資本主義の中心、そして実は宗教的な国アメリカ!世界一周記アメリカ編一覧
資本主義の中心、そして実は宗教的な国アメリカ!僧侶上田隆弘の世界一周記アメリカ編一覧 20日間かけて周遊したスペインともいよいよお別れ。 次に向かうはアメリカ、ニューヨーク。 「宗教の聖地を巡る旅なのになぜアメリカ?宗教…
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『ペスト』はカミュだけじゃない―プーシキンもペストの傑作を書いていた 以前私のブログで紹介したプーシキンの小悲劇『ペスト流行時の酒もり』。 上の記事を書いていた時はあまり意識していなかったのですが、それまであまり読まれて…
ドストエフスキーやトルストイを読まれた方なら特にプーシキンはおすすめです。彼らがいかにプーシキンの影響を受けているかがわかり、読んでいてとても興味深い体験になると思います。
ぜひこのページをきっかけにプーシキン作品に触れて頂けましたら幸いでございます。
『大尉の娘』はその無骨なタイトルの影響もあるかもしれませんが、なかなか一般の人が「おっ、これ読んでみようかな」となるような本ではありません。
ですがこの状況は非常にもったいないように思います。
彼の作品たちがマイナーな古典として眠り続けるのはとてつもない損失のように思えます。
プーシキンは本当に面白い作品をたくさん出しています。現代小説と比べても全く遜色ありません。古典だからと敬遠するのはもったいないです。驚くほど読みやすく、そして内容の濃さも超一流です。
プーシキン作品の特徴はその「叙述の自然さ、明晰・簡明・機智」にあります。
もう少しざっくりと言うならば「余計な言葉を極力減らし、よりシンプルに!」ということになります。
プーシキンはむやみやたらに長い文章を嫌いました。そして当時ヨーロッパで流行していたとにかく大げさな表現を避けようとしたのです。
そのことについてちょうどわかりやすい例として挙げられるのが『スペードの女王』という作品になります。この記事では『スペードの女王』を題材にプーシキンの特徴と魅力の秘密に迫っていきます
ドストエフスキーがこの作品に大変な感銘を受け、絶賛したということで読み始めた『スペードの女王』でしたが、これは面白い作品です。
ストーリー展開もスピーディーで文庫本で50ページ少々というコンパクトな分量の中に特濃な世界観が描かれています。
シンプルに面白い!王道中の王道の面白さがこの作品にはあります。
ページ数も少ないので手に取りやすいのも嬉しいポイントであります。ちょっとした読書にももってこいの作品です。
個人的にはプーシキン作品の中で最もおすすめな作品です。
『青銅の騎士』が後のロシア人作家に与えた影響は並々ならぬものがあります。
こうした文学的な影響力もさることながら、ひとつの読み物としてもとても面白い作品です。さすがプーシキンの傑作と呼ばれるだけあります。
プーシキンらしく簡潔かつ研ぎ澄まされた表現でどんどん物語が動いていきます。現実と幻想が絶妙に入り混じったプーシキンの世界観がいかんなく発揮されています。これは面白いでした。
かつて私は『カラマーゾフの兄弟』の「スネギリョフがもらった金を踏みつける有名なシーン」を初めて読んだ時、「なんでドストエフスキーはこんなことを思いつけるのだろう!なんて化け物なんだ!」と学生ながらに感動したものでした。
ですがそのシーンに似たシーンがまさに、この作品にあったのです。若い頃から暗記するまでに読みふけっていたプーシキンからこういう風にドストエフスキーはインスピレーションを受けていたのです。これは衝撃でした。
ひとつ前の記事で紹介しました『石の客』でもそうでしたが、この作品でもプーシキンは従来の作品とは異なる視点でこの物語を書き換えます。
ページ数にして20ページにも満たないコンパクトな作品ながらこの作品に込められた主題はあまりに根源的です。プーシキンはたった20ページ弱の物語でそれを見事なまでに凝縮し、芸術にまで高めました。
短いながらも強烈なインパクトを残す作品でした。苦悩や絶望、死に対して私はどんな向き合い方をするのかということを考えさせられた作品でした。
凄まじい名作です
プーシキンは既成のドン・ファン像をそのまま採用することはしませんでした。
彼の描くドン・ファンはたしかにプレイボーイではあるのですが、スペインやイタリア、フランスのように女をもてあそんでは捨てるというような軽薄な男ではありません。
ドストエフスキーがプーシキンを高く評価するのも、こうした彼の独特な世界の見方とそれをロシア人の心に響くものにまで磨き上げた点にあるのでした。
プーシキンは読めば読むほどその革新性や後代に与えた影響力の大きさを感じさせられます。
この作品もとても面白い作品でした。非常におすすめです。