G・シュヴァルツ『フェルメールの世界 拡大図でたどる静謐の物語』概要と感想~フェルメールの職人技を堪能!細部の細部まで見逃さない独特なフェルメールガイドブック!
今回ご紹介するのは2022年にパイ・インターナショナルより発行されたゲイリー・シュヴァルツ著、熊澤弘訳『フェルメールの世界 拡大図でたどる静謐の物語』です。
早速この本について見ていきましょう。
全作品、拡大で見る! 世紀の大修復後、初公開の作品も収録
ヒエロニムス・ボス、ピーテル・ブリューゲルに続く「拡大で見る! 」シリーズ第3弾。
Amazon商品紹介ページより
17世紀オランダの随一の人気を誇るヨハネス・フェルメールの絵画の細部に迫りながら、
この画家の多様な魅力に注目します。
この作品は書名にもありますようにフェルメール作品を拡大して細部の細部まで堪能しようという作品になります。




上の引用画像を見て頂ければわかりますように、絵の全体像を見るのと、一部を拡大してみるのとではまた違った見え方がしてきますよね。
フェルメールの絵は全体の構成や美しさが見事すぎて、逆に細部にまで目がいかないということが出てきます。
私もこれまで様々な本でフェルメールの絵を観てきましたが、この本では意外な発見がどんどん出てきました。
「え?ここはこんな風に書かれてたの!?」「こんなのあったっけ!?」と何度も驚くことになりました。

2022年7月から大阪で『ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展』が開催されます。そこで展示されるのが上の『窓辺で手紙を読む女』なのですが、私は6月まで開催されていた札幌会場に実際に観に行きました。
この絵を間近で観ることができ、その美しさ、リアルさにそれこそ衝撃を受けたわけでありますが、このガイドブックを読んで改めて驚くことになりました。
というのも、この本ではこの女性の頭部にぐっと寄って拡大したページがあるのですが、これがまたすごかったのです。
実際にオリジナルを観ても気付けないような筆のタッチをこの本で観ることができます。この女性の髪がどのように描かれているのか、そしてパッと見てはわからないフェルメールの職人技がばっちり捉えられています。
フェルメール得意の光の粒がどこにどのように使用されているのか、そして服の質感はどのような筆運びで表現しているのかというのもこの拡大図では感じることができます。
これはぎりぎりまで拡大して見ないとなかなかわからないと思います。肉眼で作品を見るだけではかなり厳しいです。
漠然とフェルメール作品を見るだけではまず気付くことのできない達人の技をこの本では観ることができます。
しかもオールカラーでページいっぱいに掲載されていますので非常に見やすいです。
美術館に行ってもここまで顔を近づけて絵を観ることはできません。まして虫眼鏡で観ていくように現地でじっくり観察するのはさらに不可能です。この本はそんな不可能を可能にしてくれる1冊です。
読めばきっと驚くと思います。「フェルメールはこんな風に描いていたのか」と度肝を抜かれること間違いなしです。改めてフェルメールの化け物ぶりが感じられます。すごすぎます。この本を読んでからフェルメールのオリジナルに会った時はどんな風に見えてくるのだろうとわくわくしてしまいます。それくらい見え方が変わって来るのではないでしょうか。
これは非常におすすめな作品です。ぜひぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
以上、「G・シュヴァルツ『フェルメールの世界 拡大図でたどる静謐の物語』細部の細部まで堪能できるおすすめガイドブック!」でした。
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