ホロコースト

独ソ戦~ソ連とナチスの絶滅戦争

独ソ戦のおすすめ参考書16冊一覧~今だからこそ学びたい独ソ戦

この記事では独ソ戦を学ぶのにおすすめな参考書を紹介していきます。

独ソ戦は戦争の本質をこれ以上ないほど私たちの目の前に突き付けます。

なぜ戦争は起きたのか。戦争は人間をどう変えてしまうのか。虐殺はなぜ起こるのかということを学ぶのに独ソ戦は驚くべき示唆を与えてくれます。私自身、独ソ戦を学び非常に驚かされましたし、戦争に対する恐怖を感じました。これまで感じていた恐怖とはまた違った恐怖です。ドラマや映画、ドキュメンタリーで見た「被害者的な恐怖」ではなく、「戦争そのものへの恐怖」です。

それぞれの記事でより詳しく本の紹介をしていますので、興味のある方はぜひ記事の方もご参照ください。

愛すべき遍歴の騎士ドン・キホーテ

(3)敵を打ち負かし、理想の実現を図るため拷問は行われる~犠牲者を人と見なさない心理とは

「私は不本意だがこれからお前を拷問にかける。お前が悪いことをしたから悪いのだぞ?神はそれを知っておられる。神は絶対に正しい。その神より委託を受けている私たちも正しい。お前は拷問によって苦しむかもしれんがそれは自業自得だ。だがそれによりお前は罪を償うことができるのだ。むしろ我々に感謝してもらいたい。」

異端審問官であれどさすがに自分の手を汚すのは精神的にダメージがあります。そこで自分たちの心が痛まないようにこうして神という絶対的な権威を利用していたのでした。これはスターリンやヒトラーによる虐殺の時にも見られたものです。絶対的な権威による免罪があるからこそ、淡々と暴力を振るうことができたのでした。

スターリンとヒトラーの虐殺・ホロコースト

C・メリデール『イワンの戦争 赤軍兵士の記録1939-45』~ソ連兵は何を信じ、なぜ戦い続けたのか?

この本では一人一人の兵士がどんな状況に置かれ、なぜ戦い続けたかが明らかにされます。

彼ら一人一人は私たちと変わらぬ普通の人間です。

しかし彼らが育った環境、ソ連のプロパガンダ、ナチスの侵略、悲惨を極めた暴力の現場、やらねばやられてしまう、戦争という極限状況が彼らを動かしていました。

人は何にでもなりうる可能性がある。置かれた状況によっては人はいとも簡単に残虐な行為をすることができる。自分が善人だと思っていても、何をしでかすかわからない。そのことをこの本で考えさせられます。

スターリンとヒトラーの虐殺・ホロコースト

(6)アーレントの全体主義論と赤軍記者グロスマンの小説~独ソ戦や全体主義を論じた傑作について

アーレントといえば『全体主義の起源』や『イエルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告』などでホロコーストについて語ったことで有名ですよね。ナチスのホロコーストを語る上で、ハンナ・アーレントの名は今もなお世界中に轟いています。

そして著者のティモシー・スナイダーはこのアーレントと対置してソ連の作家ワシーリー・グロスマンを紹介します。私がグロスマンの作品を読もうと思ったのも、スナイダーによる賛辞の言葉を読んだからこそでした。日本ではあまり知られていないグロスマンですが、世界史上とてつもない人物がここに存在していたのでした。ぜひおすすめしたい作家です。

スターリンとヒトラーの虐殺・ホロコースト

(5)ソ連の粛清とナチスのホロコーストの流れをざっくりと解説

今回の記事ではこの本の巻末に著者によって書かれた「要旨」を紹介していくこととします。

この箇所にはスターリンによる粛清とヒトラーによるホロコーストの流れが説かれています。

また、独ソ戦の経緯もわかりやすく解説されているため、両者の立場から見た独ソ戦も学ぶことができます。

スターリンとヒトラーの虐殺・ホロコースト

(2)ナチスとソ連、隠蔽された犯行現場~歴史は様々な視点から見なければ把握できない

一つの国の歴史だけを見ても、そこで起きた出来事の全貌を知ることはできない。

これは非常に重要な指摘です。著者はこの時代に起こった個々の出来事を様々な角度から見ていきます。歴史的な出来事を点として見るのではなく、当時の複雑な世界情勢、つまり面として見ていきます。

ホロコーストを研究した著作は数多くあれど、ソ連との覇権争いの過程や国際情勢と絡めて多角的に論じた本はほとんどありません。

いくら一つのことに対してどれほど知識を持とうともそれだけでは歴史は理解することはできないのです。

これはスターリンやヒトラーの大量虐殺だけではなく、歴史、思想、文化、宗教、あらゆるものにおいてもそうだと思います。

著者のこの指摘は非常に重要なものであると私は思います。

スターリンとヒトラーの虐殺・ホロコースト

(1)ナチスとソ連による1400万人の虐殺の犠牲者~あまりに巨大な独ソ戦の惨禍

『ブラッドランド ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』では独ソ戦で起きた大量虐殺の悲劇はナチス、ソ連の相互関係によってより悲惨なものになったことを明かしていきます。ナチスの残虐行為だけが世界史においてはクローズアップされがちですが、それだけではナチスの行動の全貌を知ることはできません。

ナチスとソ連というもっと大きな視点でホロコーストの実態を見ていくことがこの本の特徴です。

「ナチスは異常で残虐で悪い人間だった」と単に片付けるのではなく、もっと大きな視点からなぜ人間はそのようなことを行ってしまったのかということに迫っていくのが本書の素晴らしい点です。

スターリンとヒトラーの虐殺・ホロコースト

ティモシー・スナイダー『ブラッドランド ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』~独ソ戦の実態を知るのにおすすめの衝撃の一冊!

スターリンはなぜ自国民を大量に餓死させ、あるいは銃殺したのか。なぜ同じソビエト人なのに人間を人間と思わないような残虐な方法で殺すことができたのかということが私にとって非常に大きな謎でした。

その疑問に対してこの上ない回答をしてくれたのがこの『ブラッドランド ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』でした。

訳者が「読むのはつらい」と言いたくなるほどこの本には衝撃的なことが書かれています。しかし、だからこそ歴史を学ぶためにもこの本を読む必要があるのではないかと思います。

スターリンとヒトラーの虐殺・ホロコースト

C・アングラオ『ナチスの知識人部隊』~虐殺を肯定する理論ーなぜ高学歴のインテリがナチスにとって重要だったのか

この本は虐殺に突き進んでいった青年知識人たちにスポットを当てた作品でした。彼らがいかにしてホロコーストを行ったのか、そしてそれを正当化していったのか、その過程をじっくり見ていくことになります。 この本で印象に残ったのはやはり、戦前のドイツがいかに第一次世界大戦をトラウマに思っていたのかということでした。 そうした恐怖が、その後信じられないほどの攻撃性となって現れてくるというのは非常に興味深かったです。

スターリンとヒトラーの虐殺・ホロコースト

M・ベーレンバウム『ホロコースト全史』~ナチスのユダヤ人政策の歴史をより深く学ぶためのおすすめ参考書

この本ではナチスによるホロコーストが試行錯誤の末進められていったその過程がかなり詳しく語られます。そしてアメリカをはじめとした連合国がホロコーストの事実を知っていながらそれを無視したという驚きの事実もこの本では語られます。

そして何よりこの本で私の印象に残っているのは掲載されているたくさんの写真でした。

この本は写真資料が豊富です。しかもその写真がかなりショッキングなものばかりです。

ガリガリに痩せほとり、服を着ていない無数の遺体が巨大な穴の中に折り重なっている写真など、他の本ではあまり掲載されないようなものも多々あります。ホロコーストの悲惨さがストレートに伝わってきます・・・

ホロコーストについてより深く学ぶにはこの本はとてもおすすめです。資料集として利用するのにも抜群だと思います。