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(41)スリランカの古都キャンディへ~散歩に最高な遊歩道を発見!緑と湖、歴史ある美しい街並みを堪能

キャンディ
目次

【インド・スリランカ仏跡紀行】(41)
スリランカ中南部の古都キャンディへ~緑と湖、歴史ある美しい街並みを堪能!

前回の記事で紹介したアル・ヴィハーラからキャンディまではおよそ一時間ほどの距離だ。今回の記事ではそのキャンディについてお話していくのだが、その前に前回の記事で紹介できなかったおすすめスポットについてここでお話ししたい。

アル・ヴィハーラ

前回の記事「(40)アル・ヴィハーラ~仏典が初めて書写された歴史的な寺院!文字化が後の大乗仏教を生み出した?」では仏教史上初めての仏典書写が行われたアルヴィハーラをご紹介したが、実はその前に私はある場所を訪れていたのである。

それがこちらのランウェリ・スパイスガーデンだ。

スリランカといえばスパイスの宝庫。

そしてそのスパイスとは何たるやを知るのにここはうってつけの場である。

ここでは実際にそのスパイスが成っている植物を見ることができる。こちらはターメリック。日本ではウコンという呼び方の方が知名度があるだろう。

シナモンや胡椒など、スパイス貿易の中心となった木も見ることができてこれは楽しかった。

そして個人的に嬉しかったのが次のものを見れたことである。

そう。チョコの原料となるカカオである。植民地貿易について学ぶために河出文庫の『チョコレートの歴史』などを読んでいた私にとって、実際にカカオの実を見れたのはとてもテンションが上がるものだった。本当にこんなに大きくて赤いものだったとは!

また、何といっても大興奮だったのはこちらである。

ジャックフルーツとランブータンである。水曜どうでしょうファンにはたまらない存在だ。

地面に落ちたランブータンを見て大興奮する人間などここでは前代未聞だろう。だがこれがどうでしょうファンの習性なのである。わかる人にはわかる。きっとこれを読んでニヤッとされた方がたくさんおられるに違いない。興味のある方はぜひ「水曜どうでしょう 原付ベトナム縦断1800キロ」をご覧頂きたい。

スリランカは紀元後一世紀の段階ですでにローマ帝国と盛んに貿易をしていて、古くから交易が盛んな国であった。そして一六世紀からのポルトガル、オランダ、イギリス植民地統治下においてもこれらスパイスが最大のターゲットになったのである。そうしたスリランカの歴史を知る上でもこれらの植物を実際に目にすることができたのはとても興味深かった。これらのスパイスに興味のある方にはアンドリュー・ドルビー著『スパイスの人類史』という本がおすすめだ。ぜひ手に取ってみてはいかがだろうか。

さて、いよいよキャンディに突入だ。

キャンディ王国は15世紀から19世紀前半まで存在した王国で、沿岸部と違い最後まで植民地化されなかった国である。そのため、「我らこそキャンディ人」というアイデンティティーの強い土地柄だという。

キャンディには「仏歯寺」というブッダの犬歯を保管している寺院があり、「キャンディと言えばここ」というほど有名である。

キャンディの仏歯寺 Wikipediaより

この寺院については次の記事でじっくり見ていくことにしよう。

キャンディ中心部までやって来た。

バスターミナル中心は車や人の交通が激しく、慣れるまでは道を渡るだけでも難儀だった。

私がやって来たのはキャンディ市場だ。まずは賑わいのあるキャンディの姿を見てみようという趣向である。

目の前の白い建物は市場であり、ここにたくさんのお店が入っている。

入ってすぐのお店はどこにでもあるような食料品店などが並んでいたのだが、その奥にいくとぎょっとするものと会うことになった。

カラスが大量にいて「何だ何だ」と思ってその先を見てみるとその答えがすぐにわかった。

肉屋が目の前で肉を解体していたのである。そしてそのおこぼれを漁りにカラスはやって来ていたのだ。この辺りはそうした精肉店や鮮魚店が並んでおり、においもかなり強烈であった。苦手な人はここに来るのは要注意だとガイドさんも言っていた。

さらに進むとまた屋外に出てマーケットが続いていく。このエリアでは野菜や果物が売られていた。

活気ある市場を歩くのはやはり楽しい。その地その地のローカルな雰囲気を感じるのは旅の醍醐味である。

キャンディ湖付近までやって来た。街は西洋風でモダンな雰囲気である。街行く人も外国人観光客が多く、京都のような雰囲気を感じた。1815年にキャンディ王国は滅亡し、その後はイギリスの直轄時代に入るがそこからこの街は急速に西洋化したのだ。

こちらはキャンディ湖真正面にあるクイーンズホテル。仏歯寺からもすぐそばにあり、ここはキャンディを代表する老舗ホテルとして知られている。特にここは8月に行われるペラヘラ祭を見るのにまさに特等席とも言える立地で、この時期の予約は半年以上も前から埋まっているという。

ちなみにこちらがキャンディのペラヘラ祭りだ。伝統的な音楽隊とダンサー、ライトアップした像達が練り歩くこのお祭りは世界でも有名である。ぜひこの映像も見てほしい。特にこの映像の3分30秒近辺からの激しい太鼓の音楽と行列の光景は必見だ。

そしてこのキャンディ湖周辺で印象に残っているのがこちらのキャンディ・シティ・センターというショッピングモールだ。ここは完全に現代的なショッピングモールで日本とほぼ変わらない。飲食店も外国人でも安心して食べられるようなオシャレなカフェやレストランも多く、私も重宝させてもらった。キャンディは滞在するにも非常に快適である。インドとは違う。

そして何より、このキャンディ湖の美しさだろう。

キャンディ湖の周りは遊歩道になっていてぐるっと一周することができる。キャンディには私も数日間滞在したのだが、ほとんど毎日このコースを散歩した。

これが実に気持ちよいのである。しかもスリランカは全体的に治安がよいのでヨーロッパと違って安心して歩くことができる。これは大きい。歩いている時のストレスが全然違うのである。

ここを歩いていて感じるのは、現地の人もここを憩いの場として愛しているのだろうということだ。階段やベンチに座りゆっくり過ごしている人がたくさんいた。

これは素晴らしい・・・!

大都市であるのにその中心にこれだけ大きな湖があり、さらに豊かな緑があるのだ。全体としてのんびりした空気感を感じられるのも心地よい。散歩するのに最高である。

キャンディは実に居心地のよい街だ。ぜひおすすめしたい古都である。

次の記事ではこの街の象徴である仏歯寺と夜のプージャについてお話していく。

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【インド・スリランカ仏跡紀行】の目次・おすすめ記事一覧ページはこちら↓

※以下、この旅行記で参考にしたインド・スリランカの参考書をまとめた記事になります。ぜひご参照ください。

「インドの歴史・宗教・文化について知るのにおすすめの参考書一覧」
「インド仏教をもっと知りたい方へのおすすめ本一覧」
「仏教国スリランカを知るためのおすすめ本一覧」

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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