フィレンツェ

インド思想と文化、歴史

カウティリヤ『実利論』~古代インドのマキャヴェリズム!『君主論』に比すべき徹底的な帝王学とは!

マキャヴェリの『君主論』ではかなりえげつない権謀術数が説かれますが、この『実利論』もかなりのどぎつさです。

本書解説でも「本書の作者は、自国の治安を守り、国力を増強して、他者の領土を獲得するために、君主の採用すべきありとあらゆる権謀術数を説く。なかんずく、本書の随所で展開される諜報活動の実例は、最も注目すべきものの一つであろう。インドの古典において諜報活動は非常に重視され、後代の文学作品においても、スパイを適切に活用できぬ王は非難されている。」と述べられるように、スパイの活用法については特に念入りに説かれます。

この本を読んでいると王族で生まれることが全く羨ましくありません。どんなに贅沢ができたとしても私は謹んでその権利をお返ししたいと思います。ブッダももしかしたらそういう気持ちだったのかもしれません。

『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

【ローマ旅行記】(42)ローマ・カトリックを批判したドストエフスキーは美の殿堂・劇場都市ローマに何を思うのだろうか

これまで41回にわたってローマの旅行記を更新してきました。

この旅行記の序文でお伝えしたように、私は「ローマカトリックが嫌いなドストエフスキーではあるが、その本山サンピエトロ大聖堂やローマのベルニーニの舞台芸術に心奪われずにいられるだろうか」という問いを立てローマを巡りました。

私にとってはこのローマの滞在中、片時もドストエフスキーを忘れたことはありませんでした。私はこのヨーロッパ滞在中常にドストエフスキーと共にいました。

ではこのローマ滞在においてドストエフスキーは実際にローマをどう思ったのでしょうか。

本当のところはドストエフスキーが何も書き残していない以上わかりません。ですが、そうではあるものの、私は「ドストエフスキーはローマを好きだけども嫌いになったであろう」という結論に至りました。

僧侶の日記

戦争と平和、世界の仕組みを学ぶためのおすすめ作品15選~今こそ歴史を学び世界を問い直す時!学生にぜひ薦めたい名著!

今回の記事では小説作品とは一味違う歴史書、ノンフィクション作品をご紹介していきます。

この記事では特に「世界の見方」を問う作品を重視してチョイスしました。私達の生きる世界はどう成り立っているのか、かつてこの世界で何が起きていたのか、そして翻って私たちが生きる現代日本はどうなっているのかを考えるのに役立つ作品をご紹介していきます。歴史を学ぶことは「今」を学ぶことに他なりません。単に過去の出来事を暗記して終わりにするのではなく、そこから何を学びどう生かしていくのかが肝心です。

それぞれの本のリンク先では関連著作も掲載していますのでその本に関係のある作品を辿っていけるような作りになっています。ぜひこの記事を活用頂けたらと思います。

僧侶の日記

本好き僧侶が薦めるおすすめ小説24選~入門から上級編までレベルごとにおすすめ作品をざっくりご紹介!

今回の記事では読書の初心者から上級者までレベルごとにぜひおすすめしたい小説をご紹介していきます。

基本的にここで紹介する本はどれも私が自信を持っておすすめする名著です。そのいずれもが最高に面白い作品ですので入門編や上級編などの分類を気にせず興味が湧いた本についてはぜひリンク先のページも覗いてみて下さい。リンク先ではそれぞれの本のより詳しい解説や関連書籍なども掲載しています。その本を通じてさらに多くの本に繋がれるようにサイトを作っていますので、ぜひ活用して頂けましたら幸いです。

『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

【ローマ旅行記】(19)ベルニーニ『ダヴィデ』~ベルニーニの驚異の集中力とミケランジェロの『ダヴィデ』との比較

私もボルゲーゼ美術館でベルニーニの魔術に引き込まれた一人です。専門家の石鍋真澄が述べるように、ダヴィデの視線の先には明らかにゴリアテがいます。そして今にも石を投げんとしているのが伝わってきます。その瞬間を私達は目撃しているのです。ベルニーニの彫刻は私たちの現実世界を吹き飛ばしてファンタジー、物語空間に強制的に引き込んでしまいます。この物語性、メッセージ性がベルニーニの真骨頂。20代前半にして彼はその域に到達していたのでした。恐るべき早熟の天才と言えるでしょう。

『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

【ローマ旅行記】(8)ミケランジェロ・ベルニーニも絶賛したパンテオン!ローマ建築最高峰の美がここに!

あのミケランジェロとベルニーニが褒め称えたパンテオン。ミケランジェロはサン・ピエトロ大聖堂のドームを設計し、ベルニーニは小パンテオンとも言える傑作サン・タンドレア・アル・クイリナーレ聖堂を生み出しています。

古代ローマ建築の頂点パンテオンはルネサンスにも絶大な影響を与えていました。

ローマ帝国の叡智の結晶たるパンテオン。西暦125年頃からずっとこの姿を保っているというのは驚異的としか言いようがありません。あのコロッセオですらもはや廃墟のような姿です。それに対してここは完全に現役のままです。ローマ帝国の技術力には唖然とするしかありません。パンテオンが言語に絶する名建築なのは間違いありません。

イタリアルネサンスと知の革命

【フィレンツェ旅行記】サンタ・クローチェ聖堂~ミケランジェロ、マキャヴェリ、ガリレオの墓を訪ねて

2022年末、私はヨーロッパを旅しました。そしてその時の体験を『ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行』という旅行記にまとめ当ブログで更新してきました。そしてその旅の中で私はフィレンツェも訪れています。

今回の記事ではそんなフィレンツェの中でも特に印象に残っているサンタ・クローチェ聖堂をご紹介していきます。

この聖堂には錚々たる偉人達のお墓があります。私はこうした偉人達のお墓参りがしたくこの聖堂にやって来たのでありました。特にミケランジェロやマキャヴェリのお墓には強い思いを持って私はお墓参りをしました。

ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行

【フィレンツェ旅行記】(22)ドストエフスキーお気に入りのラファエロ『小椅子の聖母』やゆかりの地をご紹介!

夫妻はバーデン・バーデン・ジュネーブ・ヴヴェイでどん底を見た。そんな彼らに恐いものはもう何もない。這い上がるしかないのだ。

悲しみや苦しみを分かち合い、今や二人は強固な絆で結ばれた。彼らの復活はいよいよここから始まっていく。自分たちをミコーバー夫妻になぞらえたフィレンツェでの生活はこの旅の大きなポイントになったのではないでしょうか。

あぁ、美しきフィレンツェ!できるなら私ももっともっとゆっくり滞在したかった!さすがは花の都。この街の芸術には感嘆させられっぱなしでした。

ドストエフスキー夫妻にとってもこの街での滞在はかけがえのない日々だったと私は信じたい。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

宮下規久朗『ヴェネツィア 美の都の一千年』~観光ガイドにもおすすめ!歴史と美術の流れを知るのに便利な1冊!

ヴェネツィアは言わずと知れた美の都ですよね。私も一度は訪れてみたいと思っていた場所です。

この街と文学のつながりといえばやはりシェイクスピアの『ヴェニスの商人』やトマス・マンの『ヴェニスに死す』も有名です。

そして我らがドストエフスキーもこの街を奥様と一緒に訪れていて、ヴェネツィアの美しさを絶賛しています。

そしてそんなヴェネツィアの歴史や文化を知るのに今作『ヴェネツィア 美の都の一千年』は非常におすすめな参考書となっています。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

高階秀爾『日本人にとって美しさとは何か』~西洋と日本の美術を比べることで見えてくる日本の美の特徴とは

「人は自分の顔を直接見ることはできない。鏡に映してはじめて、その特徴を捉えることができる。鏡のなかの姿は、自分であると同時に、外からの、他者の視点からの姿である。美術(建築、絵画、工芸)や文学(物語、詩歌、演劇)などの芸術表現も、異文化(例えば西欧文化)の視点を受け入れ、それと対比することによって、いっそうよくその特質を明らかにすることができるであろう」

著者のこの言葉に尽きます!日本にいるとなかなか意識しにくい「日本文化」。

その特徴や独自性はどこにあるのかがこの本では非常にわかりやすく説かれます。

とにかく刺激的で魅力的な作品でした。ぜひぜひおすすめしたい名著です!