ユゴー

フランス文学と歴史・文化

マイク・ラポート『ナポレオン戦争』~ナポレオン戦争の特徴を様々な観点から見ていくおすすめ参考書!

この本は「ナポレオンの天才的な軍事作戦」を解説するタイプの本ではありません。それよりもこの戦争が起きた背景や、戦争遂行に必要な様々なものをじっくりと見ていく作品になります。

ナポレオン一人の存在で戦争が起こったのではなく、すでに十八世紀の国際状況がそれを誘発するものをはらんでいたということ。そしてナポレオンの天才ぶりばかりが強調されがちな中で、実はその戦勝の背景にある個々の兵士たちの存在が大きな意味を持っていたこと。それらをこの本では学ぶことができます。

フランス文学と歴史・文化

A・ホーン『ナポレオン時代』~ナポレオンの生涯と特徴、社会への影響をコンパクトに学べるおすすめ解説書!

この本の特徴はナポレオンその人だけでなく、この時代の社会の様子も知れる点にあります。ナポレオンの登場によって社会はどのような影響を受けたのか、人々の暮らしはどのように変わったのかということを知ることができます。

軍人ナポレオンの足跡はもちろん、文化面まで幅広く見ていけるのはとてもありがたいです。

特に第5章の建築や、第7章の娯楽については他の参考書ではなかなか見ることがない内容だったのでこれは興味深かったです。

フランス文学と歴史・文化

『ビジュアル選書 ナポレオン』~ナポレオンの入門書としておすすめの図版多数のガイドブック!

この作品の特徴は何と言っても図版の充実ぶりにあります。タイトル通り、ビジュアルと共に人物とその特徴を追っていくのが本書になります。

解説の文章も初学者でもわかりやすいように書かれ、当時の時代背景も語ってくれるのもありがたいです。

この作品はナポレオンを知る入門書として非常におすすめです。

分量も150ページ弱と、とてもコンパクトなものとなっています。

これはぜひぜひおすすめしたい作品です。

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

ヘンリー・メイヒュー『ヴィクトリア時代 ロンドン路地裏の生活誌』~ロンドンの下層民の生活を取材したルポ作品!

この本はイギリスヴィクトリア朝、特に1800年代半ばのロンドンの下層民の生活に密着し、彼らがどんな生活をしているのかを描いた作品です。まるで小説のように描かれたこの作品を読んでいると、彼らが当時のロンドンでどんな生活をしていたかが目の前に浮かんでくるかのようです。イラストも豊富な点もありがたいです。

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

ダンディーの元祖、イギリスのブランメルとは~その歴史と時代背景

この記事ではダンディーの開祖ブランメルとダンディズムが生まれてきた背景をお話していきます。

ダンディーがマカロニースタイルという衝撃的な服装から発展して出来上がってきたというのは驚きでしたし、その衰退がイギリスの工業化やフランクリンの勤労倹約の思想に影響を受けているというのも驚きでした。

そしてこのフランクリンに影響を受けて出来上がってくるのがスマイルズの『自助論』であり、これがまたイギリスの労働者の道徳観を形成していくというのも興味深かったです。ダンディを知ることでイギリスの時代精神も知れるという非常に刺激的な記事となっています

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

鹿島茂『渋沢栄一』~サンシモン主義と強いつながり!大河『青天を衝け』でもお馴染み!日本経済を支えた偉人のおすすめ伝記!

もし日本に渋沢栄一がいなかったらどんなことになっていたのか。この伝記を読めばぞっとするような事実を知ることになります。それほど渋沢栄一という存在は巨大だったのです。私もこの伝記を読んで心の底から衝撃を受けました。

現代日本はまさに危機の時代だと私は思います。こんな時代だからこそ、渋沢栄一という人物の成した軌跡を辿るのは非常に大切なことなのではないでしょうか。

この伝記はぜひぜひおすすめしたい名著です。学校の教科書になってほしいとすら思える作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

マルクス『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』~ナポレオン3世のクーデターをマルクスが分析

この作品では『資本論』を書いた巨大な思想家マルクスではなく、ジャーナリストマルクスを知ることができます。

1851年12月のクーデターはいかにして起こったのか、そこにどのような裏事情があったのかということを1848年から遡ってマルクスは論じていきます。

社会の流れを読み取り、それを徹底的に分析し、活字にして発表する。

そうしたジャーナリストとしてのマルクスがあったからこそ、後の『資本論』が書き上げられたのだなということを感じました。

フランス文学と歴史・文化

P・マクフィー『フランス革命史 自由か死か』~フランス革命の背景を大きな視点で捉えるおすすめ解説書

この本を読んで特に感じたのは革命のカオスぶりです。

あまりに多様な人々をどうひとつにまとめていくのか、何かひとつのことをする度に、必ず不利益を被る人が出てくる。そしてその人達は政府の反対者となり、革命の歩みは難しくなる。ではどうするのか?ギロチンか・・・

こうした問題にどうしてもぶつかってしまうのが革命なのかという事を考えさせられました。

また、こうしたことを考えているとどうしても連想してしまうのがレーニンによるロシア革命でした。フランス革命とロシア革命を比べながら考えるのも大切なことなのではないかと思ったのでありました。

ロシアの巨人トルストイ

パリでギロチン処刑を見てショックを受けるトルストイ~非暴力主義の源泉とユゴー、ドストエフスキーとの共通点

クリミア戦争から帰還したトルストイはしばらくロシアに滞在したものの、そこで知識人や上流階級の人々に嫌気がさし、1857年にパリに向けて出発します。

そしてそこで目にしたギロチン処刑にショックを受けたのでありました。

19世紀ヨーロッパを代表する3人の文豪、トルストイ、ユゴー、ドストエフスキー。

この3人に「死刑」という共通点があるというのは非常に興味深いものがありました。

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(47)1852年『ルイ=ボナパルトのブリュメール十八日』を発表するマルクスとその反響

驚くことに、この作品は今となっては非常に有名ですが、出版直後はほとんど反響がなかったようです。

今から数十年前までバイブルのごとく読まれていた『共産党宣言』ですら、出版直後はほとんど反響がなかったくらいです。この作品があまり広まらなかったのは仕方ないことかもしれません。

ただ、そこから時を経てマルクスが亡くなった後から彼の作品が異様なほど評価されていったというのは注目に価します。生前評価されなかった作家が死後になって巨大な存在になって君臨する。その典型がマルクスと言えるかもしれません。