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『シリーズ大乗仏教 第四巻 智慧/世界/ことば 大乗仏典Ⅰ』概要と感想~般若経・華厳経・法華経の成立と展開を学ぶのにおすすめ

シリーズ大乗仏教第四巻
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『シリーズ大乗仏教 第四巻 智慧/世界/ことば 大乗仏典Ⅰ』概要と感想~般若経・華厳経・法華経の成立と展開を学ぶのにおすすめ

今回ご紹介するのは2013年に春秋社より発行された『シリーズ大乗仏教 第四巻 智慧/世界/ことば 大乗仏典Ⅰ』です。

早速この本について見ていきましょう。

本巻は、大乗仏典の起源に新機軸を打ち出し、あわせて、代表的な大乗仏典である般若経・華厳経・法華経をとりあげ、その成立と、アジアにおける展開を具体的に解明する。

Amazon商品紹介ページより

これまでの三巻では大乗仏教の全体像について言及されましたが、今作『シリーズ大乗仏教 第四巻 智慧/世界/ことば 大乗仏典Ⅰ』ではいよいよ大乗経典そのものについて語られていくことになります。

特に上の本紹介にありますように、今作では大乗仏教の主要経典たる般若経、華厳経、法華経について詳しく見ていきます。

本書の「はしがき」ではこのことについて次のように述べられています。

周知のように大乗経典は、種類、分量ともに厖大である。そうしたなか、大乗仏教の特質を理解するために考察が不可欠だと思われる経典を選り抜き、それらについて最新の研究成果を踏まえながら内容を紹介するのが、本シリーズの第四巻と第五巻である。そのうちこの第四巻においては、般若経、華厳経、法華経を取りあげる。

広い意味での初期大乗経典に属するこれらの経典は、いずれも成立の地インドのみならず、伝播先の中央アジア、東アジアを始めとする仏教圏にきわめて大きな影響を与えた。法華経は、あらゆる大乗経典のなかで現在までに最多数のサンスクリット語写本が発見されている事実が示すように、北伝ルートで伝播した先々の地域において絶大な人気を博した。般若経は、べンガル、スリランカ、ギルギットと、南アジアの広域にわたって写本や碑文の所在が確認され、華厳経も、中央アジアからジャワのボロブドゥールに至るまでその影響の直接的痕跡を残し、いずれも北伝仏教の地域を超えて、汎アジア的に流布していた経典である。(中略)

智慧、世界、ことば—。般若経、華厳経、法華経が、アジア全体において、歴史を導く仏教の智慧としてはたらき、仏教の世界をつくりあげてきたこと、それは本巻におさめられた各論攷が、説得力をもって、僂々示すところである。起源におけるインドで、伝播先のアジア地域で、人びとをあらたな方向に導く智慧と、そこに現出される世界。それらはいずれも、ここにあげた経典におさめられた「ことば」によって生み出されてきた。智慧と、世界と、ことばとが一体となった存在、それが本巻に示される大乗経典にほかならない。

春秋社『シリーズ大乗仏教 第四巻 智慧/世界/ことば 大乗仏典Ⅰ』Pⅰ-ⅴ

この本はそれぞれの経典の成立とその展開が詳しく語られます。

正直、仏教の入門書としてのレベルをはるかに超えています。仏教の入門書を求めている方にはおすすめできません。

ですがこれらの経典についてもっと深く知りたいという方には非常にありがたい参考書と言えます。

般若経、華厳経、法華経は日本仏教の根幹とも言える経典です。それらがどう生まれ、どう展開していったのか、それらを最新の研究に基づいて学べるのが本書『シリーズ大乗仏教 第四巻 智慧/世界/ことば 大乗仏典Ⅰ』になります。

かなり専門的な内容ですが最新の仏教学の成果を学べる貴重な一冊です。より深く仏教について学びたい方におすすめしたい一冊です。

以上、「『シリーズ大乗仏教 第四巻 智慧/世界/ことば 大乗仏典Ⅰ』~般若経・華厳経・法華経の成立と展開を学ぶのにおすすめ」でした。

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シリーズ大乗仏教第四巻

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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