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J・グラスコック『メガネの歴史』あらすじと感想~眼鏡はいつから始まった?時代背景や文化も学べる刺激的な1冊!

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J・グラスコック『メガネの歴史』概要と感想~眼鏡はいつから始まった?時代背景や文化も学べる刺激的な1冊!

今回ご紹介するのは2022年9月に原書房より発行されたジェシカ・グラスコック著、黒木章人訳の『メガネの歴史』です。

早速この本について見ていきましょう。

こうして人はメガネの虜になった ―― その誕生から、最先端デザインまで

●世界初のメガネは老眼鏡
●紳士淑女のスパイグラス
●反逆者たちの片メガネ(モノクル)
●ファッション誌VSメガネ
●アヴィエイター、キャットアイ、ロリータ
●ビヨンセやレディ・ガガ、リアーナ、歌姫たちが愛したメガネ

有名デザイナーのインタヴューを収録

必需品? それとも贅沢品?
13世紀に誕生した世界初の老眼鏡から、片眼鏡、オペラグラス、サングラス、レディ・ガガの奇抜なファッション眼鏡まで。
ときに富や権力の象徴にもなり、時代を超えてリヴァイバルするメガネの意外で奥深い歴史。

Amazon商品紹介ページより

私がこの本を手に取ったのは以前当ブログでも紹介したローラ・J・スナイダー著『フェルメールと天才科学者 17世紀オランダの「光と視覚」の革命』がきっかけでした。

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この本はレンズを通して光の仕組みを解明しようとしていた2人の偉人、フェルメールとレーウェンフックについて書かれた作品です。

私はこの本に強烈なインパクトを受け、フェルメールとレーウェンフックが使用していたレンズについても強い関心を持つようになりました。

そして今年8月にはオランダまで行きフェルメールとレーウェンフックの故郷デルフトや、レーウェンフックのオリジナルの顕微鏡が展示されているライデンのブールハーヴェ博物館にも足を運びました。

現物をいざ目の当たりにするとその精密さに驚くしかありませんでした。

そしてそんなレンズについて書かれた『フェルメールと天才科学者 17世紀オランダの「光と視覚」の革命』ですが、この本の中にはメガネの起源についても書かれていました。

私はほぼ毎日メガネを使用しています。コンタクトだと目が痛くなるという物理的な理由もあるのですが、やはりメガネそのものに愛着があるのも事実です。

そんな毎日お世話になっているメガネの歴史をもっと知りたい!そんな思いが私の中に浮かんできたのでありました。

そしてそんな中最近出版されたのがこの『メガネの歴史』になります。そして翻訳者は『フェルメールと天才科学者 17世紀オランダの「光と視覚」の革命』と同じ黒木章人さん!黒木さんの翻訳なら間違いない!ということで早速この本を手に取ってみたのでありました。

著者はこの本の冒頭で次のように述べています。

メガネは名誉の証なのだろうか?医学の奇跡?それとも社会的自殺行為なのだろうか?科学技術の偉業なのはまちがいない。が、おかしなことに、ファッションアイテムとしてのメガネの歴史には蓋がされていると言うほかない。実際には、ファッションとメガネは700年ほどにもわたる長い戦いを繰り広げてきた。より明るい世界への窓口ではなく、人間の容姿を損なうものとされてきたメガネも、やがて必要に迫られて身につけるものから、自ら望んで身につけるものへと変わっていったが、その歩みは緩やかで漠然としたものだった。

原書房、ジェシカ・グラスコック、黒木章人訳『メガネの歴史』P7

この作品は単にメガネの歴史をたどるだけでなく、文化、特にファッションという切り口からメガネの変遷を見ていくユニークな作品となっています。

この少し後の箇所で、

ファッションアイテムとしてのメガネの物語は、視力矯正という視点のみで語ることはできない—啓蒙的なものである必要もあったのだ。

原書房、ジェシカ・グラスコック、黒木章人訳『メガネの歴史』P13

と著者が述べるように、メガネは単に視力を回復するという物理的な目的ではなく、文化や社会に密接に結びついていたということが強調されます。

コンラート・フォン・ゼスト作の ‘Glasses Apostle’ (1403)Wikipediaより

1267年に歴史上初めてメガネについての記述が現れてから今や700年以上もの時が過ぎています。

その時代その時代でどんなメガネが求められていたのか、そしてそのメガネを着用することにはどんな社会的意味があるのかという考察は非常に興味深かったです。

そして何よりこの本の特徴は図版や写真が大量に掲載されている点にあります。もはやこの本の半分は写真だと言ってもいいくらいです。それほどたくさんのビジュアル資料が掲載されています。

おかげで視覚的にも非常にわかりやすい作品となっています。

現代に近くなるたびにファッション要素が増していく様子を追って行けるのも面白かったです。

知っているようで意外と知らないメガネの歴史を知れるこの本はとても刺激的でした。

ぜひぜひおすすめしたい作品です。

以上、「J・グラスコック『メガネの歴史』~眼鏡はいつから始まった?時代背景や文化も学べる刺激的な1冊!」でした。

Amazon商品ページはこちら↓

[フォトグラフィー]メガネの歴史

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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