作品においても、スパイを適切に活用できぬ王は非難されている。」と述べられるように、スパイの活用法については特に念入りに説かれます。

この本を読んでいると王族で生まれることが全く羨ましくありません。どんなに贅沢ができたとしても私は謹んでその権利をお返ししたいと思います。ブッダももしかしたらそういう気持ちだったのかもしれません。

文明の道インド思想と文化、歴史

『NHKスペシャル文明の道〈3〉海と陸のシルクロード』~古代インドとローマ帝国の繋がりを知れる刺激的な一冊!

この本は古代インドとローマ帝国を結んだシルクロードについて学ぶのに最高の一冊です。図版や写真も豊富でイメージしやすく、解説も初心者でもわかりやすいように丁寧に語られます。 古代インド、ローマ帝国、どちらも私にとってはロマン溢れる大好きな世界です。その二つが繋がった本書は私にとっても大興奮の一冊でした。ぜひぜひおすすめしたい名著です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

多重都市デリーインド思想と文化、歴史

荒松雄『多重都市デリー』~イスラームの街としてのデリーやかつての牧歌的な雰囲気を知るのにおすすめ!

この本ではかつてのデリーと90年頃のインドの変化を知ることができます。著者が「毎日通った新宿駅界隈の変化ですら思い起こすのは容易ではない」と述べていたのは印象的でした。たしかにそうですよね。私の住む函館ですら40年前とは全く違う姿になっていると思います。そこにインドの大都市デリーです。その変化たるやものすごいものがあることでしょう。

この本ではそんなデリーの変化を写真つきで見ていくことができます。著者の実体験と絡めて語られるデリーの姿はものすごく刺激的です。旅行記でもあり生活体験記でもある本書です。これは面白いです。

ローマとドストエフスキー『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(42)ローマ・カトリックを批判したドストエフスキーは美の殿堂・劇場都市ローマに何を思うのだろうか

これまで41回にわたってローマの旅行記を更新してきました。

この旅行記の序文でお伝えしたように、私は「ローマカトリックが嫌いなドストエフスキーではあるが、その本山サンピエトロ大聖堂やローマのベルニーニの舞台芸術に心奪われずにいられるだろうか」という問いを立てローマを巡りました。

私にとってはこのローマの滞在中、片時もドストエフスキーを忘れたことはありませんでした。私はこのヨーロッパ滞在中常にドストエフスキーと共にいました。

ではこのローマ滞在においてドストエフスキーは実際にローマをどう思ったのでしょうか。

本当のところはドストエフスキーが何も書き残していない以上わかりません。ですが、そうではあるものの、私は「ドストエフスキーはローマを好きだけども嫌いになったであろう」という結論に至りました。

『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(41)天才ベルニーニの死~よきカトリック教徒として生き、死のうとした巨匠の姿に学ぶ

ついにここまでやってきました。ベルニーニの生涯を辿りながら彼の作品をこれまで見てきましたが、ベルニーニは1680年、81歳で命を終えます。

当時としてはかなりの長寿。しかもそのぎりぎりまで作品を制作していたという驚異のバイタリティーであります。

そしてやはり彼の最期もまた並のものではありませんでした。彼はその死の瞬間に至るまで圧倒的な人物だったのです。

今回の記事ではそんなベルニーニの死への旅立ちについて見ていきます。

ベルニーニ『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(40)最晩年の失脚と誹謗中傷に苦しめられたベルニーニ~サン・ピエトロ広場の第三柱廊の工事も中止に

あれほどの栄華を誇ったベルニーニもその最晩年は苦しい日々を過ごしていた・・・このことに悲しい思いを抱かずにはいられません。もし彼がその栄華を傲慢さや他者を押しのけたことで手にしたのであれば因果応報です。ですが彼はそういう人物では決してありませんでした。だからこそ私は悔しく思うのです。

偉大な芸術家はえてして誹謗中傷に苦しむことになりやすいです。そして死後何十年経ってからようやく評価されるなんてことも珍しくありません。天才と呼ばれる人たちは同時代の人にはあまりに巨大すぎて理解されないのです。生きながらに評価されたとしたらそれは極めて幸運なことなのではないでしょうか。

ベルニーニ『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(39)『福者ルドヴィカ・アントーニ』~サン・フランチェスコ・ア・リーパ教会のベルニーニ最晩年の力作!

この記事ではサン・フランチェスコ・ア・リーパ教会の『福者ルドヴィカ』を紹介していきます。

闇夜に光る『福者ルドヴィカ』の美しさたるや凄まじいものがあります。

ベルニーニは採光を完璧に統御しています。そして差し込む光がどう彫刻を照らすかもすべて計算済みです。ライトの光では絶対にそれは再現することができません。石鍋真澄がくれぐれも注意していたことの意味がよくわかります。

実に素晴らしい体験でした。ローマ観光においてはマイナーなスポットであるかもしれませんが、非常にインパクトのある教会です。ぜひトラステヴェレ地区に行かれる際はここを訪れるのをおすすめします。

『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(38)晩年のベルニーニ作のサンタンジェロ橋の天使像~現在サンタンドレア・デッレ・フラッテ教会所蔵の名彫刻

今回ご紹介するのはサンタンジェロ城目の前にあるサンタンジェロ橋に設置されている二体の天使像です。

今回の記事ではそんなベルニーニ作の天使像についてお話ししていきます。実はこの作品のオリジナルは別の教会に納められているのですがこれもまた素晴らしい!

オリジナルで見た天使像のクオリティは全く違いました。磨き上げられているのもわかりましたし、なにより伝わってくる衣の躍動感が別物です。

そして不思議なことに私はこれら二体の天使像を見ていて、なぜか京都三十三間堂の風神と雷神を連想してしまいました。天使たちの奇跡的な衣の波打ちを見て私は大好きな風神雷神を連想してしまったのかもしれません。

『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(37)サン・ピエトロ大聖堂の『カテドラ・ペトリ』~ベルニーニ芸術の総決算!空間そのものも作品に取り込む驚異の傑作!

この記事ではサン・ピエトロ大聖堂の後陣にあるカテドラ・ペトリについてお話ししていきます。

この大聖堂においても一際重要な存在であるカテドラ・ペトリ。こちらもベルニーニが設計を担当しています。このベルニーニの傑作に込められた意味をこの記事では見ていきます。

サン・ピエトロ大聖堂はやはり特別な場所です。

何度来ても私は感動してしまいます。そしてこの素晴らしい空間を生み出したのはやはりベルニーニなのです。ベルニーニ詣でのハイライトとしてこの大聖堂はやはり欠かせません。ベルニーニの生み出した劇場的空間をぜひ多くの方にも感じて頂けたらと思います。

ドイツの大詩人ゲーテを味わう

星野慎一『ゲーテ 人と思想67』~ゲーテの生涯と思想・作品の特徴を知るのにおすすめの入門書!

ゲーテはあまりに巨大なスケールを持つ人間です。彼の作品、特に『ファウスト』はそれ単独で読むと非常に難解な作品です。ですが彼の生涯や思想を知ってから読むとその味わいが一気に増す不思議な作品です。

私も『ファウスト』に何度も挫折した人間です。ですが様々な参考書のおかげで今はその『ファウスト』が大好きになっています。

ですのでゲーテ作品を読む際にはこうした入門書や参考書を読むことを強くおすすめします。

この作品は入門書として非常におすすめな作品となっています。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。