MENU

⑶現代のヒンドゥー教の空気感をまずは体感!ガンジス上流の聖地ハリドワールでその姿を知る

目次

『シン日本仏教史』(3)現代のヒンドゥー教の空気感をまずは体感!ガンジス上流の聖地ハリドワールでその姿を知る

デリー空港周辺は猛烈な勢いで道路建設が進んでいます。そしてハリドワールへの道もかつてと比べて大幅に道がよくなり、随分と移動が楽になったそうです。これは現モディ政権の肝入りの政策であるインド国内の道路インフラ整備に起因しています。まさに今インドは列島改造ならぬ大陸改造中なのです。どこに行っても道路工事や巨大なインフラ工事が行われています。インドの勢いをまざまざと感じさせる光景がそこかしこに繰り広げられていました。

さて、デリーから車で6時間ほどでハリドワール近郊に到着。シヴァ神の像が迎えてくれるという、神々の国インドらしい演出です。

ガンジス川付近で車を降り、ここからは歩いていきます。ここから先は道が狭く車は通れないのです。

いよいよガンジス川と対面です。これが私にとっての初ガンジスです。ですが、橋を渡り切った時に見た光景は衝撃的でした。

ものすごい濁流です。底が透明どころではありません。洪水かと見まがうほどの轟々たる流れでした。

そしてそこにドボンと勢いよく漬かり、頭まで潜るインド人。

そして何より、この「人、人、人」です!

道を歩くのも難儀なほどたくさんの人がここを歩いています。しかもそのほとんどがインド人。日本人はおろか外国人の姿もほとんど見られません。ガイドさんに聞くと、これでも空いているとのこと。ここは季節を問わず常に人で溢れかえるのだそう。

そして私が来る直前まで雨が降っていたのか道もかなり濡れていました。その水たまりに様々なものが混ざり灰色のものやら茶色のものやらで歩くのも恐ろしくなってきます。

道を進んでいき橋を渡ると、この先にハリドワールのメインのガート(沐浴場)があります。

ですが、こうして歩き始めて5分も経たぬうちに随分と様々な人を目にすることになりました。巡礼のインド人や商人、浮浪者や乞食はもちろんですが、私がここで特に印象に残ったのが修行者の存在です。この写真に写っているオレンジの服を着た人もそうです。

そしてその中でもとびきり異彩を放っていたのが裸の行者でした。全身何も着ず、全身に灰を塗りたくり、ぼうぼうに伸びたひげとぱさぱさの長髪をぶら下げたその姿に私はぎょっとせずにはいられませんでした。そしてそんなエキセントリックな人間がごく当たり前のように歩いていることにも驚きました。いや、むしろ「ここの皆が彼の存在を当たり前のように許容していること」に驚いたという方が正確かもしれません。ここではこのような裸の行者も当たり前なのです。何も驚くようなことではないのです。ここはインドなのだから。

メイン・ガート付近までやってきました。この写真に写っているプラスチックの容器に注目です。これは聖なるガンジスの水を持ち帰るためのポリタンクです。ハリドワールでは街の至る所でこうしたポリタンクの山を見ることになります。

ガートでは男性がパンツ一丁で川に浸かり、女性はサリーを着たまま水に入っていきます。

私は雨に濡れた地面に手を触れることすら恐ろしく感じてしまいますが、全身濡れている彼らにとっては多少の雨もぬかるみも関係ないのでしょう。それに、そもそもこの聖なるガンジスは全ての汚れを洗い流します。私の衛生観念など及びもしない世界なのです。

それにしてもこの喧噪、混沌ぶりには開いた口が塞がりません。そしてぜひ下の動画を見て頂きたいです。

なんと、この濁流をインド人が流れていくのです。

いいのか!?これはいいのか!?

あまりの光景に私は呆然とするしかありませんでした。

ここがヒンドゥー教の聖地だというのはわかります。そしてインド人が全身この川に潜るのもわかります。ですが、激流にインド人が浮かぶこの光景は一体何なのだ!いや、そんな生易しいものではない。死ぬぞそんなことをしたら!

わからない・・・。わからないぞインド・・・。

よく見てみると橋の下に縄のようなものがぶら下がっていました。何だこれは・・・

そして私は気づきました。そうか!ここに掴まるのか!と。これは溺れないための命綱なのです。

そして皆さんもお分かりでしょう。この少年たちがこの後どんなアクションを起こすのかも。

雨季のインドは私の想像以上に手強い存在でした。雑多な空間、人の波、雨季ならではの生臭くて鼻をつまみたくなるようなにおい、喧噪・・・そして何より聖地ハリドワールの異様な熱気にすでにしてめまいがしています。頭が痛い。夜に備え、私は早々に宿に戻り横になりました。ここで無理をするわけにはいきません。私はこの後ヒンドゥー教の祈りの儀式プージャを観に行くのです。

次の記事ではそんな熱気溢れるハリドワールの夜についてお話ししていきます。私はこれで完全にノックアウトでした。初戦にして圧倒的な破壊力をインドは見せつけてきたのです。

主要参考文献一覧

〇インドの歴史・宗教・文化について知るのにおすすめの参考書一覧
〇インド仏教をもっと知りたい方へのおすすめ本一覧
〇仏教国スリランカを知るためのおすすめ本一覧
〇中国仏教・中国思想のおすすめ解説本一覧
〇親鸞聖人や日本仏教を学ぶためのおすすめ参考書一覧

前の記事はこちら

あわせて読みたい
(2)インドに仏教はない?仏教発祥の地におけるその実態とは ここから先の記事では私が体験したガンジス川上流のヒンドゥー教聖地ハリドワールの様子を皆さんにご紹介します。 私自身、ここでの経験があったからこそブッダの独自性や偉大さをさらに感じることになりました。やはり比較対象があるとものごとがよりはっきりと見えてきます。インドの仏教とは何か、日本仏教とは何かを考える上でもこれは非常に役に立ちます。

関連記事

あわせて読みたい
【仏教講座・現地写真から見るブッダ(お釈迦様)の生涯】記事一覧~目次としてご利用ください この連載記事を読めばブッダの生涯だけでなく当時のインド社会の雰囲気も感じて頂けることでしょう。これはきっと皆さんにとっても刺激的な体験になると思います。 「宗教や仏教を学ぶ」と言いますと肩肘張ったものになってしまうかもしれませんが、ぜひ気楽にブッダという一人の偉人の生涯に触れて頂けたらなと思います。
あわせて読みたい
【インド・スリランカ仏跡紀行】仏教聖地を巡る旅~インドに呼ばれた私はそこで何を感じたのか 三島由紀夫は生前こう言っていたそうです。「インドには、人それぞれに行く時期が必ず自然に訪れる」と。 このインドの旅は私の「宗教を巡る旅」の終着点でもあります。様々な宗教や文化を学んできた私にとって、やはり最後に行き着く場所は仏教誕生の地インドでなければなりません。
あわせて読みたい
なぜ仏教僧侶の私がヒンドゥー教について学ぶのか~仏教聖地を巡ればよいではないかという疑問に答えて 「仏教僧侶なのになぜそこまでしてヒンドゥー教の聖地を巡らなければならないのか。仏教の聖地を巡ればそれでよいではないか」 まさにごもっともな疑問であります。仏教を学ぶのなら仏跡に行けばよいのです。 ですが私はそうしませんでした。 この記事ではそんな私の思いについてお話ししていきます。
あわせて読みたい
初インドで嘔吐と下痢でダウン~インドで体調不良の洗礼を受けた件について。旅はここまでか・・・ ついにやって来たインドの洗礼。私は激しい嘔吐と下痢に襲われることになりました。 この記事ではそんな私の奮闘と、そこからの復活についてお話ししていきます。私もこのインドの洗礼がトラウマになり、以後のインド訪問にも大きな影響を及ぼすことになりました。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

目次