2022年3月

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

M・ラリュエル『ファシズムとロシア』~ファシスト、非ナチ化という言説はなぜ繰り返されるのか。ロシアは欧州の何に反発しているのか

私がこの本を読もうと思ったのは、プーチン大統領がウクライナに対して「非ナチ化のために我々は戦っている」という旨の発言があったからでした。正直、その言葉を初めて聞いたときは全く意味がわかりませんでした。なぜプーチンにとってウクライナと戦うことが非ナチ化なのか、私にはどうしてもわからなかったのです。

というわけで手に取ったこの本でしたが、これがなかなか興味深く、「なるほど」と思えることが満載の一冊でした。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

P・ポマランツェフ『プーチンのユートピア―21世紀ロシアとプロパガンダ』~メディアを掌握し、情報統制するプーチン政権の実態とは

この本も衝撃的でした。

プーチン政権がいかにメディアを掌握し、国民に対して情報を統制しているかがよくわかります。

著者はテレビプロデューサーとして実際にロシアのメディア業界を体感し、その実態をこの本で記しています。

ロシアのテレビ業界に働く人々の雰囲気や、プーチンから厳しく監視されているメディア業界の緊張感がこの本で感じられます。まさにプロパガンダの最前線。よくこんな本を出せたなと驚くばかりです。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

石川陽平『帝国自滅 プーチンVS新興財閥』~プーチン大統領はいかにしてオリガルヒと戦ったのか。今後の展開は

ソ連崩壊後の混乱を経て台頭してきたオリガルヒ。

これまで見てきた本でもありましたように、ロシア国民は彼らの横暴に怒りを募らせていました。

そしてそんなオリガルヒと戦うプーチンという構図。これが国民の支持を得た大きな要因の一つでした。

しかし、その実態はどのようなものだったのか、その副作用は何だったのかということがこの本では語られます。

クリミア併合や今回のウクライナ侵攻にも繋がっていくプーチンとオリガルヒの関係を知るのにおすすめな作品です。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

本村眞澄『石油・ガス大国ロシア』~ビジネスの観点から見たロシア・ウクライナのエネルギー事情を知るのにおすすめ

ロシア・ウクライナ問題は政治という観点からどうしても見てしまいがちですが、ビジネスという観点から見ていく著者の視点は非常に興味深いものでした。たしかに、ビジネスの現場はシビアなものだと思います。お金の動きを見れば浮かび上がってくるものがあるというのは事実だと思います。

ロシア・ウクライナ戦争を違った視点から考えるよいきっかけになりました。

ページ数にして100ページ少々という非常にコンパクトな本ですが、興味深い内容満載の本ですのでぜひぜひおすすめしたい一冊です。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

M・I・ゴールドマン『強奪されたロシア経済』~オリガルヒ(ロシア新興財閥)はいかにして生まれたのか。ソ連崩壊後の経済の流れを学ぶのにおすすめ

『強奪されたロシア経済』という、なんとも過激なタイトルではありますが、この本は陰謀論のようなものではありません。

この本はロシア経済の専門家による作品になります。この本を読んでいると、タイトルの意味がものすごくわかります。まさしく「強奪されたロシア経済」としか言いようのないロシア事情を知ることになります。かなりショッキングです。

カフカの街プラハとチェコ文学

「プラハの春」とは何かを学ぶのにおすすめの参考書10冊を紹介~ロシア・ウクライナ侵攻を考えるためにも

この記事では以前当ブログでも紹介した1968年の「プラハの春」ソ連軍侵攻事件(チェコ事件)について学ぶためのおすすめの参考書をご紹介していきます。

現在、ロシアによるウクライナ侵攻が危機的な状況を迎えていますが、ソ連、ロシア、東欧の歴史を知る上でも「プラハの春」事件は非常に重要な意味を持っています。

大国に囲まれながらも誇り高い文化、歴史を紡いできたチェコという国を学ぶことは私たち日本人にとっても非常に意味のあることだと思います。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

小川和男『東欧 再生への模索』~ウクライナを含むソ連崩壊後の東欧経済の概観を知るのにおすすめ

この本は1995年に書かれたものですが、当時の東欧事情を知るという意味では、今読んでも全く色あせない作品です。

写真も多数掲載されているので現地の姿もイメージしやすく、新書でコンパクトにまとめられているのでとてもありがたいです。

なかなか知る機会のない東欧の経済事情を知れるおすすめの作品です。

東欧諸国がそれぞれいかに独自な文化を持ち、経済事情も固有なものがあるかがわかります。それぞれを比べながら見ていけるのは読んでいてとても興味深かったです。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

中澤孝之『資本主義ロシアー模索と混乱』~ロシアの貧富の格差と、恐るべき経済マフィアの実態を知れるおすすめ解説書

この本を読んで私はロシアがとにかく恐ろしくなりました。

ソ連崩壊後の利権をめぐる闘争、治安の悪化は私の想像をはるかに上回るものでした。

この本が書かれたのは1994年ということでかなり前のことではありますが、今のロシアも基本的にはこの時の政治経済事情と繋がっています。ロシアに対する見方が変わってしまうほどの実態でした。

ロシアの政治経済が「共産主義が崩壊して資本主義へ」という単純なものではないことを痛感します。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

小川和男『ソ連解体後ー経済の現実』~ソ連崩壊後の経済状況を知るのにおすすめ

この本は1993年に発行されました。今からおよそ30年前の時点でロシアの経済は専門家にどのように見られていたのかを知るのにこの作品はうってつけです。

新書ということでコンパクトながらもソ連解体後のロシア経済の概略を学べるこの作品は非常にありがたいものでした。

ぜひぜひおすすめしたい作品です。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

アレクシエーヴィチ『セカンドハンドの時代「赤い国」を生きた人々』~ソ連崩壊後のロシアを生きる人々の生の声を聴ける名著!

ソ連崩壊後の混乱を経て、なぜプーチンが権力を掌握できたのか。ロシア国民はなぜプーチンを支持しているのかということもこの本を読めばその空気感が伝わってきます。

ロシア人は何を思い、何に苦しんでいるのか。そして何に怒り、何を求めているのか。

現在のロシア・ウクライナ問題を考える上でもこの作品は非常に参考になる作品です。
この本は今のロシアを考える上で必読と言ってもいいのではないでしょうか。