A・ドルビー『スパイスの人類史』あらすじと感想~インド・スリランカのスパイスの歴史を知る上でもおすすめ!
A・ドルビー『スパイスの人類史』概要と感想~インド・スリランカのスパイスの歴史を知る上でもおすすめ!
今回ご紹介するのは2004年に原書房より発行されたアンドリュー・ドルビー著、樋口幸子訳の『スパイスの人類史』です。
早速この本について見ていきましょう。
人類を魅了し、交易や戦争など歴史をも動かしてきたスパイス。代表的な約六十種を中心に、人間とスパイスが織り成してきた壮大な物語を読み解く。スパイスと人間の歴史全体を見渡す、食の文化史。国際グルメ協会『世界の料理書大会』英語部門最優秀賞(2000)。食物研究家協会「今年の最も優れた本」(2001)。
Amazon商品紹介ページより
今作『スパイスの人類史』は世界の歴史に巨大な影響を与えてきたスパイスの歴史を知れるおすすめ作品です。
私達の食生活に欠かせぬ存在、スパイス。
そしてスパイス、香辛料といえば真っ先に浮かんでくるのがインドでありますが、私は最近そのインドを訪れ、まさにスパイスの本場を体感してきたのでありました。
ただ、残念ながら私は辛いものが大の苦手です。日本にいても辛いものはほとんど食べることができません。カレーも甘口です。
そんな私がスパイス天国インドでどんな目に遭ったかは皆さんも想像できると思います。
「私は全く辛いものが食べられません。スパイスは厳しいと思います」とガイドさんに伝え、そこで出して頂いたこちらの食事でしたがそれでも私はほとんど食べることができませんでした。
しかもインド入国から4日目の夜には猛烈な嘔吐と下痢に襲われ、もはや食事どころではなくなってしまいました。こうして私の初インドはほとんど断食と言ってもいい苦難の道となってしまったのでした。
ガイドさん曰く、「これまでたくさんの日本の方を案内してきましたがこんなに弱い方は初めてです。上田さん、弱すぎです(笑)」と。これには私も笑うしかありませんでした。幸い、旅の後半はお医者さんに打ってもらった謎の注射のおかげで復活しましたのでもはや笑い話です。
私にとってスパイスは天敵と言ってもよいかもしれません。インドの食事はどこに行ってもスパイス臭が香り、もはやトラウマになってしまいそうでした。あのケンタッキーですら辛くて食べれなかったのです!普遍文明と思っていたケンタッキーですらインドのスパイス文明に呑み込まれた!これには衝撃でした。
さて、私の個人的なお話が続いてしまいましたがスパイスはインド・スリランカの歴史を考える上で避けては通れません。
私個人としてはスパイスは天敵ですが、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」。あえて苦手なスパイスを知ることも大切なことです。インド・スリランカを学ぶのならばやはり学びたい!そう思いこの本を手に取ったのでした。
著者は本書について「まえがき」で次のように述べています。
本書は、スパイスと香料の歴史を探る、一つの試みである。つまり、大昔から私たち人間を引きつけてきたスパイスの魅力と、スパイス貿易が発展する過程で、それらが運ばれていった陸路や海路についての物語である。世界のさまざまなスパイス産地の事情から、今日のような世界的貿易網が出来上がった経緯に至るまで、スパイス貿易のあれこれを眺めていくうちに、人類の歴史においてスパイスがどんな意味を持つかが、見えてくる。スパイスが与えてくれる快楽や、健康上の効果、スパイスが引き起こす貪欲さ、その結果として時折生じる戦争や暴虐等々。それは、歴史に、とりわけ食物の歴史に関心を持つ人なら誰でも、興味をそそられるに違いない物語である。これまでにも、近代のスパイス貿易の歴史を扱った本はたくさんあったし、西洋古代におけるスパイスや香料の使用に関する研究の草分けともいうべき書も、いくつか出ている。だが本書は、そもそもの始まりまで翻って、人類が持つスパイスに関する知識が、世界に広まっていく過程に着目した、最初の試みのはずである。
原書房、アンドリュー・ドルビー、樋口幸子訳『スパイスの人類史』Pⅰ
この本は単にそれぞれのスパイスを見ていくだけでなく、世界の歴史の流れと関連付けて語られる点にその特徴があります。
まさに私が求めていた本そのものです。
それぞれのスパイスの原産地はどこか、いつ頃から栽培され始めたのかという基本情報はもちろん、そのスパイスと人間の関わり合いを知れるのはとても刺激的です。
歴史や文化に興味のある方はもちろん、スパイスが好きな方にも特におすすめしたい作品です。
スパイスが苦手な私ですら興味津々で読めたので、スパイス好きな方でしたらもっと楽しめる作品ではないかと思います。
ぜひぜひおすすめしたい作品です。
以上、「A・ドルビー『スパイスの人類史』~インド・スリランカのスパイスの歴史を知る上でもおすすめ!」でした。
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