アメリカ

愛すべき遍歴の騎士ドン・キホーテ

チェ・ゲバラ『モーターサイクル南米旅行日記』あらすじと感想~若きゲバラのドン・キホーテの旅!映画の原作としても有名な作品

この旅はまさしくドン・キホーテの旅のように私には思えました。

おんぼろバイクポデローサ2号はすぐに故障し、何度も何度も転倒事故を起こし彼らを身体ごと投げ出します。そしてゲバラ達も行く先行く先でハプニングを起こし続ける珍道中を繰り広げていきます。

普通の人ならば馬鹿にするようなことを大真面目にやってのけるドン・キホーテ。彼は世の不正義を正すために遍歴の騎士となってスペイン中を旅します。

ゲバラはまさにこのドン・キホーテを意識して旅をしていたのではないでしょうか。

愛すべき遍歴の騎士ドン・キホーテ

伊藤千尋『キューバ 超大国を屈服させたラテンの魂』~キューバの歴史を知るのにおすすめの参考書!

この本を読んでいると驚くことばかりでした。普段キューバという国についてほとんど情報が入ってくることがない私たちです。せいぜい野球が強いというイメージくらいでしょうか。そこにキューバ危機や独裁者カストロというイメージしかない私たちにとってこの本で語られることはそれこそ仰天ものです。イメージと全く逆の世界がここにあります。

この本を読めばアメリカに対する思いもきっと変化すると思います。

アメリカ側からだけの情報ではなく、キューバ人にとってアメリカはどういう国だったのかということを知ることができるのもこの本の素晴らしい点だと思います。

愛すべき遍歴の騎士ドン・キホーテ

三好徹『チェ・ゲバラ伝』~キューバ革命を代表する革命家チェ・ゲバラの生涯と思想を知るのにおすすめの伝記

私が『ドン・キホーテ』を読もうと思ったのはゲバラのおかげです。「ゲバラほどの男が愛していた『ドン・キホーテ』は一体どんなにすごい本なのだろう」、そう思ったからこそ私は『ドン・キホーテ』に初めて手を伸ばしたのです。

今では『ドン・キホーテ』は私のライフワークのようなものになっています。この作品は一生読み続けていくことでしょう。

私にとってチェ・ゲバラという存在は私とドン・キホーテを繋いでくれた大恩人なのでありました。

その大恩人のことを知れる素晴らしい伝記が本作『チェ・ゲバラ伝』になります。

愛すべき遍歴の騎士ドン・キホーテ

アーヴィング『アルハンブラ物語』あらすじと感想~魅惑のスペイン紀行!世界遺産アルハンブラ宮殿に行くならぜひおすすめ!

アーヴィングは1829年にここグラナダに旅行し、アルハンブラ宮殿に滞在しました。

その旅を基に書かれた作品が『アルハンブラ物語』で、この本がきっかけで西欧社会にアルハンブラ宮殿が知られるようになりました。

この本を読めば間違いなく現地に行きたくなります。もしすでに行く予定が決まっている方はぜひこの本を読んでみて下さい。現地に行ったら何倍も楽しめること間違いなしです。旅に出るまでのモチベーションアップに絶大なる威力を発揮する作品です。

スペインの文化を知る上でもこの本は非常に素晴らしいものとなっています。ぜひおすすめしたい作品です。

インド思想と文化、歴史

サティシュ・クマール『君あり、故に我あり』~ジャイナ教の視点から見た共存共生の人生哲学とは

サティシュ・クマールの思想は世界を様々なつながりから見ていく広い視野が特徴です。これは読んで頂ければすぐにわかると思います。決して難しいことは書かれていません。むしろその読みやすさに驚くと思います。ですだだからといってその教えが浅くて軽いものだということは決してありません。その教えの深さに思わず頭が下がるほどになることは間違いありません。

これはものすごい名著です。ぜひおすすめしたい1冊です。

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

C・ウォルマー『世界鉄道史 血と鉄と金の世界変革』~鉄道が戦争をもたらした?世界規模で鉄道の歴史を学べるおすすめの参考書

今回ご紹介する『世界鉄道史 血と鉄と金の世界変革』はタイトル通り、ヨーロッパだけではなく、世界中にまで範囲を広げて鉄道の歴史を見ていきます。当然アメリカも出てきますし、日本や中国、アフリカまで出てきます。この本はグローバルな視点から鉄道の歴史を見ていけるので、世界史の流れを学ぶ上でも非常に参考になる作品です。

これはありがたい本でした。産業革命の歴史を追う上でも非常に参考になります。

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

カール・B・フレイ『テクノロジーの世界経済史』~産業革命の歴史と社会のつながりを学ぶのにおすすめ!

私がこの本を手に取ったのは、マルクスを学ぶ上で産業革命の歴史と現代に至るテクノロジーの歴史を知りたいと思ったからでした。

この本ではなぜイギリスで産業革命が起きたのか、そしてそれにより社会はどのように変わっていったのかを知ることができます。

マルクスとエンゲルスは、機械化が続けば労働者は貧しいままだという理論を述べました。

たしかに彼らが生きていた時代にはそうした現象が見られていましたが、現実にはその理論は間違っていたと著者は述べます。

この伝記は産業革命とテクノロジーの歴史を知るのに非常におすすめな1冊となっています。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

『グローバル経済の誕生 貿易が作り変えたこの世界』~世界市場の歴史を知るのに最適な1冊!マルクス主義を学ぶためにも

マルクス主義においては、「資本主義がこんな世界にしたのだ」と述べられることが多いですが、この本を読めばことはそんなに単純ではないことに気づかされます。

たしかに「資本主義」が多大な影響を与えているのは事実です。ですが個々の場においては様々な事情や要因が働いて社会は成り立っています。単に「資本主義がすべて悪いのだ」で止まってしまったら重要なものを見落としてしまいかねません。

世界は複雑に絡み合って成り立っていることをこの本では学べます。

幅広い視野から貿易の歴史を知ることができるおすすめの1冊です。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

安武塔馬『シリア内戦』~アサド政権の実態と内戦の経緯を知るのにおすすめ。ロシア・ウクライナ戦争とのつながりを学ぶためにも

この本は複雑怪奇なシリア内戦の流れを時系列に沿って解説してくれます。

解説はかなり丁寧で、この内戦について全く知らない方でも読み進めていくことができます。この内戦がなぜこんなにも入り組んだ構図になってしまったのかという流れがとてもわかりやすかったです。

また、この内戦に対するアメリカとロシアの駆け引きを知れたのも大きかったです。この内戦がなぜロシア・ウクライナ戦争において重要だったかがよくわかりました。

現代ロシアとロシア・ウクライナ戦争

高橋ブランカ『東京まで、セルビア』~セルビア的作品とは?山崎佳代子氏の指導を受けたセルビア人作家の日本デビュー作

著者の高橋ブランカ氏はセルビア出身の作家です。ベオグラード大学で日本語を学び、その時の指導教官がこれまで当ブログでも紹介してきました詩人山崎佳代子氏でした。

繊細な内面描写あり。思わずくすっとしてしまうユーモアあり。

著者の思いを感じながら読んだ『東京まで、セルビア』は非常に刺激的かつ楽しい時間になりました。

ぜひぜひおすすめしたいです。