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『世界史リブレット人59 ワットとスティーヴンソン 産業革命の技術者』概要と感想~蒸気機関と鉄道の発明者のおすすめ伝記!
今回ご紹介するのは2017年に山川出版社より発行された大野誠著『世界史リブレット人59 ワットとスティーヴンソン 産業革命の技術者』です。
早速この本について見ていきましょう。
動力と輸送を劇的に転換して現代の工業社会を生み出した蒸気機関と蒸気機関車。発明者のワットとスティーヴンソンの生涯を追いながら、これらの発明の基盤を明らかにする。『ジェントルマンと科学』(世界史リブレット34)で好評を得た著者が本書で浮き彫りにしたのは、イギリス科学技術のもう一つの伝統を形成した技術者たちの世界。その独自な価値観に迫る。
Amazon商品紹介ページより
この本は蒸気機関で有名なジェームズ・ワットと鉄道の発明者ジョージ・スティーヴンソンの伝記です。
ワットというと蒸気機関を発明したというイメージがありましたが、正直それがいつのことでどのようなものだったのかは意外とわかりませんでした。
そんな中この伝記ではワットやスティーヴンソンの生涯をわかりやすくコンパクトに語られます。2人の生涯を100ページ弱でまとめているこの本には正直驚きました。
そしてワットの蒸気機関でありますが、ワットのかなり前にすでに蒸気機関が発明されていたというのも改めて驚きでした。
ニューコメンにより蒸気機関が発明されたのが1712年。なんとワットの蒸気機関よりも70年前にこの機械があったことになります。
ニューコメンの蒸気機関は画期的な発明だったものの、エネルギーロスが大きかったり、その巨大さや安全性の問題も抱えていました。ですが鉱山での水汲みに使うという用途においては問題なく使えていたのでこちらが普及することになりました。
現代を生きる私たちからすればなぜ70年もの間人々は蒸気機関を水汲み以外の用途で使えるように改良しなかったのかと不思議に思ってしまいますが、これが科学史の面白いところです。
ワットはこの蒸気機関を改良し、世界を変える発明をすることになります。ニューコメンが上下式の動力であるのに対し、ワットが生み出したのは回転式の動力でした。しかも小型化や安全性の向上にも成功し蒸気機関の用途が一気に広がることになりました。ここにワットの偉大さがありました。
私達はワットといえば「蒸気機関を発明した」というイメージで考えてしまいますが実は改良によって素晴らしい機械を発明したのでした。ゼロから蒸気機関を生み出したわけではなかったのです。改良があまりに画期的で素晴らしかったところに彼の独創性があったのでした。
回転運動をベースにした蒸気機関が発明されたのが1780年代初頭。
そこから産業革命は一気に加速し、それをさらに早めたのがスティーヴンソンの蒸気機関車、つまり鉄道になります。
1830年のマンチェスター・リヴァプール間の鉄道開通はその象徴的な出来事です。
ワットとスティーヴンソン。産業革命にとてつもなく大きな影響を与えた2人の生涯をコンパクトに知れるこの本は非常にありがたいものがありました。
以前当ブログでも紹介した参考書、サイモン・フォーティー『産業革命歴史図鑑 100の発明と技術革新』と合わせて読めばより大きな視点で二人の偉業を考えることができるのでぜひセットで読むことをおすすめしたいです。
以上、「『ワットとスティーヴンソン 産業革命の技術者』蒸気機関と鉄道の発明者のおすすめ伝記!」でした。
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ワットとスティーヴンソン: 産業革命の技術者 (世界史リブレット人 59)
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