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新井潤美『ノブレス・オブリージュ イギリスの上流階級』あらすじと感想~イギリス上流階級の実態を解説するおすすめ作品!

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新井潤美『ノブレス・オブリージュ イギリスの上流階級』概要と感想~イギリス上流階級の実態を解説するおすすめ作品!

今回ご紹介するのは2022年に白水社より発行された新井潤美著『ノブレス・オブリージュ イギリスの上流階級』です。

早速この本について見ていきましょう。

ジェイン・オースティンの作品から王室の人々まで
貴族の称号ほか背景事情をわかりやすく解説

複雑な称号の体系、後継ぎと他の子供それぞれの苦労など、「イギリス人にとってのアッパー・クラス」の背景事情をわかりやすく解説。

「高貴な人々」のイメージ・誤解・実情

イギリスの二十世紀以前の小説や演劇には、アッパー・クラス(貴族だけでなく、ジェントリと呼ばれる地主を含む)の人物が必ずと言ってよいほど出てくる。それは、彼らが政治だけでなく、文化の形成にも大きな役割を占めているからである。イギリスの国民性とされるもの、たとえば冷静さも、もとはアッパー・クラスのものだという。
彼らは、長男がすべて受け継ぐ相続制度によって爵位と土地を守ってきた。一方でこの制度は、相続する長男にも、もらえるものがはるかに少ない次男以下にとっても、それぞれに苦労をもたらした。そしてそうした苦労が、しばしば文学や芝居のテーマともなってきた。
では、アッパー・クラスの人々は、イギリス国内でどういうイメージをもたれ、その裏側にはどういう苦労や事情があったのか? 財産を維持する手段としての結婚、知的でないと言われてきた彼らの教育、次男以下の職業事情、そして奇人伝説の裏話までを、本書は文学や著名な人々の例を通して、背景事情とともに読み解いていく。人気のweb連載に大幅加筆のうえ、イギリス人ですらしばしば間違える、貴族の称号の複雑なシステムの一覧表を収録。


白水社商品紹介ページより

私がこの本を手に取るきっかけとなったのはイギリス湖水地方にあるカントリーハウスと、イギリス上流階級がおこなっていたグランド・ツアー(教養旅行)について関心を持っていたからでした。

グランド・ツアーについては以前紹介したこの本に詳しく書かれています。

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一八世紀、古典教養を学ぶため、こぞってイタリアへと旅した「グランド・ツアー」。フランス革命が始まれば、国内・湖水地方の風景観賞で美意識を養い、馬車が流行ると、あえて徒歩旅行で詩想を求め、ロマン派詩人を次々生み出した。なぜ英国人は、これほど旅に焦がれ続けたのか。飽くなき情熱と、その理想郷の意味を考察する。

講談社、中島俊郎『英国流 旅の作法 グランド・ツアーから庭園文化まで』 裏表紙

この本はイギリスの上流階級の子弟が教育の完成のためヨーロッパ中を旅するというグランド・ツアーの成り立ちとその発展を解説する本です。

このグランド・ツアーこそイギリスの湖沼地帯の美しさを発見させ、今でも大人気のカントリーハウスができるきっかけとなったのでした。この記事では詳しくお話しできませんがぜひ上の記事や、この本を読んで頂けたらなと思います。イギリスの美しい田園風景の源流は実はイタリアにあったことがそこでは語られます。イギリス人の美的センスを養ったのはイタリアだったのです。非常に興味深い内容ですのでぜひおすすめです。

そしてそうしたイギリス文化を形成した担い手こそ『ノブレス・オブリージュ イギリスの上流階級』で語られる、アッパークラスなのでした。

知っているようでほとんど知らないイギリス上流階級。

彼らは一体いかなる存在なのか。

アッパークラスとミドルクラスを隔てるものは一体何なのか。

この本ではそんなイギリス上流階級の生活や仕組み、その裏側を知ることができます。

貴族の称号はどのような仕組みなのか、遺産相続の仕組みはどうなっているのか、カントリーハウスの成り立ちや今それをどのように維持しているのかなどなど、刺激的な情報が満載です。これは面白いです!

この本を読んでいると帯に書かれている「上流階級も楽じゃない?」という言葉の意味も見えてきます。実態はかなりシビアな生活だったようです。上流階級ならではの大変さがあることがよくわかりました。

イギリス文化を知る上で非常に興味深い作品です。ぜひぜひおすすめしたい1冊です。

以上、「新井潤美『ノブレス・オブリージュ イギリスの上流階級』~イギリス上流階級の実態を解説するおすすめ作品!」でした。

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ノブレス・オブリージュ イギリスの上流階級

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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