(58)東大安田講堂を訪ねて~あの東大安田講堂事件は何だったのか。当時の学生紛争について思う
私はインド・スリランカを旅しながら学生紛争についての本を読み漁っていました。特に佐々淳行著『東大落城安田講堂攻防七十二時間』ではこの安田講堂事件の裏側が生々しく描かれていました。
その安田講堂にこれから向かうのです。私にとって何度も来たはずの東京大学が全く違って見えた1日でした。
私はインド・スリランカを旅しながら学生紛争についての本を読み漁っていました。特に佐々淳行著『東大落城安田講堂攻防七十二時間』ではこの安田講堂事件の裏側が生々しく描かれていました。
その安田講堂にこれから向かうのです。私にとって何度も来たはずの東京大学が全く違って見えた1日でした。
三島由紀夫と太宰治はまさに両極端。そんな極端な2人に対しまさに中道的な程良い作風なのが芥川龍之介です。
「中道的で程良い」と言ってもそれはあくまで三島や太宰と比べての話。その切れ味は抜群です。
読書入門としても最高レベルにおすすめしたい作品ぞろいです。もちろん玄人の方でもその奥深さに驚くと思います。
誰もがその名を知る文豪太宰治。特に『走れメロス』は教科書でも定番の名作ですよね。
今回の記事ではそんな太宰治のおすすめ作品を紹介します。読書に挑戦したいけど何を読めばよいのかわからないという方にも自信を持っておすすめできる作品をここで紹介していきます。
前回の記事で紹介した『仏教の思想2 存在の分析〈アビダルマ〉』では上座部仏教(正確には説一切有部)の仏教哲学の頂点であるアビダルマについて解説されましたが、本作『仏教の思想4 認識と超越〈唯識〉』は大乗仏教思想の最高峰とされる唯識思想についてのおすすめの参考書です。
本書ではまず唯識とはそもそも何なのか、どのような流れから生まれてきたのかということを歴史的な側面から見ていきます。いきなり難解な思想の話から始まっても私たち読者からすると厳しすぎます。というわけで本書は入門書ということで、まずは唯識の難解な哲学よりもその成立過程を見ていき、その大まかな全体像を掴んでいくことから始まります。これは読んでいて非常に助かりました。
三島が仏教を学ぶ際、実際に何を読んだのかということまではわかりませんが、数々の入門書を読んで唯識へとたどり着き、大谷大学の山口益博士から教えを受けたということが今回参照した全集の記事からわかりました。
三島のライフワークとなった『豊饒の海』をより深く味わうためにも唯識をもう一度学び直したいと深く感ずることとなりました。晩年の三島の思いを知る上でもこれは重要なポイントになりそうです。
三島由紀夫は1967年秋に15日をかけてインドを旅しました。そのルートは広大なインドをぐるっと周遊するまさに強行軍です。
晩年の三島はインドについてかなり強い関心をもっていました。インターネットで何でも簡単に検索できる時代とは違います。自分から積極的に情報を集めなければヒンドゥー教について深く知ることはできません。こうしたインドや仏教への強い関心が三島文学、特に『豊饒の海』にも大きな影響を与えているようです。
このインタビュー記事が三島のインド観を知れる重要な資料であることは間違いありません。
1970年11月25日の自決決行まで、ほぼ全ての人が三島の決起を予想していませんでした。たしかに、三島の漠然とした異変に気付いていた人も少なくはありませんでしたが、まさかそんなことまでしないだろうと考えていたのです。
ですが自決後時を経て、まさにこの本で三島の予言していた通りになったのでした。『行動学入門』には三島の思いが真っすぐ述べられています。自分はこれからやるぞ。行動するぞ。俺は口先だけの人間だけではないんだと強く迫ってくるような迫力があります。
1970年11月25日、三島由紀夫と楯の会メンバー4人が自衛隊市ヶ谷駐屯地に立てこもり、バルコニーから自衛隊決起を促す演説をした後、三島と森田必勝両氏がそのまま切腹し自殺するという衝撃的な事件が起こりました。本書はこの衝撃的な事件の背景とその経緯を知るのに最高の一冊です。
この本では三島が自決に至る過程をかなり詳しく見ていくことができます。特に楯の会の結成やその進展、そして三島と自衛隊とのつながりについての解説は非常に興味深いものがありました。
その内容についてはここではご紹介できませんが、私も「えっ!」と驚くようなことがどんどん出てきました。この本を読む前と後では三島に対する見方がまた変わったように思えます。
「女性心理と性の深淵をドラマチックに描く異色作」
本紹介では「女性心理と性」という怪しげな作品のように感じてしまうかもしれませんが、実はこの作品は三島によるフロイト的な精神分析への挑戦が書き込まれた小説でもあります。私が本書を読んだのもまさにこのフロイトへの挑戦に関心があったからでした。
本作の主人公は精神科医です。この中年の精神科医の手記という形で物語が進んでいきます。
彼は自身の精神分析をふんだんにこの手記の中で披露していくのですが、いかんせん相手が悪かった!彼のもっともらしい解釈は美女の謎の行動や言葉に次々と覆されていくことになります。ここに三島のフロイトへの挑戦が込められています。
『鏡子の家』で「時代」を描こうとした三島でありましたが、今作『宴のあと』は実際の政治家有田八郎の都知事選を題材に執筆しました。
ですがこの小説の発表後有田氏に三島は訴えられてしまいます。これが日本初のプライバシー裁判として世間を賑わすことになり、三島は『鏡子の家』の家に続き精神的なショックを受けることになりました。
ただ、徳岡氏とドナルド・キーン氏が述べるようにこの作品自体は非常に優れた作品であることは間違いありません。この作品は海外でも高く評価されているようです。