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『中国の歴史03 ファーストエンペラーの遺産 秦漢帝国』概要と感想~中国皇帝の誕生とその時代背景を学ぶのにおすすめ

中国の歴史03
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『中国の歴史03 ファーストエンペラーの遺産 秦漢帝国』概要と感想~中国皇帝の誕生とその時代背景を学ぶのにおすすめ

今回ご紹介するのは2004年に講談社より発行された鶴間和幸著『国の歴史03 ファーストエンペラーの遺産 秦漢帝国』です。

早速この本について見ていきましょう。

英雄・美姫の夢と野望が織りなす絢爛たる古代中国の歴史
瞠目の兵馬俑坑。項羽vs劉邦の激突。

死後なお地下帝国に君臨せんとした秦始皇帝の想像を絶する野望。高祖劉邦に始まり、王莽の反乱をはさんで前後440年にわたり中原を支配した大漢帝国。荒ぶる英雄・梟雄が闊歩し、美妃が嫣然と微笑む、波瀾万丈、陰翳深い古代中国。

Amazon商品紹介ページより
始皇帝陵兵馬俑坑1号坑 Wikipediaより

前作『中国の歴史02 都市国家から中華へ 殷周 春秋戦国』では秦の始皇帝が生まれるまでの時代を見ていきましたが、今作ではいよいよ中国史の花舞台が始まってきます。

始皇帝が生まれた秦や、日本史ともつながりが出てくる漢や後漢の歴史をこの本で学んでいくことになります。

秦の始皇帝は人気漫画『キングダム』によってここ最近特に存在感が高まっているように感じます。私も『キングダム』を読んでいましたので、その始皇帝がどんな国を作りどんな統治体制を取ったのか非常に興味深く読むことになりました。そして秦という国が20年ももたずに滅亡してしまったという事実に改めて驚くことになりました。

またその後に生まれてきた漢という国は何と言っても「漢委奴国王印」の金印です。「金印コナゴナ57年」という語呂で小学生の時に暗記したのを今でも覚えています。

漢委奴国王印の金印 Wikipediaより

ですがこの金印そのものの記憶は強烈だったもののいざ漢の国がいつ生まれてどのような経過をたどって栄えた国だったのかということは正直ほとんどわかりませんでした。

私は高校時代日本史選択でしたのでこの辺りは特に疎いです。ですのでこの本で改めてじっくり漢の歴史を学べたのはとても刺激的な読書になりました。

そしてこの漢の時代の次にやってくるのがあの「三国志」の時代です。私も昔横山光輝先生の漫画を貪るように読んでいた記憶があります。

あの三国時代の前史となる時代背景を学べるのが本書です。中国全土を統一するのは誰か、そうした壮大な戦いがリアルな形となって生じたのはこの秦漢の存在があったからこそです。

また、中国において歴史がどのように編纂されてきたかということも学べるのも本書の嬉しいポイントです。始皇帝といえば「焚書坑儒」を行ったとよく言われますが、この言説の背景も知れるのもありがたかったです。

この本は「歴史とは何か」を考える上でも大きな示唆を与えてくれる一冊です。

ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

以上、「『中国の歴史03 ファーストエンペラーの遺産 秦漢帝国』~中国皇帝の誕生とその時代背景を学ぶのにおすすめ 」でした。

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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