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カトリック巡礼の聖地、サンティアゴ・デ・コンポステーラに到着 スペイン編⑭

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カトリック巡礼の聖地、サンティアゴ・デ・コンポステーラに到着 僧侶上田隆弘の世界一周記―スペイン編⑭

ラ・マンチャ地方を訪れた後は、飛行機でマドリードからサンティアゴ・デ・コンポステーラへと向かう。

サンティアゴ・デ・コンポステーラはスペイン北西部の大西洋岸近くの街。

ここはカトリックの巡礼地として有名で、バチカンとエルサレムをはじめとするカトリック三大聖地の一つに数えられている由緒ある聖地として知られている。

旧市街中心部を歩いてみるとラッパのような音色の伝統音楽が聞こえてくる。

この街はまるでお祭りのような雰囲気が漂っている。

サンティアゴ・デ・コンポステーラは世界遺産として登録された「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の最終目的地。

スペイン最北東部、ピレネー山脈の辺りから大西洋へ向けて西へ西へとまっすぐに続いていく巡礼路。

巡礼は基本は徒歩。

多くの巡礼者が今もこの道を歩いている。

これは日本で言う四国のお遍路のイメージに近い。

そしてその最終地点であるサンティアゴ・デ・コンポステーラこそ、数多くの巡礼者を迎える聖なる街なのだ。

こちらがサンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂。

さすがカトリック三大巡礼地とだけあって堂々たる大建築だ。

ここがなぜ巡礼の最終地点になっているかというと、

この人物がその鍵を握っている。

彼の名は聖ヤコブ。

イエスの直弟子であり、12使徒に数えられる聖人だ。

その聖ヤコブの遺骨が9世紀にこの地で発見されたというのがこの大聖堂の始まりであると言われている。

9世紀のスペインといえば、先の記事でも紹介したレコンキスタ真っ盛りの時代だ。

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みなさんは覚えているだろうか、レコンキスタはスペイン北部に逃れたキリスト教徒とスペイン全土を支配するイスラム教徒との領土の奪い合いの歴史であった。

そんなレコンキスタ真っ盛りの時期に、絶妙なタイミングで聖ヤコブの墓が見つかり、さらになお絶妙なことに、それが見つかったのはキリスト教徒勢の前線基地であったサンティアゴ・デ・コンポステーラだったという。

さて、これは偶然のできごとなのだろうか。

それとも神のお導きという必然のできごとだったのだろうか。

これは非常に興味深い問題だ。

この問題は後の記事で改めて述べていくことにしよう。

そして先ほどの写真を見て少し違和感を感じられた方もおられたと思う。

そう。

現在、この大聖堂は大規模修復中だったのだ。

聖堂内には所狭しと足場が組まれ、本来の姿を見ることができない状態だったのである。

とはいえ、巡礼者のために聖堂内はしっかり開放はされている。

この写真の右側に人が並んでいるのが見えるだろうか。

この列は写真中央に見える聖ヤコブ像に触れるための列。

よく見ると聖ヤコブ像の背後から人の手が見える。

こうして聖ヤコブ像に触れることでご利益があるとされているのだ。

近くの公園から見た大聖堂

サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼は長い長い歴史を持ち、文化的にも非常に複雑なものがある。

今回はあえてそのことにはあまり触れずにお話ししてきた。

それらについては次の記事から改めてお話ししていくことにしよう。

サンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂中心は非常に賑やかだ。

どこかエルサレムの旧市街を思い出すかのような、何かめでたい雰囲気がある。

もちろん、歴史上数え切れない衝突があったエルサレムは今でもなお重たい空気感が漂っているのは否定できない。

しかし、巡礼の最終目的地というのはやはり苦しい巡礼を終えようやくたどり着いたことを祝う独特の空気感がある。

特にこのサンティアゴ・デ・コンポステーラは徒歩の巡礼が今なお残っている場所だ。

エルサレムやバチカンに徒歩で行く人間は現代ではほとんどいないだろう。

しかしここサンティアゴ・デ・コンポステーラは今なお苦労してここを目指してきた巡礼者であふれている。

苦労したからこそわかる感覚というものがきっとあるのだろう。

そしてそれら巡礼者を迎え入れる街の人々のおもてなし。

こうした独特な雰囲気を味わえるのがサンティアゴ・デ・コンポステーラの魅力だろうとぼくは思う。

では、次の記事ではサンティアゴ・デ・コンポステーラがなぜ聖地として重要視されているのかを「聖なるもの」とは何かという観点から考えていきたい。

続く

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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