親鸞とドストエフスキー・世界文学

恐怖の谷イギリス・ドイツ文学と歴史・文化

コナン・ドイル『恐怖の谷』あらすじと感想~シャーロック・ホームズシリーズで私が一番好きな作品!

タイトルにも書きましたが今作『恐怖の谷』はシャーロック・ホームズシリーズの中で私が最も好きな作品です。

この本の巻末解説に「一般にはドイルの代表作と見なされている『バスカヴィル家の犬』よりも、この作のほうに愛着をもつ評者もあるらしいのである」と書かれていましたが、まさに私もその一人です。

たしかに知名度や人気では『バスカヴィル家の犬』の方が上でしょう。かく言う私も『恐怖の谷』を読むまではホームズといえば『バスカヴィル』と思っていました。

ですが『恐怖の谷』を読んでからはすっかりこの作品の面白さに夢中になってしまい、それこそ何度も何度も読み返しています。

バスカヴィル家の犬イギリス・ドイツ文学と歴史・文化

コナン・ドイル『バスカヴィル家の犬』あらすじと感想~ミステリー小説の王道中の王道!ホームズシリーズ屈指の人気作!

今から100年以上も前に書かれた『バスカヴィル家の犬』ですが、この作品は今なお多くのファンに愛され続け、ホームズの長編小説において最も高く評価されている作品でもあります。

まず、そもそも本のタイトルがいいですよね。『バスカヴィル家の犬』という何ともミステリアスでキャッチーなフレーズ。

そして話の冒頭から謎が謎を呼び、ホームズですら苦戦する厳しい展開。敵はあのホームズを煙に巻くほどの相当な手練れです。

また、物語の舞台もこれまた秀逸です。いかにも何か起きそうな不気味な空間。自然環境と人為が絡み合った恐ろしい舞台装置は読者を常にハラハラさせます。

これは読んで間違いなしの名作です。

シャーロック・ホームズの冒険イギリス・ドイツ文学と歴史・文化

コナン・ドイル『シャーロック・ホームズの冒険』~『ボヘミアの醜聞』『赤髪組合』など珠玉の名作が収録された第一短編集

今作『シャーロック・ホームズの冒険』は『緋色の研究』、『四つの署名』で大ヒットしたシャーロック・ホームズシリーズの最初の短編集になります。

最初の短編集でありながらそのクオリティは折り紙付き。これからいくつも短編集が出るのでありますが、その中でも今作はベストなのではないかと思うほど面白いです。

その中でも特に好きな事件はやはり『ボヘミアの醜聞』です。まずタイトルからしてとんでもなくオシャレ。訳者の言葉選びのセンスには脱帽です。

一日一つペースでゆったり読んでいくもよし、一気に読み切るもよし、その楽しみ方は様々です。

読書初心者にも自信を持っておすすめできる名作短編集です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

四つの署名イギリス・ドイツ文学と歴史・文化

コナン・ドイル『四つの署名』あらすじと感想~テムズ川の大追跡!ホームズシリーズ連載を決定づけた第二作!

シャーロック・ホームズシリーズはこの『四つの署名』の誕生によって連載への道筋が開かれていくことになります。

この作品も前作同様ホームズの名推理が冴えわたるのですが、今作では手に汗握るアクションシーンも登場し、よりエンタメ感の強い作品となっています。犯人との直接対決であるテムズ川での追跡シーンは臨場感たっぷりで映像的な楽しさも味わうことができます。川での追跡というと同じイギリスの文豪ディケンズの『大いなる遺産』が有名ですが、その名シーンをオマージュしたかのような迫力ある追跡です。

ホームズ・シリーズ連載のきっかけとなった『四つの署名』はエンタメ感満載の名作です。ぜひこちらもおすすめしたい一冊です。

緋色の研究イギリス・ドイツ文学と歴史・文化

コナン・ドイル『緋色の研究』あらすじと感想~シャーロック・ホームズシリーズの記念すべき第一作目!

最近、「本は普段あまり読まないのですが、そういう私でも読みやすくて面白い小説はありますか」と聞かれることが増えてきたのですが、そんな時私は迷わずこのシャーロック・ホームズシリーズをおすすめしています。

特にこの『緋色の研究』はシリーズ第一作目ということで次に繋がる作品でもあります。この作品を入り口にシャーロック・ホームズシリーズやミステリーに手を伸ばして頂ければ私としては何より嬉しく思います。ミステリー小説の面白さを知るにはこの作品は最適です。

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

A・ワーナー『写真で見るヴィクトリア朝ロンドンとシャーロック・ホームズ』~ホームズ人気の秘密や時代背景も知れるおすすめ本!

この本ではシャーロック・ホームズの魅力や「なぜこんなにも人気になったのか」ということが余すことなく説かれています。たくさんの写真や資料と共に解説されるので読みやすさ、イメージのしやすさも抜群です。

マルクスの生きた時代背景を知るために元々手に取ったこの本ですが、その狙い通りヴィクトリア朝後期のイギリスの社会情勢を知る上でも非常に役に立ちました。

これはぜひぜひおすすめしたい作品です!

『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(20)建築家ベルニーニのデビュー作サンタ・ビビアーナ教会へ!最強のパトロン、ウルバヌス八世の存在

ベルニーニは建築家としての第一歩をこの教会からスタートさせました。

ですがなんと!その第一歩目からしてとてつもない偉業を成し遂げていたのでした。

天才ベルニーニの最初の教会建築を堪能できるこの教会はぜひおすすめしたいです。ローマテルミニ駅近くの若干地味で目立たない教会ですが、だからこそ味があって素晴らしいです。

観光客もほとんど来ないのでじっくりベルニーニの世界を味わうことができます。ぜひローマ滞在の折にはここを訪れてみてはいかがでしょうか。

魔の山イギリス・ドイツ文学と歴史・文化

トーマス・マン『魔の山』あらすじと感想~生命とは何なのか!強烈な個性のごった煮!ドイツ文学の傑作!

この小説は私にとって非常に大切な作品です。私の「十大小説」を選ぶとすれば『魔の山』は確実にその中に入ることでしょう。それほどこの作品は力強く、強烈なインパクトがあります。とにかくスケールの大きな作品です!

私がこの本を初めて読んだのは大学院生になってからのことでした。人生問題について書かれた重厚な小説を読んでみたいと思っていた私がふと出会ったのがこの作品だったのです。トーマス・マンについては学生時代に『ヴェニスに死す』を読んだことがあったり、ゲーテとの絡みでその名が出ていたりと元々興味のある存在でした。

そしてこの本と出会い、私は忘れられない一節を心に焼き付けることになったのです。

『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(19)ベルニーニ『ダヴィデ』~ベルニーニの驚異の集中力とミケランジェロの『ダヴィデ』との比較

私もボルゲーゼ美術館でベルニーニの魔術に引き込まれた一人です。専門家の石鍋真澄が述べるように、ダヴィデの視線の先には明らかにゴリアテがいます。そして今にも石を投げんとしているのが伝わってきます。その瞬間を私達は目撃しているのです。ベルニーニの彫刻は私たちの現実世界を吹き飛ばしてファンタジー、物語空間に強制的に引き込んでしまいます。この物語性、メッセージ性がベルニーニの真骨頂。20代前半にして彼はその域に到達していたのでした。恐るべき早熟の天才と言えるでしょう。

メンデル産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

『オックスフォード 科学の肖像 メンデル』~メンデルの法則で有名なチェコ・ブルノの修道士メンデルのおすすめ伝記!

メンデルといえばエンドウマメの交配実験が有名ですよね。私もそんな「メンデルの法則」のイメージがあったものの、いざメンデルがどんな時代に生きてどのような生涯を送ったのかはほとんど何も知りませんでした。

この伝記を通してメンデルの生涯や当時の時代背景を知れたのはとても興味深かったです。これは面白い伝記です。