演劇

名作の宝庫・シェイクスピア

『蜷川幸雄の稽古場から』~若手俳優から見た蜷川幸雄の人間性、仕事とは。現場の戦いを知れる名著!

彩の国シェイクスピア・シリーズは元々、蜷川幸雄さんが舞台演出を務めていました。そして現在、その役を吉田鋼太郎さんが引き継いで上演を続けています。

私は去年見た『ヘンリー八世』に引き続き、このシェイクスピア・シリーズに大感動してしまいました。「こんな素晴らしい舞台を作っている人たちはなんとすごいのだろう!もっともっと舞台について知りたい!」と私は思ったのでありました。

そんな私にとってこのシェイクスピア・シリーズを導いてきた蜷川さんの仕事ぶりを知れるこの作品は最高の逸品でした。

名作の宝庫・シェイクスピア

長谷部浩『権力と孤独 演出家蜷川幸雄の時代』~世界のNINAGAWAのおすすめ伝記!

この本はシェイクスピア作品の演出を数多く手掛けた蜷川幸雄の伝記です。前回の記事で紹介した『千のナイフ、千の目』では蜷川さんの若き日が自伝的に語られていましたが、この作品ではその生涯全体を知ることができます。

私はシェイクスピアの演出から蜷川幸雄さんに興味を持ったのですが、そのシェイクスピア演出についてもたくさん語られており私も大満足でした。

また、若手を育てようという蜷川さんの熱意。そして藤原竜也さんがいかに規格外の役者だったのかも知ることになりました。

ものすごく面白い本です。ぜひぜひおすすめしたい作品です。『演出術』と合わせて手に取ってみてはいかがでしょうか。

名作の宝庫・シェイクスピア

蜷川幸雄『千のナイフ、千の目』~批評とは何か、その重さについて考える。鋭い言葉が満載の名著!

私がこの作品を手に取ったのは現在公演されている彩の国シェイクスピア・シリーズ、『ジョン王』がきっかけでした。

蜷川幸雄さんが2016年に亡くなられた後、芸術監督を引き継いだのが吉田鋼太郎さんになります。私は蜷川幸雄さんが演出した舞台を生で観たことはありませんが、その魂を引き継いだこのシェイクスピア・シリーズに私は心打たれました。

こんな素晴らしい演劇シリーズを生み出した蜷川幸雄さんについてもっと知りたい。そんな思いで手に取ったのが本書『千のナイフ、千の目』でした。

名作の宝庫・シェイクスピア

河合祥一郎『シェイクスピア 人生劇場の達人』~巨匠の生涯と時代背景、作品の特徴も知れるおすすめ入門書!

この本を読めばシェイクスピアの生涯や時代背景を知ることができます。やはり時代背景がわかれば作品も違って見えてきます。そして第4章の「シェイクスピア・マジック」も必見です。シェイクスピアの面白さの秘密がここで明らかにされます。読めば思わず「なるほど~!」と膝を打ちたくなること間違いなしです。

シェイクスピアをこれまで読んだことがなかった方にもおすすめです。きっとシェイクスピア作品を読みたくなることでしょう。

名作の宝庫・シェイクスピア

松岡和子『「もの」で読む 入門シェイクスピア』~気づけばもっと楽しくなるシェイクスピア作品のあれこれ!

シェイクスピア作品と言えば雄弁なセリフや劇的なストーリー展開にどうしても目が行きがちですが、実は登場する細かい「もの」もセリフと同じくらい雄弁なことをこの本では知ることができます。

シェイクスピア作品をもっと楽しむきっかけをくれる素晴らしい一冊です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

ドストエフスキー論

星野立子『シェイクスピアとロシアの作家・演劇人たち』~ドストエフスキーやトルストイとのつながりを知れるおすすめ作品!

この本はタイトル通り、シェイクスピアとロシアの作家・演劇人たちとのつながりについて書かれた作品です。

この本ではプーシキンやドストエフスキー、トルストイ、チェーホフ、スタニスラフスキー、パステルナークと、ロシア文学界の大御所がずらりと並んでいます。

ドストエフスキー、トルストイ、チェーホフと、ロシア文学を考える上で絶対に避けることのできない重鎮たちとシェイクスピアのつながりをじっくり見ていけるこの本はとても貴重です。

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シェイクスピア『終わりよければすべてよし』あらすじと感想~本当に終わりよければすべてよしなのかが問題だ

そもそもこの作品の『終わりよければすべてよし』というタイトルがいいですよね。

私はこの言葉が大好きです。どんな人生であろうと最後の最後でいい生き様をすることができたら、それは「終わりよければすべてよし」なのです。これは『レ・ミゼラブル』やゾラの『ルーゴン・マッカール叢書』、ドストエフスキーやトルストイの大作を読んできて私が強く感じたことです。

ですがこの作品は実は「終わりよければすべてよし」どころではない終わり方をしています。「そんな甘くはありませんぜ」とニヤリと笑っているシェイクスピアが浮かんできそうです(笑)

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シェイクスピア『冬物語』あらすじと感想~突然の狂気的嫉妬がもたらした悲劇とまさかの大団円!

『冬物語』は松岡和子さんの『深読みシェイクスピア』とセットでおすすめしたい作品です。

もし松岡さんの解説を読んでいなかったらこの作品に対する感想は全く違ったものになっていたでしょう。もうレオンティーズの嫉妬がとにかく唐突すぎるのです。しかもその激しさたるや常軌を逸しています。この唐突さ、激しさに私はきっと置いてきぼりにされていたことでしょう。

しかし『深読みシェイクスピア』を読んだことでこの嫉妬に大きな意味があることを知りました。そしてそれによって急にこの作品が奥深いものに感じられてきました。

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シェイクスピア『シンベリン』あらすじと感想~愛は試すべからず。シェイクスピア後期の波乱万丈のロマンス劇

この作品はかなり動きのある作品です。あらすじの「薬で仮死状態になったイノジェンの傍らには夫の首のない死体が」という言葉の情報過多!(笑)「ロマンス劇の傑作」と評されるだけのジェットコースター作品です。

『ハムレット』や『リア王』などのメジャーどころとはまた違った魅力がある作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

名作の宝庫・シェイクスピア

シェイクスピア『ペリクリーズ』あらすじと感想~ドラマチックなストーリー展開が魅力のシェイクスピア最初の傑作ロマンス劇!

『ペリクリーズ』は『リア王』や『マクベス』などの重厚な悲劇作品を経てシェイクスピアが到達した「ロマンス劇」時代の幕開けとなる作品です。

『ペリクリーズ』を読んでみて、私はこの作品の見事さに衝撃を受けました。何度鳥肌が立ったかわかりません。今や私のシェイクスピアランキングでも上位に来る作品となりました。これは面白いです。ぜひぜひおすすめしたい作品です。