万能の天才ゲーテのおすすめ作品と解説本一覧~ヨーロッパに絶大な影響を与えた大詩人の魅力を紹介
万能の天才ゲーテのおすすめ作品と解説本一覧~ヨーロッパに絶大な影響を与えた大詩人の魅力を紹介
今回の記事では18、19世紀のヨーロッパに絶大な影響を与えたドイツの偉大な詩人ゲーテのおすすめ作品と解説本を紹介していきます。それぞれのリンク先ではより詳しくお話ししていますのでぜひそちらもご覧ください。
『ファウスト』
ゲーテの『ファウスト』といえば言わずと知れた世界文学の傑作です。
ですが、実際にこれを読んだ人となるとかなり少ないのではないかと思います。この現象は『ドン・キホーテ』や『レ・ミゼラブル』などの名作と似ているのではないかと思います。
有名ではあるがあまり読まれない『ファウスト』。
そしてこの作品が厄介なのは、とにかく理解するのが難しいという点です。いざ読んでみればすらすら読めてしまう『ドン・キホーテ』とは違った雰囲気があるのです。
かく言う私も『ファウスト』には何度も苦しめられました。
始めてこの作品を読んだのは大学生の時。その時は読んだはいいもののさっぱりわからず、ただ読み切っただけという状態でした。そこから大学院生時代にリベンジするも、その時も何が面白いのかさっぱりわからずじまいでした。
『ファウスト』はたしかに難しい。ですがそれはただ難解だからというより、「いかにして読むべきか」、そして「この作品が書かれた背景」が現代を生きる私たちにはわかりにくいということなのです。ですのでこれさえわかってしまえばものすごく楽しむことができます。
よくよく考えてみれば『ファウスト』が発表されたことで当時の人はそれこそこの作品に夢中になったわけです。それは当時の人が今より圧倒的に頭が良かったというより、その時代の人々の心に響く内容がこの作品に込められていたということなのです。(もちろん、文学としての完成度、その芸術的崇高さも世界最高峰なのも間違いありませんが)
これまで、『ファウスト』は私の中で苦手作品の筆頭にある存在でした。
しかし今となっては私の大好きな作品のひとつになりました。この本を「面白い!」と感じられた瞬間の喜びは生涯忘れないと思います。それほど嬉しかったのです。
何遍立ち向かってもわからなかったものがわかるようになる。面白いと思えるようになる。
この快感は読書の最高の喜びのひとつだと思います。
この記事では私がいかにして『ファウスト』を楽しく読めるようになったかをお話していきます。いわば『ファウスト』を読むコツです。ぜひおすすめしたい記事です。
ゲーテ『ファウスト』あらすじと感想~『ファウスト』の面白さを味わうためには
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エッカーマン『ゲーテとの対話』
この本の著者エッカーマンは1823年にゲーテと出会い、彼の秘書を務めた人物です。その頃のゲーテはすでに73歳。晩年の時代でした。エッカーマンはその後ゲーテが亡くなる1832年までずっと師であるゲーテに付き従い、彼との対話を記録し続けていたのでありました。その記録をまとめたものがこの『ゲーテとの対話』になります。
この作品は世界中の作家、哲学者に大きな影響を与えました。ニーチェはその筆頭としてよく挙げられますが、日本でも水木しげるがこの作品をこよなく愛していたことが知られています。水木しげるは戦地にまでこの本を持っていき、大切にしていたそうです。
私が『ゲーテとの対話』を読んでまず驚いたのは、まったく古さや難しさを感じないという点でした。師匠であるゲーテと率直に話し合っている様子がすっと浮かんできます。ものすごく読みやすいです。ゲーテの人となりが自然と見えてくるようでした。当時すでに名声の絶頂にあった偉大なるゲーテの素の声を聴くことができます。エッカーマンは稀代の聞き上手だなと読んでいてつくづく感じました。師匠と弟子の信頼関係が感じられてとても心地よく読むことができます。
また、この本では『ファウスト』についてのゲーテ自身の解説や見解も聞くことができます。私は『ファウスト』の難しさにこれまでかなり苦戦していたのですが、『対話』を読んだことでその面白さを感じることができるようになりました。これは私の中で非常に大きな発見でした。
もし『対話』を読んでいなかったらその面白さを感じることができずじまいだったかもしれません。それほど有益な言葉をこの本から聞くことができます。
この本は間違いなく名著です。ゲーテ作品を読みたいと思った方にはぜひ、彼の作品を読む前にこの『対話』を読んで頂きたいです。ゲーテの人となりが生き生きと描かれています。
私はこの作品のおかげで『ファウスト』を楽しめるようになり、ゲーテを好きになることができました。この作品はゲーテを読む人にとって必読書だと思います。
エッカーマン『ゲーテとの対話』ゲーテの人となりや思想を知るための必読書!
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『若きウェルテルの悩み』
『若きウェルテルの悩み』といえば『ファウスト』と同じく、読んだことは無くとも名前だけは知っている作品の代表例の一つかもしれません。それほど有名な作品ですよね。私もこれまで読んだことがなく、今回初めて読むことになりました。
読んでみての感想は「思いのほか読みやすかった」というのがまず最初に浮かんできました。もっとややこしくて難解なものを想像していたのですがまったくそんなことはありませんでした。
そしてウェルテルの心の葛藤、絶望の苦しみ、半ば狂気のような恋の激情がリアルに伝わって来て、読んでいるこちらにも感染してくるような迫力がありました。徐々に歯止めが利かなくなり危ない精神状態になっていくその過程もかなりリアルです。
現代においてもこの作品はまったく古さを感じない作品です。
この作品を書いたゲーテ自身が「もう二度と読んだりしないよう用心している。あれは、まったく業火そのものだ!近づくのが気味悪いね。私は、あれを産み出した病的な状態を追体験するのが恐ろしいのさ。」と述べるほど『ウェルテル』は黒魔術的な魔力を持った作品です。
『ウェルテル』は世界に衝撃を与え、この作品に影響を受けた青年が実際に自殺するという事態が続出するほどでした。それほどまでに感化力の強い小説だったのです。ゲーテが自分で「もう二度と読んだりしないよう用心している」と言うのもわかるような気がします。
リアルタイムで恋に悩んでいる人は気を付けた方がいいかもしれません。読むとこの作品の魔力に取り憑かれる危険性があります。
そんな危険もありますが、世界文学界に衝撃をもたらした『ウェルテル』は一読する価値ありのおすすめの作品です。
ゲーテ『若きウェルテルの悩み』あらすじ解説~恋の悩みから自殺する青年の物語
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『イタリア紀行』
18世紀末、19世紀の文化人に与えたゲーテの影響は凄まじいものがありました。
ゲーテの『イタリア紀行』は単なる「イタリアの旅ガイド」ではありません。日々の生活に行き詰っていたゲーテが憧れの国イタリアを訪ねたことでその精神が復活し、はるか彼方まで飛躍していったその過程を目の当たりにすることになります。旅行ガイドというよりは非常に精神的な書物になります。
そしてこれがとにかく面白い!ゲーテの意外な素顔も知ることができてとても興味深いです。
この記事ではその中でも特に印象に残っている箇所をいくつか紹介していきます。
この作品が「旅行記もの」の傑作と言えることは間違いないです。
『イタリア紀行』を読んで感じたのは、やはりゲーテは詩人であるということ。
あまりに豊かで繊細な感受性。
彼は目に見たもの、聞こえてくるもの、感じられるもの全てに開かれています。普通の人なら気づきもしないようなことに熱心に感じ入り、美しくも情感たっぷりな言葉でそれを歌い上げます。
詩人の心、感受性豊かな心というのはこういうことなのだなということを感じさせられます。
この旅行記はある意味芸術家の心構えを知ることができる書と言えるかもしれません。目の前にある世界をどのように感じていくのか、その奥底に潜む秘密にいかに分け入っていくのか、その過程を記した書物がこの『イタリア紀行』なのではないかと思います。
ゲーテの『イタリア紀行』に憧れたヨーロッパ人が、彼のように思索しようと旅に出たのも頷けます。ヨーロッパ最大の文学者、詩人であるゲーテの影響力の源泉をこの作品で感じられたように思います。非常におすすめです。最高に格好良くて、刺激的で、面白い旅行記となっています。
ゲーテ『イタリア紀行』~19世紀ヨーロッパ人に絶大な影響を与えた傑作旅行記
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小栗浩『人間ゲーテ』
「人間ゲーテ」を描きだすこの解説書は非常に興味深いものとなっています。
そしてまたありがたいのが読みやすく、わかりやすいという点。
ゲーテというと「難しい」イメージがありますがこの本は時代背景やゲーテの生涯を中心に、入門者でも理解できるように書かれています。
やはり当時の時代背景がわからないとその人物がなぜすごいのかということはわかりにくいです。
逆に言えばそこをしっかり押さえればその人物の魅力も浮き上がってくることになります。
ゲーテはなぜ世界史上最高峰の人物として称えられているのか。また、彼の代表作『ファウスト』がどれだけすごいものなのかということがこの本を読むことで見えてきます。
そして「序」でも語られているように「人間ゲーテ」の人となりが見えてくることでゲーテへの親近感が湧いてきます。ゲーテに対する好意が生まれてきます。こういう気持ちがあるからこそその人の作品を読みたい、もっと楽しみたいという気持ちも生まれてきます。この本を読むとゲーテ作品を読みたくなりうずうずしてきます。それほどこの本はゲーテの魅力を絶妙に伝えてくれます。
実は私はこれまでゲーテが苦手でした。かつて何度も何度も『ファウスト』を読んだのですがどうしてもその面白さがわからなかったのです。
しかし、この本を読んだことでそんな『ファウスト』に対する見方も変わり、実際にこの後読んでみると、なんと!「面白い!」と感じることができるようになったのです!これは本当に嬉しかったです。
ゲーテ参考書として非常におすすめな1冊です。私はこの本にとても助けられました。ぜひおすすめしたいです。
小栗浩『人間ゲーテ』ゲーテ入門に最適!ゲーテとはいかなる存在か、その魅力を解説する1冊!
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A.ビルショフスキ『ゲーテ その生涯と作品』
この本は文字通りスケールが違います・・・!
まずこのサイズ感!文庫本と比べたら一目瞭然です!
そしてこの分厚さ!なんと、圧巻の1200ページ超えです!「辞書か!」ってくらい重いです。鈍器本と言われる部類ですね。
ですがこの本は見た目だけにあらず。その内容も驚くほど濃厚です。この伝記はものすごいです。私はこの本に度肝を抜かれっぱなしでした。これほどの本はそうそう出会えるものではありません。
この伝記ではゲーテの少年時代から晩年までのあまりにスケールの大きい生涯を知ることができます。
そして著者の語り口が絶妙で、ものすごくドラマチックな小説を読んでいるかのような気分になります。いや、もはや並の小説をはるかに超えるレベルの面白さと言ってもいいでしょう。著者の溢れるゲーテ愛がこの伝記を単なる事実の羅列ではなく、生き生きとしたゲーテ像を可能にしています。
この本を読んで驚くのはやはりゲーテの巨人ぶりです。ゲーテは子供の頃から並の人間ではありませんでした。学生時代のエピソードも読んでいて驚くものばかりです。スケールの違う天才というのはこういう人間のことを言うのかととにかく圧倒されます。
そしてゲーテと言えば有名な『イタリア旅行』のくだりです。
彼にとってこの旅がいかに大きなものであったかをこの伝記ではドラマチックに見ていくことができます。とにかく面白い!
また、この伝記は彼の作品の解説も詳しくなされるのも嬉しいところです。その作品がどのような背景で書かれたのか、何を意図して書かれたのか、そしてそれはどのように世の中に受け入れられていったのかということも知ることができます。
この本はとにかく圧倒的でした。読むのにものすごく時間がかかりはしたものの、満足感は半端ないです。
こんな盛りだくさんな本はなかなかありません。
これを読めば確実にゲーテを好きになり、その影響を受けることになります。日々生活しててもゲーテ的な思考がふと頭をよぎるようになってしまいます。私は特に影響されやすい人間なのでこの症状はかなり長く続きそうです。
A.ビルショフスキ『ゲーテ その生涯と作品』~おすすめ伝記!ゲーテの圧倒的巨大さを知れる奇跡の一冊!
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牧野宣彦『ゲーテ『イタリア紀行』を旅する』
この『ゲーテ『イタリア紀行』を旅する』は『イタリア紀行』をもっと楽しむためにとてもおすすめな作品となっています。
この本の特徴は何と言ってもその豊富な写真にあります。ゲーテが見た景色を私たちも写真で追体験することができます。
また、この本の最初ではゲーテの生涯や人となり、そしてイタリア旅行出発の背景もわかりやすく解説してくれます。
ですので肩肘張らずにゲーテの『イタリア紀行』を楽しめる最良のガイドブックとなっています。
私は先にゲーテの『イタリア紀行』を読んでからこの本を読んだのですが、「おぉ!あそこで書かれていたのはこういう景色なのか!」という形でこの本を楽しむことができました。きっと逆のパターンでもお互いの本を楽しむことができるでしょう。
この本はゲーテゆかりの地を著者の牧野氏と共に歩いていく感覚で読み進めることができます。これは楽しい1冊です。
牧野宣彦『ゲーテ『イタリア紀行』を旅する』~ゲーテのイタリア旅行を写真で辿るおすすめガイドブック
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ゲーテ「イタリア紀行」を旅する (集英社新書ヴィジュアル版)
『ゲーテ街道を行く』
この本はドイツのゲーテゆかりの地を多数の写真と共に解説するおすすめガイドブックです。
この本ではまずゲーテが生まれたフランクフルトの街が紹介され、そこからヴェッツラー、フルダ、アイゼナハ、エアフルト、アルンシュタット、イルメナウ、ヴァイマール、イエーナ、ライプツィヒを見ていきます。
そしてゲーテの街といえばやはりヴァイマールです。
ゲーテが晩年までそこで生活し、彼の活躍によりドイツ文化の中心となった栄誉ある街です。この本ではそんなゲーテゆかりの地を写真と共にじっくりと見ていくことができます。解説もわかりやすくガイドブックとして最適です。
この本を読んでいるととにかく現地に行ってみたくなります。ゲーテが見ていた景色を自分も体感したいという気持ちでいっぱいになります。
そして上の引用にもありましたように、ゲーテ街道はゲーテだけでなく多くの文化人ゆかりの地でもあります。
当ブログでも以前取り上げましたが、私はメンデルスゾーンが大好きです。
彼の伝記の中には何度もゲーテが登場し、メンデルスゾーンの生涯においてゲーテが大きな役割を果たしていことがわかりました。
彼らが対面したヴァイマールはもちろんのこと、大好きなゲーテ、メンデルスゾーンに共にゆかりのあるライプツィヒにもぜひ行ってみたいなと思いました。
この本は現地の様子を知ることができるおすすめのガイドブックです。旅の計画を練るのに非常に役に立つと思います。
ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
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メンデルスゾーンとゲーテの交流と友情~『イタリア紀行』に強い影響を受けたメンデルスゾーン
ドイツの作曲家メンデルスゾーン(1809-1847)は幼い頃より神童ぶりを発揮していました。
そして家柄もよく、その文化水準の高さによってメンデルスゾーン家のサロンには錚々たる顔ぶれがそこに集まっていました。ベルリン大学を創立した言語学者フンボルトや哲学者のヘーゲル、ガンス、グリム童話で有名なグリム兄弟、作家のホフマンなど当時の最高レベルの知識人が集う中でメンデルスゾーンは育っています。これを知った時は思わず驚きで声を上げてしまいました。
すべて繋がっているんだと。
後に歴史を残す偉人たちは必ずどこかで繋がり合っている。でも、さすがにこれは繋がり過ぎだろうと!しかも後にはゲーテとも固い友情で結ばれるというのです。これにはさすがに呆然としてしまいました。
こうしたメンデルスゾーンの生涯を私は彼の伝記を通して知ることになりました。
この記事ではそんなメンデルスゾーンとゲーテのつながりをご紹介していきます。
ゲーテとメンデルスゾーン。
二人の天才の親交は年齢を超えた深いものがあったと私は感じています。
くしくも両者とも文学や音楽の幅を超えた万能の天才です。
二人にしかわからない何かがあったと想像するのはロマンがありますよね。
私はゲーテもメンデルスゾーンも大好きです。
その結びつきを感じることは、私にとってとても幸せな時間でした。
この記事を通してゲーテとメンデルスゾーンの魅力が少しでも伝わってくれたなら嬉しく思います。
メンデルスゾーンについては以下の解説動画がとてもわかりやすくておすすめです。彼のことを知ってからこの記事を読むとより楽しめますのでぜひご覧ください。
メンデルスゾーンとゲーテの交流と友情~『イタリア紀行』に強い影響を受けたメンデルスゾーン
ゲーテ『色彩論』
最近当ブログではオランダの画家フェルメール(1632-1675)についてお話ししてきました。
フェルメールは光の画家として有名でその奥行き感、光の描写は観る者を魅了してやみません。私も魅了されたひとりです。
そして上の記事でもお話ししましたが、フェルメールはカメラ・オブスクラという光学機器を用いて光の仕組みや「人間のものの見え方」について研究していました。それが彼の絵に反映されています。
光の探究者フェルメール。彼は当時急速に発達しつつあった科学技術を用いて世界の仕組みを思索し続けていたのでした。
そしてフェルメールといえばこの2作品も有名ですよね。
この学者のモデルとなったと言われているのが世界で初めて顕微鏡で微生物を発見したレーウェンフックという人物です。
なんと、驚くべきことにフェルメールとこのレーウェンフックは同じ年に同じ街で生まれているのです!
1632年にオランダ・デルフトで生まれた2人。
そして2人は生涯のほとんどをこの街で暮らし、それぞれ偉業を成し遂げています。
レーウェンフックは顕微鏡、フェルメールはカメラ・オブスクラで、この2人は「レンズ」を通して肉眼では見えぬ世界を探究しました。
こうした「光や色彩の研究者」である彼らのことを学んでいるうちに、ふと私の頭の中をよぎったものがありました。
それがこの記事で紹介するゲーテの『色彩論』だったのです。
科学者のごとく光や色彩を研究していたフェルメールと、万能の詩人ゲーテ、いや科学者ゲーテとの繋がりは私にとって非常に興味深いものがありました。
科学的探究が作品に反映されているというのはフェルメールもゲーテも同じです。特に両者とも「光と色彩」に大きな関心を持っていたというのは非常に興味深い共通点だなと感じました。
思わぬところで大好きなゲーテとフェルメールがつながり、私としては嬉しい発見となりました。
ゲーテ『色彩論』~万能の詩人ゲーテは光の研究者でもあった!光の画家フェルメールとのつながりを考える
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高橋健二編訳『ゲーテ格言集』
なんとこの本は125刷を超える大ベストセラーとなっています。これは確実に『ファウスト』よりも多くの人に読まれているでしょう。
これだけ多くの人の手元に届いたということはやはりゲーテの言葉に魅力があるからこそでしょう。しかも長編作品と違ってこちらは格言集。読んでいくにも非常に手軽です。ひとつひとつの短い文章を自分のペースでじっくり味わうことができます。
この作品は編訳者の高橋健二氏が膨大なゲーテの言葉の中から「これは」という珠玉の言葉を厳選した一冊になります。
その最初の言葉は、
太陽が照れば塵も輝く。(「格言と反省」から)
新潮社、高橋健二編訳『ゲーテ格言集』2016年122刷改版P7
という、いきなりぐっと来る含蓄ある言葉となります。
他にも、
人間のあやまちこそ人間をほんとうに愛すべきものする。(「格言と反省」から)
新潮社、高橋健二編訳『ゲーテ格言集』2016年122刷改版P7
鉄の忍耐、石の辛抱。(一七八〇年の五月末の日記から)
新潮社、高橋健二編訳『ゲーテ格言集』2016年122刷改版P7
と、最初の一ページ目から素晴らしい言葉の連続です。
この本を読めば人それぞれお気に入りの言葉にきっと出会うことができます。それほど多彩で、奥深い言葉がこの本には溢れています。
ぜひ、偉大なる万能の詩人ゲーテの言葉に触れてみてはいかがでしょうか。その言葉は、必ずや私たちの力になってくれることでしょう。
高橋健二編訳『ゲーテ格言集』~ドイツ大詩人の珠玉の言葉を堪能!「さすがゲーテ大先生!」と唸りたくなる一冊
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星野慎一『ゲーテ 人と思想67』
清水書院の「人と思想」シリーズは優れた入門書が出ており、以前当ブログでも尾﨑和郎著『ゾラ 人と思想73』を紹介しました。
このシリーズのありがたいところは何と言っても入門書としてわかりやすく作家の生涯や作品を解説してくれる点です。
そして新書サイズのコンパクトな分量でぎゅぎゅっと要点がまとめられていますので気軽に手に取れるのも嬉しいです。
今回紹介しているゲーテはそれこそ詳しく書こうとすればいくらでも書けてしまう波乱万丈の人生です。だからこそ上の伝記はとてつもない分量になっています。それを新書サイズでぎゅっとまとめているのはものすごいことだと思います。
また本書『ゲーテ 人と思想67』の後半では「日本におけるゲーテ」というテーマが取り上げられます。ゲーテが日本においてどのように受容されたのかという流れや、東京のゲーテ記念館についての記述はとても興味深かったです。いつか東京ゲーテ記念館に行ってみたいなという気持ちが湧いてきました。
ゲーテはあまりに巨大なスケールを持つ人間です。彼の作品、特に『ファウスト』はそれ単独で読むと非常に難解な作品です。ですが彼の生涯や思想を知ってから読むとその味わいが一気に増す不思議な作品です。
私も『ファウスト』に何度も挫折した人間です。ですが様々な参考書のおかげで今はその『ファウスト』が大好きになっています。
ですのでゲーテ作品を読む際にはこうした入門書や参考書を読むことを強くおすすめします。
この作品は入門書として非常におすすめな作品となっています。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
星野慎一『ゲーテ 人と思想67』~ゲーテの生涯と思想・作品の特徴を知るのにおすすめの入門書!
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おわりに
私は2年半ほど前から「親鸞とドストエフスキー」をテーマにヨーロッパの歴史や文学に関する本をこれまで読んできました。
最初はただがむしゃらに本を読むので精一杯だったのですが、去年頃からゲーテと本格的に知り合うことで、その世界が少し変わって見えるようになってきました。
というのも、18世紀後半以後のどのジャンルの本を読んでも、何かしらゲーテの影響が見て取れるのです。
それは当ブログで見てきた文学者だけでなく、それこそマルクスやヨーロッパの絵画、音楽、ソ連史においてさえその影響が見えてきます。直接的にゲーテが言及されなくても、ゲーテ的な精神を経てそれぞれの思想があるというのが明らかに感じられるのです。
ヨーロッパの歴史や文化を見ていく上でゲーテの存在がいかに大きいかというのを最近特に痛感しています。
上でも少しお話ししましたが、私はかつてゲーテが大の苦手でした。
ですが、時を経て様々な作家の作品や当時の時代背景などを学び、解説書を読んでから改めてゲーテと向き合うことで、その印象ががらっと変わりました。
その最たるものが『ファウスト』でした。『ファウスト』を面白い!と感じることができた嬉しさは忘れられません。
やはり時代背景や作家の生涯・思想を学んだ上で読むのは大事なことだなとゲーテの場合には特に思えました。
丸腰で突撃するにはあまりに巨大すぎる存在です。
ヨーロッパにこれだけの影響を与える人物というのはやはりスケールが違います。
そうした規格外のスケールを体感できるゲーテという存在は私にとっても大きなものになりました。
以上、「万能の天才ゲーテのおすすめ作品と解説本一覧~ヨーロッパに絶大な影響を与えた大詩人の魅力を紹介」でした。
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