親鸞とドストエフスキー・世界文学

フリーフォールマルクス・エンゲルス著作と関連作品

スティグリッツ『フリーフォール』~新自由主義を厳しく批判したノーベル経済学者の提言!

著者のスティグリッツは2008年のリーマンショックを引き起こしたアメリカの新自由主義を批判したノーベル経済学者です。

私がこの本を手に取ったのはマルクスを学んだのがもともとのきっかけでした。資本主義を批判したマルクス。そして現代もマルクス主義者は資本主義を批判しますが、何もマルクス主義だけが行き過ぎた資本主義を批判しているわけではありません。前回の記事でも紹介した、日本の誇る経済学者、宇野弘文もアメリカ的な資本主義に強い警鐘を鳴らしていたのでありました。

しかもなんと、今作の著者ノーベル経済学者スティグリッツは若き頃この宇沢弘文の指導を受けていたというのです。これには私も驚きました。

というわけでぜひ宇沢弘文の薫陶を受けたスティグリッツの本も読んでみたい、そんな思いでこの本を手に取ったのでありました。

ベルニーニ『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(40)最晩年の失脚と誹謗中傷に苦しめられたベルニーニ~サン・ピエトロ広場の第三柱廊の工事も中止に

あれほどの栄華を誇ったベルニーニもその最晩年は苦しい日々を過ごしていた・・・このことに悲しい思いを抱かずにはいられません。もし彼がその栄華を傲慢さや他者を押しのけたことで手にしたのであれば因果応報です。ですが彼はそういう人物では決してありませんでした。だからこそ私は悔しく思うのです。

偉大な芸術家はえてして誹謗中傷に苦しむことになりやすいです。そして死後何十年経ってからようやく評価されるなんてことも珍しくありません。天才と呼ばれる人たちは同時代の人にはあまりに巨大すぎて理解されないのです。生きながらに評価されたとしたらそれは極めて幸運なことなのではないでしょうか。

ベルニーニ『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(39)『福者ルドヴィカ・アントーニ』~サン・フランチェスコ・ア・リーパ教会のベルニーニ最晩年の力作!

この記事ではサン・フランチェスコ・ア・リーパ教会の『福者ルドヴィカ』を紹介していきます。

闇夜に光る『福者ルドヴィカ』の美しさたるや凄まじいものがあります。

ベルニーニは採光を完璧に統御しています。そして差し込む光がどう彫刻を照らすかもすべて計算済みです。ライトの光では絶対にそれは再現することができません。石鍋真澄がくれぐれも注意していたことの意味がよくわかります。

実に素晴らしい体験でした。ローマ観光においてはマイナーなスポットであるかもしれませんが、非常にインパクトのある教会です。ぜひトラステヴェレ地区に行かれる際はここを訪れるのをおすすめします。

資本主義と闘った男マルクス・エンゲルス著作と関連作品

佐々木実『資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界』~日本を代表する経済学者のおすすめ伝記!

アメリカ式新自由主義、環境問題、格差の問題を「社会的共通資本」という視点から論じていく宇沢弘文。机上の理論ではなく水俣病の現場に赴きその現実と向き合って闘い続けたその姿・・・

経済学者でありながら現場で実践し続けるその姿にも私は心打たれました。

若い頃の禅寺での体験が生涯に影響を与えていたことも見逃せません。

とにかくあまりに巨大なスケール!

何をどうお話ししていいのか私も混乱しています。それほど強烈な人生を歩まれています。

ぜひ一人でも多くの方に読んでほしい名著中の名著です。読めばきっと皆さんも頭がスパークすること間違いなしです。こんなにすごい方が日本におられたんだと驚くことでしょう!

『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(38)晩年のベルニーニ作のサンタンジェロ橋の天使像~現在サンタンドレア・デッレ・フラッテ教会所蔵の名彫刻

今回ご紹介するのはサンタンジェロ城目の前にあるサンタンジェロ橋に設置されている二体の天使像です。

今回の記事ではそんなベルニーニ作の天使像についてお話ししていきます。実はこの作品のオリジナルは別の教会に納められているのですがこれもまた素晴らしい!

オリジナルで見た天使像のクオリティは全く違いました。磨き上げられているのもわかりましたし、なにより伝わってくる衣の躍動感が別物です。

そして不思議なことに私はこれら二体の天使像を見ていて、なぜか京都三十三間堂の風神と雷神を連想してしまいました。天使たちの奇跡的な衣の波打ちを見て私は大好きな風神雷神を連想してしまったのかもしれません。

『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(37)サン・ピエトロ大聖堂の『カテドラ・ペトリ』~ベルニーニ芸術の総決算!空間そのものも作品に取り込む驚異の傑作!

この記事ではサン・ピエトロ大聖堂の後陣にあるカテドラ・ペトリについてお話ししていきます。

この大聖堂においても一際重要な存在であるカテドラ・ペトリ。こちらもベルニーニが設計を担当しています。このベルニーニの傑作に込められた意味をこの記事では見ていきます。

サン・ピエトロ大聖堂はやはり特別な場所です。

何度来ても私は感動してしまいます。そしてこの素晴らしい空間を生み出したのはやはりベルニーニなのです。ベルニーニ詣でのハイライトとしてこの大聖堂はやはり欠かせません。ベルニーニの生み出した劇場的空間をぜひ多くの方にも感じて頂けたらと思います。

ドイツの大詩人ゲーテを味わう

星野慎一『ゲーテ 人と思想67』~ゲーテの生涯と思想・作品の特徴を知るのにおすすめの入門書!

ゲーテはあまりに巨大なスケールを持つ人間です。彼の作品、特に『ファウスト』はそれ単独で読むと非常に難解な作品です。ですが彼の生涯や思想を知ってから読むとその味わいが一気に増す不思議な作品です。

私も『ファウスト』に何度も挫折した人間です。ですが様々な参考書のおかげで今はその『ファウスト』が大好きになっています。

ですのでゲーテ作品を読む際にはこうした入門書や参考書を読むことを強くおすすめします。

この作品は入門書として非常におすすめな作品となっています。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(36)ベルニーニ作『スカラ・レジア』~サン・ピエトロ大聖堂横にある魔法の階段。ベルニーニのイリュージョンが躍動!

「人がどのようなことができるかを知りたかったら、その人を難局に立たせなければならない」と語り、悪条件を克服して美しい作品を作り出すことに喜びを感じていたベルニーニ。

サン・ピエトロ大聖堂に隣接するスカラ・レジアは知る人ぞ知るベルニーニの傑作建築です。

建築家泣かせの難しい難条件の下、彼は奇跡とも言えるような階段を作り上げました。

一般公開はされていませんが、私は特別にこの階段を訪れることができました。その時の体験と合わせてこの記事ではお話ししていきます。

『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(35)サンピエトロ広場の柱廊は未完成!?知れば見え方が変わるベルニーニの本来の設計案とその意図とは

サン・ピエトロ大聖堂の目の前に広がる巨大な広場。バチカンと言えばこの広場というほど有名な広場ですが、これもベルニーニの設計によるものでした。ベルニーニは彫刻だけでなく抜群の建築センスも具えています。

しかも現在のサン・ピエトロ広場は実は未完成なのです。ベルニーニ本来の建築案は財政難やその他ローマの政治事情によって中止されてしまったのです。もしこの案が実行されていたらバチカンはもっと魅力的な劇場空間となっていたことでしょう。この記事ではそんなバチカンの裏話を紹介していきます。読めばきっと驚くと思います。

ドイツの大詩人ゲーテを味わう

高橋健二編訳『ゲーテ格言集』~ドイツ大詩人の珠玉の言葉を堪能!「さすがゲーテ大先生!」と唸りたくなる一冊

なんとこの本は127刷を超える大ベストセラーとなっています。これは確実に『ファウスト』よりも多くの人に読まれているでしょう。

これだけ多くの人の手元に届いたということはやはりゲーテの言葉に魅力があるからこそでしょう。しかも長編作品と違ってこちらは格言集。読んでいくにも非常に手軽です。ひとつひとつの短い文章を自分のペースでじっくり味わうことができます。

ぜひ、偉大なる万能の詩人ゲーテの言葉に触れてみてはいかがでしょうか。その言葉は、必ずや私たちの力になってくれることでしょう。