仏教

三島由紀夫と仏教三島由紀夫と日本文学

三島由紀夫と仏教のつながり~『豊饒の海』の唯識思想など三島はどこで仏教を学んだのか

三島が仏教を学ぶ際、実際に何を読んだのかということまではわかりませんが、数々の入門書を読んで唯識へとたどり着き、大谷大学の山口益博士から教えを受けたということが今回参照した全集の記事からわかりました。

三島のライフワークとなった『豊饒の海』をより深く味わうためにも唯識をもう一度学び直したいと深く感ずることとなりました。晩年の三島の思いを知る上でもこれは重要なポイントになりそうです。

三島由紀夫 インドの印象三島由紀夫と日本文学

三島由紀夫『インドの印象』~晩年の三島はインド旅行で何を見て何を思ったのか。『豊饒の海』にも強い影響!

三島由紀夫は1967年秋に15日をかけてインドを旅しました。そのルートは広大なインドをぐるっと周遊するまさに強行軍です。

晩年の三島はインドについてかなり強い関心をもっていました。インターネットで何でも簡単に検索できる時代とは違います。自分から積極的に情報を集めなければヒンドゥー教について深く知ることはできません。こうしたインドや仏教への強い関心が三島文学、特に『豊饒の海』にも大きな影響を与えているようです。

このインタビュー記事が三島のインド観を知れる重要な資料であることは間違いありません。

遺跡から「聖地」へ—グローバル化を生きる仏教聖地インドにおける仏教

前島訓子『遺跡から「聖地」へ—グローバル化を生きる仏教聖地』~ブッダの悟りの聖地ブッダガヤを巡る衝撃の事実とは

本書はインドの仏教聖地ブッダガヤの衝撃の事実を知れる作品です。

ブッダガヤといえばブッダが悟りを開いた地として世界的に有名な聖地です。

ですがこの聖地がずっと忘れ去られていて、最近発見されたものだとしたらどうでしょう。

正直、本書で書かれている内容は日本人にはかなりショッキングなものかもしれません。

この地で何が起きていたのかを知ることは決して無駄なことではないと思います。それが仏教徒である私にとっていかに不都合なものでも・・・

地獄変・偸盗三島由紀夫と日本文学

芥川龍之介『地獄変』あらすじと感想~地獄絵の完成には地獄を見ねばならぬ…天才画家の狂気を描いた傑作!

この作品を読んでいると、まるでサスペンス映画を観ているかのような緊張感に自分が包まれていることを感じます。天才画家良秀が弟子を鎖で縛ったりミミズクをけしかけるくらいまではまだいいのです。「また始まったよ良秀の奇行が」くらいのものです。ですがそこから段々妙な予感が私達の中に生まれ、次第に不気味に思えてきます。「まさか、良秀がやろうとしていることって・・・」とついハラハラしてしまいます。この徐々に徐々に恐怖や不安を煽っていくスタイルは、ミステリーのお手本とも言うべき実に鮮やかなストーリーテリングです。さすが芥川龍之介です。

この作品には「完璧な絵を描き上げんとする狂気の画家を、言葉の芸術家が完全に描き切るのだ」という芥川の野心すら感じさせられます。

この作品が芥川文学の中でも傑作として評価されている理由がよくわかります。

スリランカ巨大仏の不思議スリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

楠本香代子『スリランカ巨大仏の不思議』~彫刻家から見たスリランカ仏像の魅力とは!新たな視点で学べるおすすめガイド!

本書の著者は仏教の専門家ではなく彫刻家です。

彫刻を彫る側の人がスリランカの仏教美術を見たらどのようなことを思うのかというのは私にとってもものすごく刺激的でした。

スリランカの有名な仏像やマニアックな仏像まで数多くの素晴らしい美術を本書では紹介しています。写真や地図なども豊富に掲載されていますのでスリランカを訪れる際のガイドブックとしても優秀です。

これは面白い本でした。新たな視点でスリランカ仏像を見れる刺激的な一冊です。

ウォルト・ディズニー 創造と冒険の生涯夢の国ディズニーランド研究

ボブ・トマス『ウォルト・ディズニー 創造と冒険の生涯』~ディズニー社公認伝記!バイブルとしてのウォルター伝

本書はディズニー社公認のウォルト・ディズニー伝です。

1928年に『蒸気船ウィリー』でデビューしたミッキーマウス。本書はその生みの親ウォルト・ディズニーの規格外の生涯を知れるおすすめ伝記です。

ボブ・トマスの伝記は割とすっきり書かれ、さらにウォルトのよい面や功績がわかりやすく説かれるので入門書として読みやすい作品です。

ディズニーファンにぜひおすすめしたい一冊です。よりディズニーのことが好きになること間違いなしです。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

蜘蛛の糸三島由紀夫と日本文学

芥川龍之介『蜘蛛の糸』あらすじと感想~仏教童話として有名な名作短編!地獄に垂らされた救いの糸!

『蜘蛛の糸』は芥川龍之介が初めて書いた児童向け文学で、仏教説話としても有名な名作短編です。私も僧侶という仕事柄、この『蜘蛛の糸』のお話を法話や仏教書で見聞きすることは数多くありますが、このお話はお寺関係という枠を超えて日本人全体に親しまれてきた作品ではないでしょうか。

そして本書巻末解説では『蜘蛛の糸』制作についての詳しい解説が説かれていたのですが、これが私にとってかなりの驚きでした。簡単に要点をまとめると、⑴『蜘蛛の糸』が元々仏教由来なのかどうかはわからないということ、⑵この作品がドストエフスキーやトルストイとも関係があるという2点があげられます。この記事ではこのことについても詳しく見ていきます。

スリランカスリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

伊東照司『スリランカ仏教美術入門』~写真多数!スリランカ仏教遺跡巡りに役立つガイドブック!

本書ではアヌラーダプラ、ポロンナルワ、キャンディなど主要な仏跡や、その他特徴的な仏教遺跡を見ていくことになります。

本書はとにかく写真が多数掲載されており、現地の状況をイメージしやすいです。さらに解説も初学者にもわかりやすく書かれており、入門書として非常にありがたい作品です。

スリランカに行かれる方、スリランカ仏教に興味のある方にぜひおすすめしたい作品です。観光する際のガイドブックにもなる一冊です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

スリランカスリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

石野明子『五感でたのしむ!輝きの島スリランカへ』~魅力満載の観光地としてのスリランカを知るのにおすすめのガイドブック!

本書『五感でたのしむ!輝きの島スリランカへ』は観光地としてのスリランカを知るのにおすすめのガイドブックです。この本を読めばスリランカに行きたくなること間違いなしです。魅力あふれるスリランカの名所やグルメなどを楽しく見ていくことになります。

それにしてもこの本の写真の素晴らしさたるや!ただ単に写真が上手というだけでなくスリランカへの愛も感じます。レイアウトも綺麗で見やすく、読んでるだけでワクワクしてきます。

これはぜひぜひおすすめしたいガイドブックです。

南方熊楠僧侶の日記

嶋本隆光『南方熊楠と猫とイスラーム』~従来の熊楠像は本当に正しかったのか?偉人研究のあり方を問う刺激的な一冊!

本作『南方熊楠と猫とイスラーム』は従来の南方熊楠に関する参考書とは一線を画す作品となっています。

南方熊楠といえば「天才的な資質をもった博物学者、民俗学者」として知られており、粘菌や植物の研究でも有名です。

南方熊楠は超人的な資料収集や研究範囲の広さによって後の研究者からも尊敬を集めるようになります。そしてその研究者たちによって語られた南方熊楠はまさに時代を先取りした天才、偉人として讃美されることになりました。

ただ、この南方熊楠という人物ははたしてその通りの偉人であったのか。後の研究者たちの讃美に満ちた南方熊楠像は本当に正しいものだったのかということを本書では丁寧に見ていくことになります。

今話題の清水俊史著『ブッダという男』の南方熊楠版ともいえる刺激的な作品です!