親鸞とドストエフスキー・世界文学

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

ジャック・ル・ゴフ『中世西欧文明』~中世ヨーロッパは本当に暗黒時代だったのか。ルネサンスへ至る過程を知るのにおすすめ

この作品は単なる歴史書ではありません。歴史の流れだけでなく、その背後にある人々の生活や文化を深く掘り下げていきます。

中世ヨーロッパの人々の生活や信仰を知ることができる本書は非常に貴重です。

特に煉獄や天使の観念や、人間と森の関係性などの話は刺激的でした。「おぉ~なるほど!」と膝を打ちたくなる解説がどんどん出てきます。

古代ローマやルネサンスと比べて明らかにマイナーな中世ヨーロッパ。ですがこの狭間の時代があるからこそ後のヨーロッパができてくると考えればやはりこの時代も見逃せません。

ヨーロッパ史を大きな視点で観ていくためにもこの作品は大きな助けになること間違いなしです。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

P・グリマル『ローマ文明』~ローマ帝国の圧倒的な繁栄やその文化的背景を知るのにおすすめの参考書

この作品はこれまで当ブログで紹介してきた『ギリシア文明』や『ヘレニズム文明』と同じく、文明の起こってきた背景やその内容について詳しく解説してくれる貴重な参考書です。

この本ではローマの起源から繁栄までの流れや、帝国を支えた高度な文明がいかにして出来上がったかが解説されます。特に書名にもありますように「ローマ文明」の基本となるローマ法や建築技術、文化、芸術などはかなり詳しく語られます。

古代ローマの入門書としては正直厳しいと思いますが、もっとローマのことを知りたいという方にはぜひおすすめしたい作品です。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

F・シャムー『ヘレニズム文明』~古代ローマや仏教とも繋がるヘレニズム文明とは何かを知るのにおすすめな解説書!

なぜ私たちは『ミロのビーナス』や『サモトラケのニケ』にこんなにも心惹かれるのか。そこにはヘレニズム文明のコスモポリタン的性格があったのです。

ギリシア文明、ヘレニズム文明を学ぶと「歴史と文化」の大きな流れを知ることができます。私達が生きる現代社会の土壌を作ったのがこれらの文明です。そのことを学ぶことは現代を生きる私たちにとっても大きな意味があるのではないでしょうか。

前回紹介した『ギリシア文明』とセットで読むことを強くおすすめします。ものすごく面白いです。これは名著です。自信を持っておすすめできます。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

F・シャムー『ギリシア文明』~ローマ帝国に巨大な影響を与えたヨーロッパ文明の源泉を学ぶのにおすすめの解説書!

この作品は古代ギリシアを様々な視点から総合的に見ていけるのでローマとギリシアのつながりを知りたかった私にとって非常にありがたいものがありました。古代ローマに興味のある方にもぜひおすすめしたい作品です。

実際にこの本に何が書かれているのかということまでは盛りだくさん過ぎてこの記事では紹介しきれませんが、古代ギリシアの芸術について書かれた箇所はまさに目から鱗でした。

なぜ古代ギリシア芸術はこんなにも素晴らしいのか。世界中たくさんの文明がある中でなぜギリシアが圧倒的美を生み出すことができたのか。これは面白かったです。鳥肌ものでした。

イタリアルネサンスと知の革命

『Pen BOOKS ルネサンスとは何か』~フィレンツェやベネチアなど、ルネサンスの名画を幅広く学ぶのにおすすめの入門書

ルネサンスというとまず思い浮かぶのはフィレンツェですが、いかんせん芸術家の数が多すぎる!ルネサンスといえばビッグネームの名はすぐに浮かんでくるものの、他にもたくさんの芸術家がいます。正直、あまりに数が多すぎてどう見ていけばいいのか、誰がどんな流れで作品を作ったのか混乱してしまいます。

そんなややこしいルネサンス美術ではありますが、この『PenBOOKS ルネサンスとは何か』では歴史の流れに沿ってそれぞれの名画をわかりやすく解説してくれます。図版も非常に充実していますのでビジュアル的にも非常にイメージしやすいです。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

『Pen BOOKS 美の起源、古代ギリシャ・ローマ』~ヨーロッパ芸術の源流を概観するのにおすすめの入門書

私はここ一か月半ほどローマ帝国について学んでいます。そんな私にとって古代ギリシャ、ローマ美術について概観できるこの本は非常にありがたいものがありました。

この本はとにかく写真が満載で、ビジュアル的に非常にわかりやすい作品となっています。

古代ギリシャやローマの歴史の展開もざっくりとではありますが解説されますし、時代背景や当時の人々の生活まで学ぶことができます。

これを読めば古代ギリシャ、ローマ美術が身近に感じられます。そして実物を観たくなってきます。

入門書としてぜひおすすめしたい一冊です。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

マルクス・アウレーリウス『自省録』~古代ローマのストア派哲人皇帝による人生訓。名言の宝庫!

宇宙規模で世界を捉え、それに対置して自らが「今、ここ」で何をしているのかを問いかける圧倒的なスケール!

あまりに巨大な人間観に私は度肝を抜かれました。これが古代ローマの哲人皇帝です。

今から1900年以上も前に、これほどの偉人がいたのです。

そしてこの『自省録』を読めば気づくことになるのですが、この作品、実はものすごく原始仏教の思想に近いのです。

僧侶である私にとって古代ローマの哲人皇帝とブッダのつながりには非常に興味深いものがあります。

そんなストア哲学と仏教との繋がりを考えながら読むのはとても刺激的な体験になりました。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

エピクテトス『人生談義』~本当の自由とは。奴隷出身のストア派哲学者による驚異の人生論。清沢満之とのつながりも

エピクテトスは古代ローマのストア派哲学者で、奴隷出身という驚きの出自を持つ人物です。彼の思想は後のローマ皇帝マルクス・アウレリウスにも大きな影響を与えたことでも知られています。

『人生談義』の中で有名なのはやはり「君は私の足を縛るだろう。だが、私の意志はゼウスだって支配することはできない」という言葉でしょう。エピクテトスはこの作品で自由とは何かについて述べていきます。奴隷という最も自由のない人間だったエピクテトスが一体何を語るのか。これは非常に興味深かったです。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

セネカ『生の短さについて』~時間の浪費を戒め、今を生きよと述べるローマのストア派哲学者の人生哲学

セネカは一貫して「今を生きよ」と述べます。そして自分の外のことに時間を奪われてはならないと主張します。

時間を浪費している場合ではない。あなたはあなたの人生をどう生きるのかとセネカは問いかけてきます。

この作品を読んで感じたのはセネカはブッダなのかというくらい、仏教的な要素があるという点でした。教えそのものだけでなく、ひとりひとりの読者に問いかけてくるかのような文体も似ています。

ローマのストア派哲学と仏教との類似性というのは私としても非常に興味深いものがありました。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

中野孝次『ローマの哲人 セネカの言葉』~セネカ入門におすすめ!暴君ネロの教師にして後に自殺させられたストア派の哲学者とは

セネカはローマ帝国を代表する哲学者であの暴君ネロの教師を務めていたという驚きの経歴の持ち主です。

意外なことにあの暴君ネロも皇帝となってすぐの5年間は善政を行い、良き君主としてローマ帝国を治めていたのでした。その善政の背後にセネカの教育があったと言われています。

セネカは『論語』や仏教とも共通するような思想の持ち主で、これは僧侶である私にとっても非常に興味深いものがありました。

この作品はローマの偉大な哲学者、人生の先達とも言えるセネカの入門書としてぜひおすすめしたい作品となっています。