共産主義

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(38)1848年フランス二月革命の衝撃と革命の戦場に向かうエンゲルス

革命を待ちに待っていたマルクス・エンゲルスはブリュッセルにいてその場に立ち会うことができませんでしたが、彼らは歴史の必然としてやってくるであろうプロレタリアート革命に向けて政治活動を熱心に行います。

しかし1848年のフランス二月革命をきっかけにヨーロッパ各地で起きた革命はマルクス・エンゲルスが予想していた展開とは全く異なる動きを見せ始めるのでした。

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(37)マルクスのプロレタリアートは革命理論のために生み出された存在だったという衝撃の事実

今回の記事で紹介する箇所はマルクス主義を考える上で非常に重要な問題を提起していると思います。

マルクスは何のために共産主義を説いたのか。

本当に貧しい人を救うためだったのか。

なぜマルクスやエンゲルスは自説とは矛盾した行動を取り続けたのか。

こうしたことを考える上でも今回の箇所は私にとっても非常に大きなものになりました。

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(36)マルクスの『共産主義者宣言』が出版直後には世間から無反応だったという驚きの事実

「ヨーロッパに亡霊が出没する―共産主義という亡霊が」

「万国の労働者、団結せよ!」

という言葉で有名なマルクス・エンゲルスの『共産主義者宣言(共産党宣言)』ですが、実は発刊当時はほとんど反響がありませんでした。

20世紀で最も読まれた書物のひとつとして有名なこの作品がなぜそんなことになってしまったのかをこの記事では見ていきます。

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(35)エンゲルスのパリでの矛盾に満ちた私生活とは~マルクス・エンゲルスは本当は何を求めていたのだろうか

前回の記事の最後でエンゲルスの理想が「労働者にもっと貧しく、どん底にいてほしかった」というものだったということをお話しました。

そしてマルクス・エンゲルスが人々の生活が悪くなればなるほど喜ぶような節を見せるのに対し、私が違和感を感じていたこともお話ししました。

彼らははたして本当に労働者のために動いているのだろうか?そう思わざるをえない行動を彼らはこの後も取り続けます。そのひとつの例が今回紹介する箇所になります。

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(33)マルクス『哲学の貧困』とプルードン批判について

プルードンはフランスで活躍した社会主義思想家です。ロシアの革命家バクーニンや、ゲルツェンなどともつながりがあった人物として知られています。

マルクス・エンゲルスも当初は彼の思想に感銘を受けていたのですが、例のごとく、彼らは仲違いし批判し合うことになります。

そしてマルクスが出版したのが『哲学の貧困』というプルードン批判の書だったのでした。

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(32)1845-48年当時、即時の武力革命を否定していたマルクス・エンゲルス

マルクス・エンゲルスは武力革命も辞さなかったというイメージがありますが、1845年から48年段階では労働者がいきなり武力革命を起こすというやり方は認めていませんでした。

マルクス思想の参考書で「マルクスは武力革命に反対だった」という解説がなされるのは、ここに依拠しているのでしょうか。たしかにブルジョワ社会が成熟するまでは労働者による武力革命に反対していたかもしれませんが、彼らが生涯にわたってずっと武力革命に反対していたかは別問題です。この件も今後注意して伝記を読んでいかなければなりません

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(31)観念論から唯物論へと展開していくマルクスのユートピアとは~『ドイツ・イデオロギー』より

この記事ではマルクス・エンゲルスが共同で執筆した『ドイツ・イデオロギー』についてお話ししていきます。

上部構造、下部構造というよく聞く言葉もここから出ています。

そしてこの作品においてマルクス・エンゲルスは革命は歴史を変えるためには必要であると結論したのでした

また、マルクス・エンゲルスの思想を考える上で非常に重要なポイントが出てきます

1845年段階でマルクスとエンゲルスが構想した共産主義世界のユートピアがここで語られるのでありました

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(30)1845年マルクス・エンゲルスのイギリス研究旅行とエンゲルスの愛人問題

「ブルジョワの一語が罵り言葉にされ、彼らはそれをうんざりするほど繰り返すが、自分たち自身、頭のてっペんからつま先までブルジョワが染みついている」

このバクーニンの言葉ほどマルクス・エンゲルスの生活ぶりを的確に表したものはないのではないでしょうか。

これから先も彼らの生涯を見ていくことになりますが、実際にこの後も彼らはブルジョワ的な生活を決して捨てません。

こうした矛盾があるというのも、マルクス・エンゲルスを考える上では重要な点ではないかと思います。

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(21)空想的社会主義者ロバート・オーエン~労働環境の改善に努めたスコットランドの偉大な経営者の存在とは

エンゲルスに空想的社会主義者と呼ばれたロバート・オーエンですが、彼は明らかに他の二人(サン・シモン、フーリエ)とは異質な存在です。

結果的に彼の社会主義は失敗してしまいましたが、その理念や実際の活動は決して空想的なものではありませんでした。

後の記事で改めて紹介しますが彼の自伝では、彼がいかにして社会を変えようとしたかが語られます。19世紀のヨーロッパにおいてここまで労働者のことを考えて実際に動いていた経営者の存在に私は非常に驚かされました。

彼のニューラナークの工場は現在世界遺産にも登録されています。

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(20)憎きブルジョワに自分がなってしまったという矛盾に苦しむ若きエンゲルス

若きエンゲルスは自身の矛盾と向き合わざるをえませんでした。

自身が激烈に攻撃していたブルジョワに自分自身がなっている。

マルクスにもその心情を吐露していますが、彼はこの後もずっとそうした矛盾を抱え続けることになります。

ですが後には開き直って堂々とブルジョワ的な行動をするようにもなります。マルクスもそうです。マルクスもブルジョワ的な生活に憧れ、実際にそうしたお金の使い方をしては金欠に苦しむという、矛盾をはらんだ生活をしていたのでした。