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V・デヘージア『岩波 世界の美術 インド美術』概要と感想~オールカラーの素晴らしい写真が満載!おすすめインド美術ガイドブック
今回ご紹介するのは2002年に岩波書店より発行されたヴィディヤ・デヘージア著、宮治昭、平岡三保子訳の『岩波 世界の美術 インド美術』です。
早速この本について見ていきましょう。
インダス文明から現代の写真表現まで壮大なインド亜大陸の美術の「多様性」と「連続性」を見事に描きだす.
インダス文明から20世紀の写真表現まで4500年にわたりインド亜大陸に生起した壮大な美の歴史への誘い.諸宗教との関係,美術家の社会的地位,交易や旅行の影響などを検証しつつ,その「多様性」と「連続性」を見事に描きだす.また南インドや植民地時代,独立後の美術をも取り上げ,話は日本画からの影響へとおよぶ.
岩波書店商品紹介ページより
この本はインダス文明から現代インドまでの美術史を一冊で概観できる驚くべき作品です。この本の特徴は写真が豊富ですべてオールカラーで掲載されている点にあります。また、時代ごとに並んでいるのでインドの美術がどのような流れで変遷していったのかを知れるのもありがたいです。
私は特に仏教美術に関心があったのですが、初期の仏像や仏教彫刻を綺麗な写真で見れたのはとてもありがたかったです。解説もわかりやすく、これはぜひおすすめしたい作品だとすぐに感じました。
そしてこの本で特に印象に残ったのがカジュラーホーとジャイナ教の聖地アーブー山の解説でした。
聖と俗が入り乱れた寺院として有名なこちらのカジュラーホー。単に性的に乱れた寺院と侮るなかれ。ここにこそインド特有の奥深い思想があるということをこの本で知ることができます。日本にもこうした思想は大きな影響を与えています。仏教を違った目線から考えてみるためにもこの聖と俗のカオスは非常に興味深いものがありました。
そしてもう一つがジャイナ教の寺院です。ジャイナ教の寺院は日本人には縁遠く、なかなかその内部や構造を知る機会すらありません。私もジャイナ教美術はほとんど知らなかったのですがこの本を読んで驚きました。まさかこんなに圧倒的なものだったとは!
ジャイナ教寺院は僻地にあることが多く、なかなか簡単にはアクセスすることができませんがここはぜひ訪れてみたいと思わされる場所でした。
この本はインド美術の全体像を学ぶ上でとてもおすすめな作品です。インドに興味のあるかたにぜひおすすめしたい一冊です。
以上、「V・デヘージア『岩波 世界の美術 インド美術』~オールカラーの素晴らしい写真が満載!おすすめインド美術ガイドブック」でした。
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インド美術 (岩波世界の美術)
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