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混雑とおさらば!バチカンで朝食を~静寂のバチカン美術館を独り占め! イタリア・バチカン編②

目次

美術好き必見!バチカンで朝食を~静寂のバチカン美術館とシスティーナ礼拝堂を優雅に堪能 僧侶上田隆弘の世界一周記―イタリア・バチカン編②

5月9日。朝7時。

人もまばらな朝のローマを歩き、バチカン美術館へ向かう。

7時15分、美術館入り口に集合。

タイトルにもあるように、今日はバチカン美術館で朝食を頂く。

この朝食付き入場チケットのメリットは通常9時オープンの美術館に1時間早く入場することができること。

つまり、昨日のような大混雑に巻き込まれることなく、静かな環境でじっくりと美術館を堪能することができるのだ。

こちらがバチカン美術館の誇るピーニャの中庭。

手荷物検査などを終えて7時半頃にはここに着くことができる。

マツボックリの像で有名なこの中庭でこれからぼくは朝食を頂くのだ。

なんと優雅な朝食だろう。期待が高まる。

食事はビュッフェ形式。

席に案内された後は自由行動。

高級ホテル並みとは言えないけれども、ぼくからしたらそれでも十分すぎるほどの品数がずらりと並ぶ。

中でもぼくのお気に入りは焼きたてのパンケーキ。

旅先で食べるパンケーキはどうしてこんなに美味しいのだろう。

ましてやここはバチカン。

こんなすばらしい朝食会場なんてめったにお目にかかれるものではない。

天気もよし。景観よし。解放感よし。

もはや言うべきことは何もない。最高の朝食だ。

バチカンの中庭で朝食ができるという幸せ。

コーヒーも頂き、優雅なひと時を過ごす。

実に素晴らしい朝食だった。

そして8時になると美術館の中に入場することができる。

8時までは中に入れてもらえないので焦ってご飯を食べても徒労に終わってしまうのでご注意を。

さて、早速美術館の中を歩いてみよう。

誰もいない。シーンと静まり返っている。

昨日見た混雑が嘘のようだ。

静かな美術館。静寂の中でコツコツと歩く靴音だけが響いている。

自分一人の世界で芸術に浸れる贅沢な時間。

前日の写真と比べてみるとその違いがわかるだろう。

この差は美術館を楽しむ上で劇的な違いを生み出す。

美術館というただでさえ狭い空間の中でこれだけの人が密集していたらそれだけで疲れてしまう。

さらに流れに合わせて進まなければならないのでとてもじゃないが自分のペースでなど見てはいられない。

これもまた意外に体力を消耗する。

そうなってしまったら芸術鑑賞に注ぐエネルギーはどれだけ残されているだろうか。

美術館巡りで芸術を楽しめない理由の一つはこのエネルギー残量の問題ではないかとぼくは思う。

これにはみなさんも心当たりがあるのではないだろうか。

どんなに自分が楽しみにしていたことでも、もし自分が疲れきっていてテンションがガタ落ちな状態では何をしたって楽しめない。

疲れと体調不良。これが大敵だ。

それをいかに抑え込めるか、最後までいかに元気で楽しくいられるか。

当たり前のことだけれども意外とこれを実践するのは本当に難しい。

だが、これは旅をする上で最も大事なことのひとつだとぼくはこの旅で実感した。

静かで人も少ない朝の美術館はその点で最高の環境を与えてくれる。

疲れ具合がまるで違う。

そしてその分、すばらしい芸術作品にエネルギーをたっぷりと注ぐことができるのだ。

そして今日ぼくが利用した朝食付き入場券の最大のメリットは、静かなシスティーナ礼拝堂を味わうことができるということだ。

中は写真撮影禁止なので、お土産に買ったポストカードの写真でイメージして頂けたらと思う。

実際にここに入ってみると圧倒されるほかはない。

現実の世界とは異なった空間のように感じる。

そしてこのシスティーナ礼拝堂に有名なミケランジェロの『最後の審判』の壁画が描かれている。

天井画もミケランジェロによって描かれたものだ。

日中は残念ながらあまりに多くの人がいてゆっくりと落ち着いて見ることは難しい。

実は前日もここを訪れたのだが、あまりの人の多さとがやがやした雰囲気でまともに見ることはできなかった。

だからこそ、今日の朝のシスティーナ礼拝堂をとても楽しみにしていたのだ。

そしてそれは期待通りのものだった。

人が少ないので落ち着いて見ることができた。

そして、わざわざ朝早くから通常よりも高いお金を払って来た人達しかここにはいない。

つまり、この絵を静かに、そしてじっくりと鑑賞したい人たちがここに集っている。

だからこそ鑑賞マナーも素晴らしい。

お互いがお互いを尊重している空気感がある。

静かなシスティーナ礼拝堂でじっくりと絵画を堪能することができた。

あまりの美しさに時間を忘れて見入ってしまった。

バチカンは素晴らしい。これは毎日来ても飽きないだろう。

というのも、ぼくは明日もこの朝食付き入場券を予約している。

そして今回あまりにこの静かなバチカンを気に入ってしまったので、元々予定はしていなかったのだが急遽明後日の朝のチケットも予約することにした。

空港へ向かうまでの少しの時間だけでもここに来たい。どうしても観たい。

そんな思いだった。

となると4日連続のバチカン美術館ということになる。

よく飽きないなと思ってしまうかもしれないが、それほど素晴らしかったのだ。

一つ一つの絵や礼拝堂についてはここではご紹介できないが、本当に素晴らしいものであることはお伝えしたい。

バチカンに来られる際は朝食付きの入場券を強くお勧めする。値段は高くなるがそれ以上の価値は必ずある。

システィーナ礼拝堂からは美術館にまた戻ることができる。

ちょうど順路がシスティーナ礼拝堂を通ってスタート地点までぐるっと1周できるようになっているのだ。

一度入場してしまえば閉館時間までずっと見学可能。

昼食も美術館内で取ることができる。

思っていたより美味しくて満足だった。

カフェテリアもいくつもあるので疲れたら休憩できる。

ぼくはこの日と翌日、朝7時から夕方前までずっとこの美術館にこもり、合わせて6周この順路を回ることになった。

それでもまったく飽きない。

あと何日でもいたい。心の底からそう思うのであった。

続く

※ローマやイタリアを知るためのおすすめ書籍はこちらのカテゴリーページへどうぞ
「ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック」
「イタリアルネサンスと知の革命」

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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