ゴーリキー

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

ジイド『ソヴェト旅行記』~フランス人ノーベル賞文学者が憧れのソ連の実態に気づいた瞬間

憧れのソ連を訪問し、どれほどこの国は素晴らしいのかと期待していたジイドでしたが、そこで彼は現実を知ってしまうことになります。その心情を綴ったのがこの『ソヴェト旅行記』という本になります。

ジイドの『ソヴェト旅行記』は非常に興味深い本でした。この記事ではその一部をご紹介していきますが、本当はもっともっと紹介したい箇所があります!それほど面白いです!

ぜひ皆さん自身で手に取ってみてください。ものすごく面白い本ですのでとてもおすすめです。

ドストエフスキーとも非常に関係の深い内容となっていますので、ドストエフスキーファンにもぜひおすすめしたい作品です。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

(14)レーニンの文学観~ドストエフスキー、トルストイらをどう見たか

レーニンの文学観、芸術観を考える上で彼が保守的な考えを持っていたというのは意外な気がしました。革命家=既存の秩序の破壊というイメージが私にはありました。ロシアのニヒリストは特にそのような傾向があります。ツルゲーネフの『父と子』に出てくるバザーロフというニヒリスト青年はその典型です。

しかしレーニンはそうではなく、保守的な文化観の持ち主だったのです。

この記事ではそんなレーニンの文学観、芸術観を見ていきます。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

(5)なぜ口の強い人には勝てないのか~毒舌と暴言を駆使するレーニン流弁論術

レーニンは議論において異様な強さを見せました。その秘訣となったのが彼の毒舌や暴言でした。

権力を掌握するためには圧倒的に敵をやっつけなければならない。筋道通った理屈で話すことも彼にはできましたが、何より効果的だったのは毒舌と暴言で相手をたじたじにしてしまうことでした。

この記事ではそんなレーニンの圧倒的な弁舌についてお話ししていきます。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

高本茂『忘れられた革命―1917年』~ロシア革命とは何だったのか。著者の苦悩が綴られた一冊

この本では1917年のロシア革命からその後のソビエトの独裁の流れについて解説されていきます。

この本の特徴は、かつて著者自身がロシア革命の理念に感銘を受け、マルクス思想に傾倒したものの、やがて時を経るにつれてソ連の実態がわかり、今ではそれに対して苦悩の念を抱いているという立場で書かれている点です。

最初からマルクス主義に対して批判をしていたのではなく、長い間それに傾倒していたからこそ語れる苦悩がこの本からは漂ってきます。

帝政末期のロシアロシアの歴史・文化とドストエフスキー

アンリ・トロワイヤ『帝政末期のロシア』~ドストエフスキー亡き後のロシア社会を知るために

この本は小説仕立てで1903年のロシア帝政末期の社会を紹介していきます。

主人公は若いフランス人ジャン・ルセル。彼はふとしたきっかけでロシアに旅立つことになります。私たち読者は彼と同じ異国人の新鮮な目で当時のロシア社会を目の当たりにしていくことになります。

この本ではロシア正教を中心にした宗教事情、そして劣悪な状況で働く労働者、軍隊の内情、農民の生活など様々な事象を紹介しています。

当時のロシア社会がどのようなものであったかを知るのにとても便利な一冊となっています。しかも小説仕立てであるので読みやすいというのも嬉しい点です。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

ゴーリキーの代表作『どん底』あらすじと感想~どん底に生きる人々の魂の叫び

この作品は劇作品です。しかもこの解説に述べられているようにチェーホフと同じくわかりやすい筋もありません。そのため本としてこれを読んでもなかなかその流れを掴むのが難しいです。私も一度読んだだけではわからず、何度も読み返しました。

この作品もチェーホフと同じく、演劇として舞台で観るときっとものすごいインパクトがあるのだと思います。

この作品はかなりパワーがあります。チェーホフは静かな雰囲気の劇ですが、ゴーリキーはどん底にいる人たちの魂の叫びを表現します。言葉のパワーがものすごいです。本で読むだけでこれですから舞台で聞いたらこれはものすごいものなのではないでしょうか。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

ソ連を代表する作家ゴーリキーによるドストエフスキー批判

前回の記事「『スターリン伝』から見たゴーリキー~ソ連のプロパガンダ作家としてのゴーリキー」でお話ししましたように、ゴーリキーはソ連を代表する作家であり、スターリン政権下ではソ連のプロパガンダの宣伝にも大きな役割を果たしました。

そのゴーリキーがドストエフスキーのことをどう言うのか。

これはすなわちソ連がドストエフスキーをどう見るかということにもつながっていきます。

というわけで、佐藤清郎氏の『ゴーリキーの生涯』の中にゴーリキーがドストエフスキーに言及している箇所がありましたのでこの記事ではそちらを見ていきたいと思います。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

佐藤清郎『ゴーリキーの生涯』~ソ連を代表する作家の波乱万丈な人生を知るのにおすすめの伝記

この本ではゴーリキーの人生が幼少期からかなり詳しく書かれていますが、公的記録が乏しい若きゴーリキーに関してはその多くの部分がゴーリキー自身によって書かれた自伝的小説が基になっています。ですのでゴーリキーをもっともっと知りたい方は『人々の中で』など、自伝的小説を読むのをおすすめします。

ゴーリキーが幼少の頃からいかにとてつもない生活を送っていたかがこの伝記では明らかになります。

彼の代表作『どん底』はまさしく彼自身が社会のどん底で生き抜いた経験があったからこそでした。そこから作家として大成するというのは驚くべきことです。この伝記を読んで本当に驚きました。並の人物ではありません。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

帝政末期・ソ連時代を代表する作家ゴーリキーとドストエフスキー

ドストエフスキーは『悪霊』や『カラマーゾフの兄弟』で社会主義思想によって人々の自由が失われる時代が来ることを予言しました。

そして実際にロシアはその通りになってしまったのです。ドストエフスキーがあれだけ危惧して読者に語りかけていたにも関わらず、そうなってしまったのです。そしてドストエフスキーは国民からもあまり読まれなくなった・・・

これは文学の敗北、思想の敗北なのではないかと私はふと思ってしまいました。いくら文学や思想を述べても、権力や武力で脅されたら私たちは無力なのではないか・・・そんなことを私は感じてしまったのです。

そのためこうした時代を学ぶために、まずはソ連を代表する作家ゴーリキーを読んでみようと私は思ったのでした。