フロイト

音楽 三島由紀夫三島由紀夫と日本文学

三島由紀夫『音楽』あらすじと感想~フロイトの精神分析への批判的な挑戦が込められた名作!

「女性心理と性の深淵をドラマチックに描く異色作」

本紹介では「女性心理と性」という怪しげな作品のように感じてしまうかもしれませんが、実はこの作品は三島によるフロイト的な精神分析への挑戦が書き込まれた小説でもあります。私が本書を読んだのもまさにこのフロイトへの挑戦に関心があったからでした。

本作の主人公は精神科医です。この中年の精神科医の手記という形で物語が進んでいきます。

彼は自身の精神分析をふんだんにこの手記の中で披露していくのですが、いかんせん相手が悪かった!彼のもっともらしい解釈は美女の謎の行動や言葉に次々と覆されていくことになります。ここに三島のフロイトへの挑戦が込められています。

ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行

(17)共産主義、社会主義革命家を批判したドストエフスキー~ジュネーブでの国際平和会議の実態とは

前回の記事ではジュネーブでのドストエフスキー夫妻の仲睦まじい姿をご紹介しましたが、今回の記事ではドストエフスキーという人物を考える上で非常に重要なポイントをお話ししていきます。

ドストエフスキーのジュネーブ滞在は共産主義、社会主義に対する彼の反論が生まれる契機となりました。

ここでの体験があったからこそ後の『悪霊』、『カラマーゾフの兄弟』に繋がっていったと考えると、やはりドストエフスキー夫妻の西欧旅行の持つ意味の大きさというのは計り知れないものがあると私は思います。

ドストエフスキーとフロイトの父親殺し

『カラマーゾフの兄弟』はなぜ難しい?何をテーマに書かれ、どのような背景で書かれたのか~ドストエフスキーがこの小説で伝えたかったこととは

この記事では実際に『カラマーゾフの兄弟』が書かれた背景とはどのようなものだったのかをお話していきます。

「難しい」「読みにくい」と言われることの多いこの作品ですが、なぜそのように感じてしまうのか、その理由にも迫っていきます。

この作品の背景を知ると、『カラマーゾフの兄弟』がまた違って見えてきます。カラマーゾフは面白い!!ぜひおすすめしたい記事です!

ドストエフスキーとフロイトの父親殺し

『カラマーゾフの兄弟』は本当に父殺しの小説なのだろうか本気で考えてみた~フロイト『ドストエフスキーの父親殺し』を読んで

フロイトはこの作品でドストエフスキーの生涯や性格をエディプス・コンプレックスの観点から分析し、『カラマーゾフの兄弟』においても父殺しの衝動が彼にそれを書かせたと結論づけます。

ですが、はたして本当にそうだったのでしょうか?

『カラマーゾフ』は本当に父殺しの小説なのかどうかをこの記事では考えていきます。

ドストエフスキーとフロイトの父親殺し

フロイトの『レオナルド・ダ・ヴィンチの幼年期の想い出』に見るフロイト理論の仕組みとその問題点とは

この記事で紹介する『レオナルド・ダ・ヴィンチの幼年期の想い出』はまさに、歴史的人物にフロイト理論を当てはめるとどういうことになるのかということが最もわかりやすい例です。

フロイトがいかにして自身の理論を適用し、物語を創造していくのかをこの記事で見ていきます。

フロイトの『ドストエフスキーと父親殺し』を読む前にぜひこちらもご覧いただければと思います。

ドストエフスキーとフロイトの父親殺し

フロイトの『ドストエフスキーの父親殺し』を読む前に注意すべきこと~フロイト理論を読む上での五原則

この記事では前回紹介した『精神分析に別れを告げようーフロイト帝国の衰退と没落』 から、フロイト理論を読む上で気を付けるべき原則を紹介していきたいと思います。フロイトの実態が恐ろしいほど見えてきます。きっと読めば驚くと思います。フロイト理論は私たちの日常でもよく耳にするものですが、これがいかに根拠のないものかということが明らかにされます。

ドストエフスキーとフロイトの父親殺し

アイゼンク『精神分析に別れを告げようーフロイト帝国の衰退と没落』~フロイト理論の問題点を指摘する作品

前回の記事で紹介したフロイトの伝記、ルイス・ブレーガー著『フロイト 視野の暗点』でも、フロイトがいかに科学的根拠のないまま理論を作り上げ、それを適用していったかが書かれていました。その伝記で書かれていたフロイトのあり方をより詳しく、ひとつひとつの理論がいかに根拠もなく語られていたかを知るのにこの本はおすすめです。

かなり衝撃的な内容が書かれています。私もかなりショックを受けました。

ドストエフスキーとフロイトの父親殺し

ルイス・ブレーガー『フロイト 視野の暗点』~フロイトの虚構と神話を指摘する、中立的なおすすめ伝記

この伝記の著者ルイス・ブレーガーは現代精神分析研究所の初代所長を務めた人物です。

つまり、この本はフロイト側の精神分析家による伝記になります。ですが、この伝記は非常に公正です。フロイトの間違っているところや欠点もこの本ではかなり詳しく指摘され、英雄視したり神話化するような伝記ではありません。

その上でフロイトがいかにして世に出たのか、彼の特徴はどこにあったのかということを解説していく伝記です。これは非常にありがたいものでした。

マルクスは宗教的な現象か

マルクスとフロイトの共通点とは~フロイトのドストエフスキーにおける「父親殺し」についても一言

マルクスとフロイトは人間の過去・現在・未来の物語を提供しました。

その救済的な物語があったからこそ多くの人々を惹きつけたとトニー・ジャットは語ります。

そして彼らの語る物語が本当に正しいか正しくないかは問題ではありません。

人を惹きつける魅力的な物語であるかどうかがマルクス・フロイト理論が影響を持つ大きなポイントと言えるのではないでしょうか。