2022年3月

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

木村汎『プーチン 内政的考察』~プーチン大統領はなぜロシア国民に支持されているのか、その仕組みを知るのにおすすめ!

この作品はかなり細かくプーチン大統領の国内政治を見ていきます。

その中でも特に印象に残ったのはやはりメディア統制によるプロパガンダです。なぜプーチン大統領が国民からここまで支持され、長期政権を可能にしているのかがよくわかります。

また、ナワリヌイ氏についての分析も非常に興味深かったです。

そして本の後半ではプーチン政権が抱える問題点が考察されていきます。「強いロシア」を掲げて他国への圧力を強めるプーチン大統領ですが、その副作用に苦しむ実態が明らかにされます。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

木村汎『プーチン 人間的考察』~プーチン大統領とはいかなる人物か、その経歴や特徴を知るのにおすすめの大著

この作品では彼の幼少期からKGB時代、ペテルブルク、モスクワでの官僚時代、大統領時代とじっくりとその道筋を見ていきます。ニュースではなかなか知ることのないプーチン大統領の姿を知ることができます。

また、プーチン大統領の政治のキーポイントとなる彼のメンタリティーについての分析も非常に興味深いです。

プーチン大統領とはいかなる人物かということを学ぶのにぜひぜひおすすめしたい作品です。

クラシック・西洋美術から見るヨーロッパ

ひのまどか『音楽家の伝記 はじめに読む一冊 小泉文夫』あらすじと感想~日本の音楽に絶大な影響を与えた民族音楽研究家の驚異の生涯

今作で特に印象に残ったのは小泉文夫さんが音楽研究のために留学したインドでのお話でした。

私は僧侶ということでやはりインドにはかなり興味があります。

そんなインドでひたすら音楽研究に励む小泉文夫さんの姿にはやはり心打たれるものがありました。

そして広い視野を持ち、世界各国の様々な音楽、文化を学ぶ尋常ではない探究心。そしてそれをわかりやすく、楽しく伝える教育者としての能力。

こんなにすごい人が日本にいたんだととにかく驚きました。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

真野森作『ルポ プーチンの戦争』概要と感想~現地取材から見えてくるウクライナ情勢とは

真野森作『ルポ プーチンの戦争』概要と感想~おすすめ本!現地取材から見えてくるウクライナ情勢とは 今回ご紹介するのは2018年に筑摩書房より発行された真野森作著『ルポ プーチンの戦争「皇帝」はなぜウクライナを狙ったのか』…

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

トビー・ドッジ『イラク戦争は民主主義をもたらしたのか』~ロシアのウクライナ侵攻を考えるためにも

この本はイラク侵攻後のイラク情勢について書かれた本なので、なぜイラク戦争が起きたのか、そしてその経過についてはほとんど書かれていません。イラク戦争そのものについて学ぶのならば他の本を読むのをおすすめします。ですが、武力侵攻の後にいかなることが起こりうるのかということを考えるのには非常に参考になる作品です。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

中村哲『天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い』~中村医師のアフガンでの活動を知るのにおすすめ!

前回の記事で紹介した『アフガニスタンの診療所から』は1993年に刊行された作品で、今回紹介する『天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い』はそこから20年を経た中村医師の作品になります。

『アフガニスタンの診療所から』では中村医師がアフガニスタンで診療を始めたきっかけや現地の医療活動について語られていましたが、今作の『天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い』は上の本紹介にありますように、干ばつに襲われたアフガンに井戸を掘り、用水路を建設する中村医師の活動を知ることができます。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

中村哲『アフガニスタンの診療所から』あらすじと感想~今こそ読みたい名著!ソ連のアフガン侵攻とその後の悲惨な現実を学ぶために

この本は今こそ読むべき名著中の名著です。

文庫本で200ページほどというコンパクトなサイズですので、気負わずに手に取ることができますので、ぜひぜひおすすめしたい作品です。

ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに読んだこの作品でしたが、強烈な印象を残した読書になりました。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

R・ブレースウェート『アフガン侵攻1979-89 ソ連の軍事介入と撤退』~ソ連崩壊の要因ともなった泥沼の軍事侵攻

1979年に始まったソ連のアフガン侵攻。

泥沼化したこの戦争はソ連崩壊の要因となった出来事として知られていますが、この本ではそんなアフガン侵攻の経緯をかなり詳しく知れる作品となっています。

現在ロシアによるウクライナ侵攻が続いていますが、かつてのアフガン侵攻のことを学ぶことは大きな示唆を与えてくれるのではないでしょうか。ぜひぜひおすすめしたい作品です。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

D・E・ホフマン『死神の報復 レーガンとゴルバチョフの軍拡競争』~冷戦末期の核・生物兵器競争の戦慄の事実を学ぶのにおすすめ

この作品は冷戦末期のソ連とアメリカの軍拡競争、そしてソ連の生物兵器開発をめぐるノンフィクションです。

この本も強烈です。

米ソ核軍拡競争の最終段階とも言えるゴルバチョフ、レーガンの外交交渉は読んでいて非常に緊迫したものを感じました。さすがピュリツァー賞受賞作品。読ませます。語りに引き込まれてしまいました。

大国間の駆け引きを目の当たりにできる名著です。冷戦末期からソ連崩壊への時代背景を知るのにもおすすめの作品です。

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W・トーブマン『ゴルバチョフ その人生と時代』~ゴルバチョフのペレストロイカとは。その生涯とソ連崩壊の時代背景を学ぶのにおすすめの伝記!

この本ではゴルバチョフが生まれた1931年からソ連崩壊後まで、その時代背景と共にゴルバチョフの謎に満ちた生涯を辿っていきます。

ゴルバチョフ自身の生涯も非常に興味深いものなのですが、この本でやはりありがたいのはソ連の時代背景を知れる点にあります。特にソ連が崩壊に向かっていく流れは読んでいて頭を抱えたくなるほどの混迷ぶりでした。ソ連がいかに出口のない迷路に迷い込んでいたかがわかります。