親鸞とドストエフスキー・世界文学

光の画家フェルメールと科学革命

ロバート・フック『ミクログラフィア』~顕微鏡でコルクの細胞を世界で初めて発見した自然科学者の驚異の図録作品

ロバート・フック(1635-1703)といえば顕微鏡でコルクを観察し、世界で初めて「細胞(セル)」を発見した人物として有名です。

フックは驚くべき精密さで観察対象を描き出しました。それらがずらりと並べられているのが今回ご紹介する『ミクログラフィア』になります。

レーウェンフックとのつながりから手に取ったこの本でしたがとても有意義な読書となりました。

光の画家フェルメールと科学革命

ポール・ド・クライフ『微生物の狩人』あらすじと感想~顕微鏡と微生物の発見で有名なレーウェンフックの驚異の生涯とは―目に見えない世界の発見と衝撃

レーウェンフックの顕微鏡と微生物の発見はとてつもない衝撃をキリスト教世界に与えました。

この本ではそんな微生物、細菌の研究に全てを捧げた男たちの物語が語られます。彼らの研究ぶりはもはや狂気の域です。著者のドラマチックな語りが臨場感たっぷりで非常に面白いです。狂気と言ってもいい彼らの鬼のような研究っぷりには驚くしかありません。すばらしい作品です!

光の画家フェルメールと科学革命

ローラ・J・スナイダー『フェルメールと天才科学者』~顕微鏡で有名なレーウェンフックとの驚きの関係とは

この本は最高です!私の2022年上半期ベスト3に入る作品と言っても過言ではありません。

とにかく面白い!こんなにわくわくさせてくれる本にはなかなかお目にかかれるものではありません。

著者は当時の時代背景や宗教事情と絡めてフェルメールのことを語っていきます。これがすこぶる面白い!「え!?そうなんだ!!」ということがどんどん出てきます!ぜひぜひおすすめしたい傑作です!

光の画家フェルメールと科学革命

小林賴子『フェルメールとそのライバルたち 絵画市場と画家の戦略』~同時代の画家たちと市場原理から見るフェルメール

この作品はフェルメールが活躍した17世紀オランダの美術市場から彼を見ていこうという異色の作品です。

絵画の本と言えばその絵の特徴や魅力を解説していくのが普通ですが、この本では当時のマーケットからフェルメール作品の特徴に迫っていきます。また、彼の同時代のライバルたちとのつながりからもフェルメールを考えていきます。

いつもとは違った視点からフェルメール絵画を考えていけるのでこれは非常に刺激的な1冊でした。

光の画家フェルメールと科学革命

アンソニー・ベイリー『フェルメール デルフトの眺望』~時代背景と生涯を詳しく知れるおすすめ伝記!

この作品はフェルメールの生涯を詳しく知るのにとてもおすすめな伝記となっています。

『「キャンヴァスに向かう画家を間近に見る思い」と絶賛された評伝』と絶賛されるように、17世紀オランダの時代背景と共にフェルメール周辺の出来事がかなり詳しく語られていきます。しかもそれが読みやすく面白く書かれていますので、フェルメールをもっと知りたいという方にうってつけの伝記となっています。

光の画家フェルメールと科学革命

『VS.フェルメール 美の対決 フェルメールと西洋美術の巨匠たち』概要と感想~比べて感じる名画の魅力!

この作品はタイトル通り、フェルメールと各国の名画を並べて鑑賞し、それぞれの魅力や特徴を見ていこうという作品になります。

この人の作品はどこが魅力的なのか、ただ漠然と眺めるだけでは見えてこないものが他作品と比べて観ることで浮き上がってくる。

そうした体験をこの本では味わっていくことになります。

雑誌大の割と大き目なサイズの本で、名画たちがカラーでどかーんと見開きで並べられているのはとてもありがたいです。

光の画家フェルメールと科学革命

『中野京子と読み解く フェルメールとオランダ黄金時代』概要と感想~時代背景と歴史も学べるおすすめ解説書!

この本では様々な観点からフェルメールの生きた時代を見ていきます。

そしてフェルメールの絵だけでなく、ほかの画家による絵も参考にしていくところも特徴的です。

絵の解説に加えて時代背景や当時の出来事が語られていくのですが、面白くてあっという間に読み終わってしまいました。これは素晴らしい本です。読みやすさも抜群です。

ぜひぜひおすすめしたい作品です!フェルメール入門にもうってつけな作品となっています。

ロシアの巨人トルストイ

トルストイ『コサック』あらすじと感想~カフカースの圧倒的美しさを描いたトルストイの傑作中編!あの『戦争と平和』にも直結

『コサック』はトルストイのカフカース体験の集大成とも言える作品です。

カフカースの美しさをここまで表現するトルストイにはただただ脱帽するしかありません。

『コサック』はあの大作『戦争と平和』にも直接繋がっていく非常に重要な作品となっています。

文豪トルストイのスタイルが定まる記念碑的な作品とも言えるかもしれません。

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(35)エンゲルスのパリでの矛盾に満ちた私生活とは~マルクス・エンゲルスは本当は何を求めていたのだろうか

前回の記事の最後でエンゲルスの理想が「労働者にもっと貧しく、どん底にいてほしかった」というものだったということをお話しました。

そしてマルクス・エンゲルスが人々の生活が悪くなればなるほど喜ぶような節を見せるのに対し、私が違和感を感じていたこともお話ししました。

彼らははたして本当に労働者のために動いているのだろうか?そう思わざるをえない行動を彼らはこの後も取り続けます。そのひとつの例が今回紹介する箇所になります。

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(34)エンゲルスの理想が「労働者にはもっと貧しく、どん底にいてほしかった」という現実

今回の記事ではマルクスとエンゲルスの思想において決定的に重要な指摘がなされます

マルクス・エンゲルス関連の様々な本を読んできて、私が薄々感じていた違和感をはっきりと言葉にしてくれたのが今回読んでいく箇所になります。

ぜひ読んで頂きたい内容となっています。