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(10)『オペラ座の怪人』でお馴染み!パリのオペラ・ガルニエへ~ファントムの5番ボックス席も発見!

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【パリ旅行記】(10)『オペラ座の怪人』でお馴染み!パリのオペラ・ガルニエへ~ファントムの5番ボックス席も発見!

パリと言えば『オペラ座の怪人』を連想する人も多いのではないだろうか。かく言う私もドストエフスキーと出会い、ゾラやユゴーと出会うまで「パリといえばオペラ座」というイメージがあったものだ。

今回はそんな『オペラ座の怪人』ファンにはたまらない聖地、オペラ・ガルニエを紹介していきたい。

オペラ・ガルニエはオペラ地区というもはや名前そのもののエリアにあり、パリの中心部に位置する。周囲はデパートやブティックなどが立ち並び、パリの中でも比較的治安が良く、日本人観光客も滞在しやすい地区だ。

さて、『オペラ座の怪人』といえば何と言ってもミュージカルだ。

私もこのミュージカルが大好きだ。

学生時代、『オペラ座の怪人』の長年の大ファンであるおばに連れていってもらったのがきっかけで、私もこの作品の魅力にすっかりはまってしまったのだった。

それ以来、私は劇団四季の『オペラ座の怪人』を何度も観劇している。

映画『オペラ座の怪人』を観た時も、息もできないほど号泣したのを覚えている。

そして旅に出るにあたってそんな『オペラ座の怪人』の原作をいよいよ読んでみようと思い、私は旅の直前にガストン・ルル―による原作も手に取ってみたのであった。

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さて、この小説の舞台であるパリのオペラ座。

この建物についてフランス文学者鹿島茂先生は興味深い解説を『文学的パリガイド』という本で述べている。

一八五八年にナポレオン三世の暗殺未遂事件が起きると、ナポレオン三世は、事故の原因はオぺラ座が警備のしにくい路地にあることだと考え、折から大改造中のパリにふさわしいオぺラ座の建設を決意する。一八六一年にコンぺが行われ、新鋭シャルル・ガルニエのプランが採用された。ヴィオレ・ル・デユックと親しかったウージェニー皇妃はこのガルニエのプランが気に入らず、「これは何なの・古典様式ではないし、ルイ十六世様式でもないわね」と不満をもらした。すると、ガルニエは「いや、これはナポレオン三世様式です」と答えたという。

ガルニエの予言通り、新オぺラ座は第二帝政を代表する建築物となり、その折衷様式がナポレオン三世様式とか第二帝政様式と呼ばれるようになったが、ナポレオン三世の在位中には辛うじてファサードが間に合っただけで、ついに完成をみなかった。

その原因は、この巨大な建築物の基礎工事に多くの時間と費用を要したことにある。というのも、地下を掘り進んでいくとローマ時代の巨大な採石場跡にぶち当たり、そこに地下水が流れ込んで、「湖」のようなものができてしまったからである。この「オペラ座の地下の湖」というエピソードに着想を得て、一九一〇年に『オペラ座の怪人 Le Fantôme de l’Opéra』を書き上げたのがガストン・ルルーである。

中央公論新社、鹿島茂『文学的パリガイド』P54-55

実際にパリのオペラ座の地下が湖のようになっていたというのは驚きだった。しかもそれが古代ローマの遺跡だったというのだからさらにロマンチックだ。

ではこれよりオペラ座の内部に入っていくことにしよう。

入場口は薄暗い地下空間のようになっていてすでにムードは抜群だ。円柱が並ぶホールを歩く。自分が物語の世界に入ってしまったかのような感覚。早くも興奮してきた。

いよいよ始まる。この両側の階段を上ればあの「お馴染みの大階段」が私を待っているのだ・・・!

『オペラ座の怪人』といえばやはりこの大階段だろう。

せっかくなので縦の写真も。

この空間にいた時、私の脳内では「マスカレード」が鳴り響いていた。

階段を上り、それぞれの階の廊下では歴代の衣装などだろうか、煌びやかな衣装が展示されていた。

そしてオペラ・ガルニエでこれまた有名なのがこの豪華絢爛たるグラン・フォワイエの広間だろう。オペラの休憩時間を過ごすための部屋だそうだが、信じられないくらい豪華な作り。だが不思議と嫌な感じはしない。成金的な雰囲気ではなく洗練されたものを感じる。その辺のバランス感覚というものはなかなか難しいものだが、さすがはナポレオン三世肝いりの事業だなと感嘆した。この豪華絢爛で美しい作りを、ナポレオン三世様式と呼ぶそうだ。

さあ、いよいよ場内に入っていくことにしよう。一般の観光客にもいくつかのエリアは解放されていて、そこから身を乗り出して全体を眺めることになる。私も順番待ちしてその時を待つことにした。

ようやく最前まで来れた。私たちがいるのは一階席ではなくその上の広めのボックスのような席。ここから下はガイドツアーに申し込まなければ入ることはできない。

場内最後方のこの位置からでも意外とステージが近く感じられる。

天井にはあのシャンデリアとシャガールの絵が。これはたまらない。

写真では少し見にくくなってしまったが二階の一番奥から二番目の出っ張りがあるボックス席がファントムの指定席。ではそのボックス席まで行ってみよう。

この写真でいえば真ん中の扉がファントムのボックスに通じるドアだ。

おぉ~!ちゃんと5番ボックスと書かれている!

さらに寄ってみよう。

すごい!ファントムのネームプレートまであるではないか!これには興奮してしまった。

私は扉の前でしばらく感動して見入ってしまったのだが、ここはなぜか全然人が来ない。この写真では親子連れがこの扉を見に来てはいるものの、私がいた10分あまりではほとんど誰もここまで来ることはなかった。

『オペラ座の怪人』は人気なはずなのになぜこんなにもここはひっそりとしてるんだろうと不思議になった。

思うに、まずオペラ座側がこのファントムのボックス席を宣伝する気がないのではないかという気がする。案内も全くないのでこの席の存在を知っていて、その上でここを目指してやってこないとまず気付くことはないと思う。廊下の端にこの席はあるので、わざわざこんなところまでなんとなくやって来る人はほとんどいないのではないだろうか。

さすがに『オペラ座の怪人』がそもそもそこまでの人気ではないというのは考えにくい。ここを売り出せばこのひっそりとしたボックス席を目当てにもっと人がやって来るようになるのになとも思ってしまった。だがまあよい、このひっそりとした雰囲気でこの空間を独占できるならその方がよいではないか。扉の前で行列待ちなんて想像するも恐ろしい。それこそ悲劇だ。うん。これでいいのだ。これで。

さあ、階段を下りてこの劇場を後にしよう。

この階段を歩くだけで自分が舞台に立ったかのような気分になる。

いやあ実に素晴らしい場所だった。『オペラ座の怪人』ファンには間違いなくたまらない場所だと思う。もちろん、『オペラ座の怪人』に詳しくなくともこの見事なナポレオン三世様式は必見なものとなっている。

これはパリ観光の必須ポイントとして間違いないだろう。ぜひおすすめしたいスポットである。

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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