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V・セベスチェン『東欧革命1989 ソ連帝国の崩壊』あらすじと感想~共産圏崩壊の歴史を学ぶのにおすすめの名著!

目次

ヴィクター・セベスチェン『東欧革命1989 ソ連帝国の崩壊』概要と感想~共産圏崩壊の歴史を学ぶのにおすすめ!

今回ご紹介するのは2009年に白水社より発行されたヴィクター・セベスチェン著、三浦元博、山崎博康訳『東欧革命1989 ソ連帝国の崩壊』です。

早速この本について見ていきましょう。

<「冷戦終結」20年後の真実!>
 「東欧革命」とは、ソ連の衛星諸国であった東ドイツ、ポーランド、ハンガリー、チェコスロバキア、ルーマニア、ブルガリアにおいて、1989年に共産党政権が連続的に崩壊した出来事を指す。ポーランドのワレサによる「連帯」の活躍、そして11月9日の「ベルリンの壁崩壊」は、「革命」を象徴するまさに世紀の大転換だった。それ以降、チェコの「ビロード革命」、ルーマニアの独裁者チャウシェスクの処刑と続き、革命は頂点を迎える。

 今年はあれから20年、本書は、現地取材のジャーナリストが、さまざまな新資料や新証言を基に、「革命」を再構成した、迫真のドキュメントだ。磐石に見えたソ連帝国が崩壊したのはなぜなのか? 「鉄のカーテン」に穿たれた小さな穴が、徐々に広がっていき、一気に崩落していったことが、様々な出来事を通してうかがえる。その背景として、米ソの冷戦とその雪解け、ソ連のアフガニスタン侵攻の後遺症など、複合的要因も解明される。

 数多くのエピソードを紹介しながら、中心人物に光を当てて、臨場感あふれる、リーダブルな「群像劇」に仕立てられている。

Amazon商品紹介ページより

この作品の著者ヴィクター・セベスチェンは当ブログでも何度も紹介してきた作家です。

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彼の作品はとにかく読みやすく、面白いながらも深い洞察へと私たちを導いてくれる名著揃いです。そんなセベスチェンによるソ連崩壊の過程を追ったドキュメント作品がこの『東欧革命1989 ソ連帝国の崩壊』です。

彼の『レーニン 権力と愛』という作品においては下のリンクにもありますように「『レーニン 権力と愛』を読む」というテーマで15回以上にわたって本の内容をじっくりと読んでいきました。

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それほどこの作品は面白く、私にとって興味深い内容が満載だったのですが、今回の『東欧革命1989 ソ連帝国の崩壊』もそれに劣らぬ面白さでした。

今回も「『東欧革命1989 ソ連帝国の崩壊』を読む」という形でじっくり記事を更新していきたいところだったのですがあまりに分量が多くなり、しかも内容が多岐にわたるということで今回は断念せざるをえません。ただ、それをしたいと思うほどこの作品が魅力的であることはぜひお伝えしたいです。

この本で語られる内容は驚くほどグローバルです。下の目次を写真を見て頂ければそれは一目瞭然だと思います。

ソ連そのものだけでなく、アメリカ、ポーランド、チェコ、ベルリン、ハンガリー、ルーマニア、アフガニスタンなどなど、多くの国と地域がこの本で語られます。

そしてそれが時系列に沿って臨場感あふれるセベスチェン節で語られていきます。これはスリリングで刺激的な読書になりました。「えっ!?」と驚く事実がどんどん出てきます。さらに、「そことそこがそうつながるのか!」という驚きにも何度も直面することでしょう。

私がこの中で一番驚いたのはポーランドにおけるヨハネ・パウロ二世の存在です。

ビル・クリントンアメリカ合衆国大統領と(1993年Wikipediaより

ローマカトリック教皇が冷戦においてどのような役割を果たしていたのか、そしてこのヨハネ・パウロ二世という人物がどれだけスケールの大きな人物だったかということを知りました。私はその箇所を読んで鳥肌が立ちっぱなしでした。こんなに偉大な人がこの時代にいたのかとまさしく雷に打たれたような衝撃を受けました。そうした歴史を知れただけでもこの本と出会えた意味はとてつもなく大きなもののように感じています。

また、最近アメリカ軍のアフガニスタン撤退による混乱が伝えられていますが、ソ連もかつてアフガニスタンに侵攻し駐留していました。しかし結局それはうまくいかず撤退へとつながり、ソ連崩壊の大きな要因となったこともこの本では知ることができます。(ソ連のアフガニスタン侵攻についてはR・ブレースウェート著『アフガン侵攻1979-89 ソ連の軍事介入と撤退』でさらに詳しく学べますのでおすすめです)

この本は、世界規模の大きな視点で冷戦末期の社会を見ていきます。そして時系列に沿ってその崩壊の過程を分析し、それぞれの国の相互関係も浮かび上がらせる名著です。これは素晴らしい作品です。何度も何度も読み返したくなる逸品です。

この記事では冷戦末期のそれぞれの国の状況はお伝えできませんでしたが、この本はぜひぜひおすすめしたい1冊となっています。冷戦とは何だったのか。ソ連圏末期には何が起こっていたのか。そしてそうしたことと地続きで繋がっているのが私たちの世界だということを学ぶことができます。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

以上、「ヴィクター・セベスチェン『東欧革命1989 ソ連帝国の崩壊』共産圏崩壊の歴史を学ぶのにおすすめ!」でした。

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東欧革命1989: ソ連帝国の崩壊

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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