インド思想と文化、歴史

ヒンドゥー教と叙事詩インド思想と文化、歴史

中村元選集第30巻『ヒンドゥー教と叙事詩』~仏教や日本とのつながりも知れる名著!インド思想の奥深さを体感

中村元先生は宗教を単に思想や理論として見るのではなく、当時の社会状況と合わせて考察していきます。インドにおける宗教を知るには、インドそのものも視野に入れて考えていかなければなりません。

なぜインドではヒンドゥー教が栄え、仏教は衰退していってしまったのか。そのことをこの本では見ていくことができます。そこには単に思想面だけではなく、もっと大きな社会的要因が絡んでくるのでありました。

また、この本では書名にありますようにインド二大叙事詩『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』についても詳しく見ていくことができます。仏教学者中村元先生ならではの視点で説かれるインド神話の講義を聴けるのは非常に興味深いものがありました。

インド神話入門インド思想と文化、歴史

長谷川明『インド神話入門』~ビジュアルで学べるヒンドゥー教の神々!入門書にもおすすめ!

この本ではそんなインドの神々をたくさんの図像とともに学ぶことができます。神々の特徴と見分け方を実際にその姿を見ながら学べるのは非常にわかりやすくてありがたいです。

異国人である私たちにはなかなか一見するだけでは区別がつきにくいインドの神々ではありますが、見分け方にはちゃんとポイントがあります。その神ごとに特有の姿であったり持ち物などが必ずあります。見分け方がわかればよりインドの神々への親近感が湧いてきます。

これまで本の文章を中心にインドを学んできましたが、こうして実際に神々の姿をじっくり見ていくというのはとても新鮮で楽しかったです。最近ではことあるごとにこの本を手に取り、「あぁ、これがシヴァの特徴だったな」とそれぞれの神々の特徴を復習しています。これは便利な一冊です。

ラーマーヤナインド思想と文化、歴史

『インド神話物語 ラーマーヤナ』あらすじと感想~囚われの妻シータを救いに奮闘するラーマと愛すべき猿神ハヌマーンの冒険神話

巨大な戦場を舞台にした『イリアス』、『マハーバーラタ』、それに対し主人公の冒険物語を軸にした『オデュッセイア』と『ラーマーヤナ』。この類似は私にとって非常に興味深いものがありました。しかも物語自体も奇天烈な冒険譚に満ちた『オデュッセイア』の方が面白いというのも似ています。

『マハーバーラタ』、『ラーマーヤナ』と二つ続けてインド二大叙事詩を読んできましたがこれは素晴らしい体験となりました。インドの奥深さ、面白さに私はすっかり撃ち抜かれてしまいました。ぜひぜひおすすめしたい作品です。

マハーバーラタインド思想と文化、歴史

『インド神話物語 マハーバーラタ』あらすじと感想~インド人の愛する大叙事詩!インドの精神性を知るのにおすすめ!

『マハーバーラタ』はインドを代表する二大叙事詩のひとつです(もうひとつは『ラーマーヤナ』)。

この大叙事詩は現代インドでも親しまれていて、ここに出てくる英雄や神をモチーフに多くの映画も作られています。最近爆発的なヒットを叩き出したインド映画『RRR』もまさにその一つです。

物語そのものとしても『マハーバーラタ』は非常に面白いです。この物語自体が王位継承争いから発しているということで非常に多彩な人間ドラマが展開されます。そこに呪いや前世からの因縁が絡んだりと、さらにドラマチックで読み応え抜群の物語となっています。

現代でも多くの人に親しまれているのにはやはり理由があります。インド思想の源流を知る上でも非常に興味深い作品でした。

バガヴァッド・ギーターインド思想と文化、歴史

『バガヴァッド・ギーター』あらすじと感想~現代にも生き続けるヒンドゥー教の奥義!大乗仏教とのつながりも!

『バガヴァッド・ギーター』は文庫本で140ページほどとかなりコンパクトです。そして上村勝彦さんの訳も非常に読みやすく、巻末には50頁以上も解説が付されていますのでこれはありがたいです。

この本では大乗仏教の教えと非常に近い思想がどんどん語られます。

やはり仏教もインドの思想や文化の枠組みの中で生まれたのだなということを強く感じました。もちろん、それはインド神話から仏教への一方通行ということではなく、お互いが影響し合ってのことだと思います。

仏教を学ぶ上でもこれは大きな意味がありました。いや、仏教だけに収まらず、宗教、人間そのものにも目を開かせてくれる珠玉の聖典でした。インド思想、インド文化にますます惹かれている自分を実感しています。

バガヴァッド・ギーターの世界インド思想と文化、歴史

上村勝彦『バガヴァッド・ギーターの世界 ヒンドゥー教の救済』~日本文化や大乗仏教とのつながりも知れる名著!

「日本人はいわば「隠れヒンドゥー教徒」であるといっても過言ではありません。そのことを示すことが、本書の目的の一つでもあります。」

衝撃的な言葉ですよね。

ですがこの本を読んでいると、この言葉があまりにリアルなものとして感じられてきます。日本の文化や大乗仏教とのつながりが非常にわかりやすく説かれます。

この本自体は『バガヴァッド・ギーター』の解説書ということでなかなか手が伸びにくい作品であるかもしれません。ですがそこは少し見方を切り替えてこの本を仏教書として見てみてはいかがでしょうか。

この本は古代インドやインド思想を知らなくても読めるような作りになっています。また同時に、仏教の入門書としても十分通用するほどわかりやすい作品になっています。これはものすごい名著です。

マハーバーラタインド思想と文化、歴史

沖田瑞穂『マハーバーラタ入門 インド神話入門』~インド文化の源流たる大叙事詩の全体像を掴むのにおすすめの解説書

この本はインドの大叙事詩『マハーバーラタ』の概要を知れるおすすめの入門書です。

そして『マハーバーラタ』といえばインド思想の最高峰『バガバット・ギーター』がこの大叙事詩の中で説かれていることでも有名です。

『バガバット・ギーター』については次の記事でお話ししていきますが、この珠玉の思想が生まれてきたのも『マハーバーラタ』の物語があったからこそです。

私もこれからこの叙事詩と『バカバット・ギーター』を読んでいきます。あまりに長大なこの叙事詩の全体像を掴むのに本書は非常に役に立ちました。初学者でも安心してその流れを学んでいけるおすすめの入門書です。インドに興味のある方にぜひおすすめしたい作品です。

リグ・ヴェーダインド思想と文化、歴史

辻直四郎訳『リグ・ヴェーダ讃歌』~インド宗教の源流!神々への讃嘆と祭式の雰囲気を掴むために

『リグ・ヴェーダ讃歌』というタイトル通り、この聖典ではとにかく神々への讃嘆が繰り返されます。

そしてその神々のバリエーションがとにかく豊富です。また、そこに神々のランク付け、秩序があいまいというのが非常に興味深いです。まさに多神教的な世界がそこに繰り広げられます。

その中でも特に興味深かったのが後のヒンドゥー教で主神となるヴィシュヌとシヴァがこの『リグ・ヴェーダ讃歌』では影が薄いという点です。シヴァ神においてはその前身のルドラという名前で登場しますが、古代インドの時点ではそこまで人気のある神ではなかったというのは非常に興味深かったです。

インド文明の曙インド思想と文化、歴史

辻直四郎『インド文明の曙―ヴェーダとウパニシャッド―』~バラモン教の聖典の概要を学ぶのにおすすめの参考書

「本書はヴェーダの概要を、専門家以外の人に紹介するのを目的とする。従ってこれはヴェーダの研究書ではなく、常識としてのヴェーダの入門書である。」

「ヴェーダとウパニシャッド」といいますと何かとてつもなく難しそうなイメージが湧いてきますがこの本自体はここで述べられますように専門家以外の人にもわかるように書かれた入門書になります。

古代インドの宗教において何が信仰されていたのか、どのように信仰されていたのかということを知ることができるのがこの本です。

古代インドや原始仏教を学ぶ上で避けて通れない『ヴェーダ』や『ウパニシャッド』の入門書としておすすめの一冊です。

文明の道インド思想と文化、歴史

『NHKスペシャル文明の道〈3〉海と陸のシルクロード』~古代インドとローマ帝国の繋がりを知れる刺激的な一冊!

この本は古代インドとローマ帝国を結んだシルクロードについて学ぶのに最高の一冊です。図版や写真も豊富でイメージしやすく、解説も初心者でもわかりやすいように丁寧に語られます。 古代インド、ローマ帝国、どちらも私にとってはロマン溢れる大好きな世界です。その二つが繋がった本書は私にとっても大興奮の一冊でした。ぜひぜひおすすめしたい名著です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。