SF

ディズニーランドという聖地夢の国ディズニーランド研究

能登路雅子『ディズニーランドという聖地』~信仰・巡礼の聖地としてのディズニーという刺激的な視点が魅力のおすすめ本!

本作は「聖地」「信仰」「文化」という側面からディズニーを見ていく点にその特色があります。僧侶である私にとってこれは非常に興味深いテーマであります。

はっきり申しましょう。「この本はものすごく面白いです・・・!」

新書でこれだけのことがまとめられているというのはかなり奇跡です。これほどの本にはなかなかお目にかかれません。ディズニーファンだけではなく、文化や宗教に関心のある方にもぜひおすすめしたいです。

箱男三島由紀夫と日本文学

阿部公房『箱男』あらすじと感想~箱をかぶればめくるめく世界?MGSの小島秀夫監督にも大きな影響!

今作『箱男』は何とも形容しがたい刺激的な作品です。

まず、そもそもタイトルが謎です。『箱男』って何だ?

私は阿部公房の『箱男』という作品について、これまで名前だけは知ってはいたのでありますが今回いよいよ実際に読んでみることになりました。

私はてっきりチェーホフの『箱にはいった男』のイメージで、何か観念的な物語かと思っていたのですが読んでみてびっくり、物理的に本当に箱をかぶった男の話だったとは!

ぜひぜひおすすめしたい作品です。三島由紀夫を学ぶ流れで読んでみた作品でしたが、その作風の違いなども感じられてとても楽しい読書になりました。

美しい星三島由紀夫と日本文学

三島由紀夫『美しい星』あらすじと感想~あの三島がSF小説を書いていた!カラマーゾフの兄弟とのつながりも!

あの三島由紀夫が本格SF小説を書いていた!

しかもこの作品はものすごく読みやすいです。作者名が伏せられていたら三島由紀夫だとわからないくらいの読みやすさです。さらに、ものすごく没入感が強く、気づけば小説の世界にすっかり入り込んでしまいます。大杉家の面々が宇宙人であること、そしてそれとは別の宇宙人の存在も物語途中から現れるのですが、どこからどこまでがリアルかSFかわからなくなるほど絶妙な匙加減です。私達は知らぬ間に計算に計算を重ねた三島文学の術中にどっぷりはまることになります。これは面白い。シンプルに面白い!

いやあ、見事な作品でした。

ラジオの戦争責任スリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

坂本慎一『ラジオの戦争責任』~メディアが煽るナショナリズム。戦争のメカニズムを学ぶためにも非常におすすめ!

かつて日本でもラジオにおいて仏教学者や演説、説法の達人が仏教を語り多くの人に強い影響を与えていたというのは驚きでした。

また、松下幸之助についての驚きの事実や、政治家松岡洋右の圧倒的な演説力、玉音放送を手掛け戦争を終結させた影の立役者下村宏の偉業など次から次へと驚異の事実をこの本では目にしていくことになります。

とにかく読んでみて下さい。それも一刻も早く!これほどの本に出会えるのはそうそうありません。世界が非常に不安定になっている今こそ読むべき名著中の名著です。

スリランカから世界を眺めてスリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

A・C・クラーク『スリランカから世界を眺めて』~『2001年宇宙の旅』で有名なSF作家のスリランカ愛を知れるエッセイ集

アーサー・C・クラークはスタンリー・キューブリックと共にあの『2001年宇宙の旅』を手掛けたSF界の巨匠です。

そのアーサー・C・クラークがなっとスリランカを愛し、スリランカへの想いを述べたエッセイを書いていた!

それを知った私は迷うことなくこの一冊を手に取ったのでありました。

ボスニア紛争とルワンダ虐殺の悲劇に学ぶ~冷戦後の国際紛争

ルワンダの虐殺を学ぶのにおすすめの参考書7作品~目を背けたくなる地獄がそこにあった…

ルワンダの虐殺はあまりに衝撃的です。トラウマになってもおかしくないほどの読書になるかもしれません。それほどの地獄です。人間はここまで残酷になれるのかと恐れおののくしかありません。

私はボスニア紛争をきっかけにルワンダの虐殺をこうして学ぶことになりましたが、これらの本を読んでいてボスニア、ルワンダ、ソマリアのそれぞれが特異で異常なのではなく、人間の本質としてそういうことが起こり得る、誰しもがやってしまいかねないものを持っているのだということを改めて思い知らされることになりました。

目を背けたくなるような歴史ではありますが、ここを通らなければ、歴史はまた形を変えて繰り返してしまうことでしょう。そうならないためにも私たちは悲惨な人間の歴史を学ばなければならないのではないでしょうか。

ディストピア・SF小説から考える現代社会

おすすめSF・ディストピア小説16作品一覧~SF・ディストピアから考える現代社会

SF小説はその面白さは言うまでもありませんが、現在を生きる私たちに大きな問いを投げかけます。

楽しんで読むもよし。

今の世界をじっくり考えながら読むもよし。

色んな楽しみ方ができるのがSF小説のいいところだと思います。

この記事ではそんな私のおすすめ小説15作品をご紹介します。

ディストピア・SF小説から考える現代社会

星新一『ボッコちゃん』あらすじと感想~日本SFの第一人者によるおすすめショート・ショート集!

私が星新一作品を知ったのはSF好きな友人がおすすめしてくれたのがきっかけでした。

そして読み始めてみるとその作品のインパクトに驚くことになりました。

「おぉ!これが星新一か!」

そう思わずにはいられない、独自な世界観でした。これはすごい! こんな短いページ数であっと驚く展開を具現化する力に私はすっかり魅了されてしまいました!

ディストピア・SF小説から考える現代社会

伊藤計劃『ハーモニー』あらすじと感想~「命と健康が何より大事」な高度医療社会のディストピア

伊藤計劃さんは34歳という若さで亡くなってしまいました。

伊藤計劃さんはがんの闘病をしながらデビュー作の『虐殺器官』を書き上げ、この作品も末期がんに近い状況で書き上げられました。

いのちとは何か。病とは、死とは。

それをこの作品で突き詰めていきます。

伊藤計劃さん自身の境遇を思うとこの作品の持つ重みがさらに感じられます

ディストピア・SF小説から考える現代社会

伊藤計劃『虐殺器官』あらすじと感想~ぜひおすすめしたい私の最も好きなSF小説!

この作品はここ数年で私が最も愛した作品と言ってもいい小説です。

タイトルが『虐殺器官』という、およそ僧侶のブログではまず馴染まないであろうフレーズということもあり、ここまでなかなかこの作品を紹介する機会がないまま来てしまいましたが、独ソ戦、冷戦、ディストピア小説と来た今の流れならいけるであろうと、いよいよ勇んでの紹介になります。