MENU

G・ポゴシャン『アルメニアを巡る25の物語』あらすじと感想~おすすめガイドブック!これを読めばアルメニアに行きたくなる!

目次

G・ポゴシャン『アルメニアを巡る25の物語』概要と感想~おすすめガイドブック!これを読めばアルメニアに行きたくなる!

今回ご紹介するのは2017年に和器出版より発行されたグラント・ポゴシャン著『アルメニアを巡る25の物語』です。

著者のグラント・ポゴシャンは駐日アルメニア大使館特命全権大使を務めています。著者は1953年生まれのアルメニア人ですが2017年現在で日本在住26年にもなり、そのためこの本は翻訳者なしで出版されています。

ではこの本について見ていきましょう。

日本・アルメニア外交関係樹立25周年記念出版。世界有数の歴史を持つ建国26年の新しい国アルメニア共和国の歴史と文化のエッセンスを日本在住25年の駐日大使が25のストーリーで紹介!

アルメニアと聞いて首をかしげる方も、ノアの箱舟が漂着した山として有名なアララト山のふもとの国、 といえば、ご存知ではないでしょうか。 その有名なエピソードに象徴されるように、〝世界最古のキリスト教国〟という冠を持つ国がアルメニアです。 南にトルコ、北にはロシアという地勢、イスラム世界とキリスト教世界がせめぎあう欧州の東側で、長い間、強国の支配の下にありながらも、独立した民族としての矜持と文化を保持し続けてきた稀有な小国アルメニアが独立し、日本と通商を結んでから今年で25周年。 それを記念して企画されたのが本書です。著者は、アルメニア出身で日本在住の駐日大使。アルメニアと日本の歴史と文化をともに肌身で知る著者が、アルメニアと日本とのつながりも含めて、さまざまな興味深いエピソードを紹介してくれます。 東ヨーロッパの旅路の楽しさを倍加させてくれる〝ガイドブック〟としてもご期待ください。

Amazon商品紹介ページより

この作品は近年成長著しいアルメニアの歴史と文化を駐日アルメニア大使が魅力たっぷりに語ってくれるガイドブックになります。

日本人にとってはまだまだアルメニアという国はそこまでメジャーではありませんが、近年観光地としても急速に注目を浴びており、多くの観光客がこの国を訪れているそうです。

改めてこの国についての概要も見ていきましょう、

1991年にソビエト連邦から独立。遡ればノアの方舟伝説にまで至る世界有数の長い歴史を持つアルメニア民族を中心とした新しい共和制国家として歩み出す。東のカスピ海、西の黒海に挟まれた内陸国で、欧州、中東、アジアを結ぶシルクロードの要衝としても古くから知られてきた土地でもある。アララト山が街から望めるエレヴァンが首都。「世界最初のキリスト教国」「世界最高のブランデーを育てた国」などさまざまな顔を持つ魅力あふれる国として近年、日本からの旅行者が急増している。

和器出版、グラント・ポゴシャン『アルメニアを巡る25の物語』表紙裏より

宗教に関心のある私にとって「アララト山」や「世界最古のキリスト教国」というのはものすごく興味深いものでありました。

そしてこちらが目次になるのですが、様々なジャンルにわたって語られているのがわかると思います。そのひとつひとつがわかりやすく楽しみながら読める構成になっています。写真もたくさん掲載されており現地の雰囲気も伝わってきます。

この本はアルメニアを知るためのガイドブックとしてとても優れています。アルメニアがとても魅力的に感じられ、ぜひぜひこの国に行ってみたいなという気持ちになります。歴史と文化、そして現在のアルメニアをわかりやすく解説してくれるありがたい作品です。巻末には旅のアドバイスも掲載されており、旅行のガイドブックとしてもとてもおすすめです。

最後に著者の言葉を紹介してこの記事を終えたいと思います。

この本では、キーワードと短いストーリーで、様々なアスぺクトからアルメニアを紹介することを目指しております。日本の様々な層の人々にアルメニアへの扉を開くような本にしたいと思って執筆しました。

近年、アルメニアでは日本人観光客が増えてきていますが、もっともっと増やしたい。そうするためにはアルメニアのことをもっと知ってもらうしかありません。私は私の国アルメニアを、「知れば知るほど、理解すれば理解するほど」好きになる国であると信じています。日本からの距離は遠いですが、この本の25のストーリーを読んで、ぜひ私の国アルメニアを訪問して下さい。

私が若い頃に日本についての本を読んで皆様の国日本を好きになったように、皆様がこの本を読んで、アルメニアを大好きになって下さることを願っております。

和器出版、グラント・ポゴシャン『アルメニアを巡る25の物語』P4

私も近々アルメニアを訪れる予定です。この本はそんなアルメニアの魅力を知るのにうってつけのガイドブックです。この国はとても面白いです。著者が述べるように「知れば知るほど」興味が湧いてきます。

ぜひこの本を手に取ってみてはいかがでしょうか。

以上、「G・ポゴシャン『アルメニアを巡る25の物語』おすすめガイドブック!これを読めばアルメニアに行きたくなる!」でした。

Amazon商品ページはこちら↓

アルメニアを巡る25の物語 (駐日大使が語る遠くて近い国、古くて新しい国)

アルメニアを巡る25の物語 (駐日大使が語る遠くて近い国、古くて新しい国)

次の記事はこちら

あわせて読みたい
牧本次生『IT立国アルメニア』あらすじと感想~急激に発展するアルメニアIT!日本はこれからどうなるのか この本は日本のIT分野の第一人者牧本次生氏による作品になります。 最古のキリスト教国アルメニア、旧ソ連の雰囲気が残るアルメニア。 私はそのような面からアルメニアを知ることになりましたが、そこから最先端のIT立国アルメニアを知れたのがこの本でした。 様々な面からこの国のことを見ることができたのは私にとっても貴重な経験になりました。

前の記事はこちら

あわせて読みたい
篠野志郎『アルメニア巡礼 12の賑やかな迷宮』あらすじと感想~圧倒的な廃墟感!ダークでディープな旧ソ... 『アルメニア巡礼 12の賑やかな迷宮』はソ連崩壊後取り残された旧共産圏の姿を知る上でこの上ない作品なのではないかと私は思います。日本ではありえないインフラ事情がどんどん出てきます。あまりに異世界過ぎてかなりショックを受けました。先程はホテルの話を引用しましたが、他にも驚きの内容がどんどん出てきます。

関連記事

あわせて読みたい
森和朗『乗っ取られた箱舟 アララト山をめぐるドラマ』あらすじと感想~ノアの箱舟は『ギルガメッシュ叙... 現在トルコ領となっているアララト山は旧約聖書で「ノアの箱舟」が漂着した場所として知られる聖地中の聖地です。 ですがその「ノアの箱舟」の物語が実は紀元前3000年から2600年頃に繁栄したメソポタミア文明のシュメール神話『ギルガメッシュ叙事詩』から着想を得ていたという驚きの事実がこの本では語られます。
あわせて読みたい
『ギルガメシュ叙事詩』あらすじと感想~ノアの箱舟の起源はここに!?最古の世界文学は想像以上の面白さ... 単なる古代の神話とあなどるなかれ。訳者が述べるように、この叙事詩は私たちの想像を圧倒的に超える面白さです。私もこの作品を読んで度肝を抜かれました。今から5000年も前に書かれた物語がこんなに面白いなんて・・・! 現代の小説や物語と比べても遜色がないくらいドラマチックで面白い作品です。5000年前の人類の英知をぜひ味わってみてはいかがでしょうか。非常におすすめです。
あわせて読みたい
篠野志郎『アルメニア共和国の建築と風土』あらすじと感想~世界最古のキリスト教国の独特な教会建築を... この作品は世界最古のキリスト教国として知られるアルメニアの教会群を取材した写真集になります。 アルメニアの首都エレバンからはあのノアの箱舟で有名なアララト山を望むことができます。私がアルメニアに興味を持ったのもまさにこのアララト山の存在があったからでした。 歴史ある建築物の写真を見ながら、独特な歴史を歩んできたアルメニアの文化を知れる貴重な作品です。
あわせて読みたい
篠野志郎『写真集 東アナトリアの歴史建築』あらすじと感想~知られざるトルコ、アルメニア、シリアの独... 今回紹介した『写真集 東アナトリアの歴史建築 Stone Arks in Oblivion』も非常に貴重な作品です。こうした作品に出会えたことはとても幸運なことに思えます。この本が世に出たということの意味を考えさせられました。 正直、かなりマニアックな本です。私もトルストイを通してカフカースを学んでいなかったら一生出会わなかったジャンルの本だと思います。ですが、この本のパワーは本物です。ぜひおすすめしたい作品です。
あわせて読みたい
『カフカース 二つの文明が交差する境界』あらすじと感想~カフカースとロシア文学のつながりを知るのに... 私がこの本を手に取ったのはトルストイ伝記の金字塔、藤沼貴著『トルストイ』でこの作品が紹介されていたからでした。 この作品はそれぞれの分野の専門家による共著になります。この本では文学だけでなく様々な観点からカフカースを見ていくことができます。 私はトルストイとの関係性からカフカースに関心を持つようになりましたが、入り口は人それぞれだと思います。そんな中多様な視点からカフカースを見ていくこの本の試みは非常に面白いなと思いました。
あわせて読みたい
V・ベリゼ『ジョージアの歴史建築 カフカースのキリスト教建築美術』あらすじと感想~ジョージア観光の... この作品はジョージアの独特な教会建築を余すことなく解説してくれる非常に貴重なガイドブックとなっています。 日本ではジョージアの教会についてはほとんど知られていませんが、その独特な構造や美しさは写真を見ただけでもどきっとするほどです。 そしてこの本では教会建築の解説だけではなく、教会を巡るための旅のガイドまで掲載してくれています。 これは貴重な1冊です。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

目次