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(28)「限りなく天国に近い教会」ツミンダ・サメバ教会とエリア修道院でカフカースの絶景を堪能

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【ジョージア旅行記】(28)カフカースの絶景「限りなく天国に近い教会」ツミンダ・サメバ教会とエリア修道院へ

カフカース(コーカサス山脈)の拠点カズベキについた私は早速「限りなく天国に近い教会」と言われるツミンダ・サメバ教会へと向かった。

正面に見える雪化粧をした山がカフカースの名峰カズベキ山。

そして写真左上の山にぽつんと立つのがこれから向かうツミンダ・サメバ教会だ。

カズベキの町から4WDの車に乗り換え山方向に向かったのだが、途中からものすごい道が始まった。

なるほど、これは普通の車では絶対無理だ。

単に舗装されていないとか、そういう問題ではない。そもそも穴だらけでしかもなぜか野球ボール大の岩がごろごろ道に転がっているのだ。時たまサッカーボールよりも大きな岩すらあった。その岩を避けながら穴ぼこも回避しなければならない。「なぜ岩を撤去しないのだ!」何度これが頭をよぎったことか。

揺れる揺れる。身体が浮くほどの衝撃。

この映像を見て頂ければその悪路っぷりも伝わるのではないだろうか。

そして今でも思い出すと笑ってしまうのだがこのドライバーの豪快さたるや。彼はドライバーの会社の社長でもあるそうなのだが、どうもこの時部下が別のツアーで失敗をやらかしたらしい。それでその対応にてんやわんやとなっているようだが、どうだろう、この悪路で片手で運転しながら怒鳴りまくっているこのワイルドさよ!隣に座っている私はもはや笑うしかなかった。こんなの日本じゃありえない(笑)

さて、間もなく到着。駐車場に着く前に最も有名な写真スポットで車を止めてくれた。

おぉ!これだこれ!

ジョージアといえばこの景色というくらい有名なあの絶景ではないか!

これは素晴らしい・・・!教会そのものも歴史を感じさせる堂々たるたたずまいだがやはり何と言ってもその背景の切り立った山だろう。この圧倒的な迫力はこの山があるからこそだ。

そして教会近くの駐車場に到着。ここからは徒歩。

駐車場からはすぐなので、アルメニアで体調を崩していた私でもなんとか乗り切ることができた。

教会へ向けて歩きながら後ろを振り返ると、ものすごい絶景がそこにあった。

正面のカズベキ山の美しさは言わずもがなだがその前景の山々の折り重なりがまたなんとも素晴らしい。木々がないとやはり輪郭がくっきりする。それがシャープな印象を与えているのかもしれない。

あぁ、やはりジョージア教会の建築はいい。どうしてこんなにも精神性を感じるのだろう。アルメニアを経たからこそ特にそのことを感じる。時代を感じながらも今と繋がるものを明らかに感じるのだ。

ここも現役の修道院で中は撮影不可だった。

ガイドによるとこの修道院は若手修道士の登竜門なのだそうだ。

というのも、修道士とは本来俗世を離れて静かに祈りに励むのがその本懐だ。そしてジョージアでは今もなおそうした修道士の生活を求めてその道に入る人がたくさんいるという。

だが修道士になるというのは当然ながらそんなに簡単なことではない。やはり強い覚悟とある程度の素質を必要とする。

そこでここが登竜門としての大きな役割を果たしているというのだ。

と言うのも、ここは山の上にぽつんと立つとはいえ、今や観光地としてたくさんの人が来る。人里離れた場所で静かに生活をするならば誰でもできる。だがこうして人がたくさん来てざわざわしているところでも祈りの生活をできるか。観光客の目がありながらもここに生きる信徒を大切にして日々を過ごすことができるか。そうしたことを試されるそうだ。

そしてここでそれができるようならどこへ行っても大丈夫。これからも精進しなさいということで晴れて次の道へ行くそうだ。もちろん、ここでずっと生活している修道士もいるとは思うが、こうしてここが修道士の登竜門として機能しているというのは非常に興味深い話だった。

きっと比叡山や高野山の辺りでもこうした観光地化と修行の葛藤みたいなものがあるのではないだろうかと内心思ってしまった。機会があればぜひお伺いしてみたいと思う。

修道院からのカズベキ山の眺めも絶景だった。教会建築越しに見るカズベキ山というのがまたいい味を出している。

修道院からカズベキの町方面を眺める。先程まで私がいた場所だ。あそこからここまで上ってきたのだということを感じられてうきうきした気持ちになる。

このカズベキという町が山と山に挟まれた谷間にあることを実感できる景色だった。

いやぁさすがジョージアの誇る絶景の教会だった。

名残惜しくも山から下山しカズベキの町に戻って来た。次に向かうのはエリア修道院という、知る人ぞ知る素晴らしい景色を堪能できる場所だそうだ。

場所はというと、この木の茂っているさらに向こう側にあるそうだ。つまり、先程見たツミンダ・サメバ教会の背景となっていた山のごく近くということだ。あの教会越しに見ていた山を今度は間近で見ようというのである。これは期待できそうだ。

さて、行けるところまで車で上り、そこからは軽く歩く。すでにして私は目の前の山に息を呑んでしまった。

いやいやいやいや、何ですかこれは・・・

遠くから見てもものすごい迫力だったが近くで見るとそのさらに上をいく大迫力。地面から鋭い岩山がごごごごごと突き出てきたかのようだ。

カズベキ山が女性的だとするならばまさにこの山は男性的と言えるかもしれない。トルストイ的ということすら浮かんでしまった。

そしてカズベキ山方面を振り返るとこうである。ついさっきまでカズベキの町の中にいたのにもはや全くの別世界だ。

そしてこちらがエリア修道院。ちょうど私が訪れた時は修道士がお祈りをしていたり、外で草刈りの仕事をしていた。

この景色を見てほしい。雄大な景色そのものに圧倒されていたのに今度は馬の群れである。しかも勢いよくこっちに走ってきた。もう何がなんだかわからなくて笑ってしまった。

ちなみに左の黄色い筒状のものを背負っている男性は修道士だ。これからどこに行くのだろう。まさか山の上でお祈りをするのだろうか。

このエリア修道院でもいくつか動画を撮影したのでそちらもここに紹介しておこう。

さて、この日はカズベキからすぐ近くの絶景に心底驚いた一日であった。カフカース滞在一日目にしてその迫力に圧倒されてしまっている。

これから先の数日で私はこのカフカースにさらに驚くことになる。そしてトルストイ、ドストエフスキーに対する思いがどんどん膨らんでいくことになったのだった。

続く

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

コメント

コメント一覧 (2件)

    • コメントありがとうございます。そう言って頂けまして嬉しいです!

      本当に不思議な国でした。ここに行けたのは本当にいい経験になりました。

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