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『NHKスペシャル文明の道〈3〉海と陸のシルクロード』概要と感想~古代インドとローマ帝国の繋がりを知れる刺激的な一冊!
今回ご紹介するのは2003年に日本放送出版協会から発行された本村凌二、蔀勇造、吉田豊、鶴間和幸、渡辺道治、影山悦子、森部豊、藤澤明寛著『『NHKスペシャル文明の道〈3〉海と陸のシルクロード』です。
早速この本について見ていきましょう。
アレクサンドロスの登場から、モンゴル帝国の完成へ。ユーラシア大陸で繰りひろげられた約1600年の文明興亡の中に、知られざる「交流」と「融合」の歴史を探る。3巻では海と陸のシルクロードを取り上げる。
Amazon商品紹介ページより
この本は古代インドとローマ帝国を結んだシルクロードについて学ぶのに最高の一冊です。図版や写真も豊富でイメージしやすく、解説も初心者でもわかりやすいように丁寧に語られます。
上の画像にありますように、陸路のシルクロードは多くの方がイメージすることができるのではないかと思うのですが、海のシルクロードというとあまりイメージが湧かないのではないでしょうか。かく言う私もシルクロードといえばラクダの隊商というイメージがあったので海で船が行き交うシルクロードというのはとても新鮮でした。
しかもこの船による大量輸送が古代インドとローマ帝国を結ぶ大きな手段だったというのにはものすごくロマンを感じました。
と言いますのも、私は昨年ローマ帝国について様々な本を読むことになりました。それらについてはこちらの「ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック」のカテゴリーにまとめていますのでぜひ参照頂きたいのですが、私はすっかりローマ帝国の歴史に夢中になってしまったのでした。そのローマと古代インドが繋がるのです。これはたまりません。
そして昨年私は念願のローマを訪れ旅行記『劇場都市ローマの美~ドストエフスキーとベルニーニ巡礼』も執筆しました。
メインテーマはバロック芸術の王ベルニーニの作品を巡ることでしたが、同時に古代ローマの遺跡もじっくりと堪能したのでありました。ぜひこちらの旅行記もご参照頂けたらなと思います。
さて、そんな私も大好きなローマ帝国と仏教が生まれた国インドが密接に結びついていた、こんな魅力的な組み合わせはありません。
仏教がインドに定着し、そして最後には衰退していく中でこのローマ帝国との交易はものすごく大きな意味をもちます。なぜならば、仏教教団の主要なパトロンが王侯貴族や有力な商人だったからです。ブッダが生きていた当時からインドでは貨幣経済が進み、商人の力がどんどん増していたという時代背景がありました。それから仏教教団が成長していく過程でも、大商人による寄進は大きな支えとなっていました。
そうした意味でもシルクロードを介した交易を学ぶことは大きな意味があります。
そしてもちろん、中国、日本への仏教伝来にもこのシルクロードは大きく関わってきます。そのシルクロードとはどのようなものだったのかを知れるこの本は非常に貴重です。特にソグド人と呼ばれる中央アジアの民族については目が開かれるような思いになりました。国際的な商売が得意な民族と言えば、ユダヤ人やアルメニア人を連想してしまう私でしたが、アジア・ヨーロッパをまたぐこのシルクロード交易において絶大な影響力を持っていたのがこのソグド人なのでした。この謎の民族についての解説は非常に刺激的でした。これは面白いです。
古代インド、ローマ帝国、どちらも私にとってはロマン溢れる大好きな世界です。その二つが繋がった本書は私にとっても大興奮の一冊でした。ぜひぜひおすすめしたい名著です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
以上、「『NHKスペシャル文明の道〈3〉海と陸のシルクロード』~古代インドとローマ帝国の繋がりを知れる刺激的な一冊!」でした。
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文明の道 3 (NHKスペシャル)
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